QMLのコントロール - Settings

提供:MochiuWiki : SUSE, EC, PCB
ナビゲーションに移動 検索に移動

概要

Settingsタイプは、アプリケーションの永続的な設定データを保存、読み込み、変更するためのコンポーネントである。
これは、QtのクラスであるQSettingsクラスのQML版である。

主な機能を以下に示す。

  • 設定値の保存と読み込み (キーと値のペアで設定を保存と読み込み)
  • 異なるタイプの値 (文字列、数値、ブール値等) の扱い
  • 異なる設定グループの管理
  • 設定の自動保存
  • 設定ファイルの場所の自動管理
  • 異なるプラットフォーム間での一貫した動作


Settingsタイプの利用例を、以下に示す。

  • ユーザ設定の保存 (テーマ、言語等)
  • アプリケーションの状態の保存 (ウィンドウサイズ、位置等)
  • 最後に使用したファイルやパスの記憶
  • アプリケーションの設定オプションの管理


Settingsタイプは、これらの設定を自動的にファイルシステムに保存して、アプリケーションの再起動時に読み込む。
これにより、開発者は設定の永続化について心配する必要がなくなり、ユーザ体験の向上に集中できる。

このような機能を使用することにより、アプリケーションはユーザの好みを記憶して、より個人化された体験を提供することができる。


Qt 5 / Qt 6のSettingsタイプの違い

Qt 5のQt.labs.settingsモジュールのSettingsタイプと、Qt 6のQtCoreモジュールのSettingsタイプには、いくつかの違いがある。

  • モジュールの場所
    Qt 5 : Qt.labs.settingsモジュール
    Qt 6 : QtCoreモジュール

  • 安定性
    Qt 5 : Qt.labsは実験的なモジュールで、APIが変更される可能性があった。
    Qt 6 : QtCoreは安定したモジュールで、APIの変更は少ない。

  • 機能
    Qt 6では、いくつかの新しいプロパティや機能が追加されている。
    例えば、settings.containsメソッド等が追加されている。
  • パフォーマンス
    Qt 6では、パフォーマンスの改善が行われている可能性がある。

  • 使用方法
    Qt 5 : import Qt.labs.settings 1.0
    Qt 6 : import QtCore

  • 互換性
    Qt 6のSettingsタイプは基本的にQt 5のSettingsタイプと互換性があるが、いくつかの細かい違いがある可能性がある。



Qt 6

Qt 6において、Qt.labs.settingsモジュールのSettingsタイプを使用すると、以下に示すような警告が表示される。

QML Settings: The Settings type from Qt.labs.settings is deprecated and will be removed in a future release.
Please use the one from QtCore instead.


これは、Qt 6において、Qt.labs.settingsモジュールのSettingsタイプが非推奨となり、将来のリリースで削除される予定である。
代わりに、QtCoreモジュールのSettingsタイプを使用することが推奨されている。

まず、QMLファイルの先頭に以下のimport文を追加する。

 // QtCoreモジュールをインポートする
 import QtCore
 
 // 削除またはコメントアウトする
 // import Qt.labs.settings


 // Materialデザインを使用する
 
 Settings {
    id: settings
       property string style: "Material"
 }



Settingsタイプの特徴と使用方法

Settingsタイプの基本的な機能を、以下に示す。

  • キーと値のペアとして設定を保存
  • 異なるプラットフォームに適した方法で設定を永続化 (例: Windowsではレジストリ、Unix系ではINIファイル)
  • 階層的な設定構造をサポート


Settingsタイプの主要なプロパティを、以下に示す。

  • category
    設定のカテゴリを指定
  • fileName
    設定ファイルの名前とパスを指定


Settingsタイプの主要なメソッドを、以下に示す。

  • setValue(key, value)
    指定したキーに値を設定する。
  • value(key, defaultValue)
    指定したキーの値を取得する。 (デフォルト値も指定可能)
  • contains(key)
    指定したキーが存在するかどうかを確認する。
  • clear()
    全ての設定をクリアする。



サンプルコード

以下の例では、Settingsタイプを使用してアプリケーションの情報を保存している。

  • Settingsタイプを使用して、ユーザ名、ダークモード設定、フォントサイズを保存している。
  • ユーザがUIを通じて設定を変更すると、自動的にSettingsタイプの対応するプロパティが更新される。
  • アプリケーションを再起動すると、前回の設定が自動的に読み込まれる。


 // Qt 6の場合
 import QtQuick
 import QtQuick.Window
 import QtQuick.Controls
 import QtCore
 
 // Qt 5の場合
 import QtQuick 2.15
 import QtQuick.Window 2.15
 import QtQuick.Controls 2.15
 import Qt.labs.settings 1.0
 
 
 Window {
    width: 640
    height: 480
    visible: true
    title: qsTr("Settings Example")
 
    Settings {
       id: appSettings
       category: "MyApp"
 
       // Linuxでは、~/.config/<組織名>/<アプリケーション名>/mysettings.iniに保存される
       fileName: "mysettings.ini"
 
       property string userName: ""
       property bool darkMode: false
       property int fontSize: 12
    }
 
    Column {
       spacing: 10
       anchors.centerIn: parent
 
       TextField {
          id: nameInput
          placeholderText: "Enter your name"
          text: appSettings.userName
          onTextChanged: appSettings.userName = text
       }
 
       Switch {
          id: darkSwitch
          text: "Dark Mode"
          checked: appSettings.darkMode
          onCheckedChanged: appSettings.darkMode = checked
       }
 
       SpinBox {
          id: fontSpin
          from: 8
          to: 24
          value: appSettings.fontSize
          onValueChanged: appSettings.fontSize = value
       }
 
       Button {
          text: "Load Settings"
          onClicked: {
             var savedUsername = appSettings.value("username", "")
             var savedTheme    = appSettings.value("darkMode", false)
             var savedFontSize = appSettings.value("fontSize", 12)
 
             console.log("Username :", savedUsername)
             console.log("Theme : ", savedTheme)
             console.log("Font Size :", savedFontSize)
          }
       }
 
       Button {
          text: "Save Settings"
          onClicked: {
             appSettings.setValue("userName", nameInput.text)
             appSettings.setValue("darkMode", darkSwitch.checked)
             appSettings.setValue("fontSize", fontSpin.value)
             console.log("Settings saved")
          }
       }
 
       Button {
          text: "Clear Settings"
          onClicked: {
             appSettings.clear()
             console.log("All settings cleared")
          }
       }
    }
 }