QMLのコントロール - ListView
概要
ListViewコンポーネントは、データモデルの要素を効率的に表示するための重要なユーザインターフェース要素である。
これは、大量のデータを扱う場合に特に有効であり、スクロール可能なリストを定義するのに適している。
ListViewコンポーネントの基本的な機能は、与えられたデータモデルの項目を縦方向または横方向に並べて表示することである。
各項目の外観はデリゲートと呼ばれるコンポーネントで定義されて、これにより開発者は各アイテムの表示方法を柔軟にカスタマイズすることができる。
データモデルとしては、ListModelコンポーネントやJavaScriptの配列等が使用可能であり、これらのデータソースとListViewをmodel
プロパティを通じて結びつける。
デリゲートはdelegate
プロパティで指定して、一般的には、Component
型またはItem
型のオブジェクトを使用する。
ListViewコンポーネントの重要な特徴として、ビューポート外の項目は必要に応じて動的に生成・破棄される点が挙げられる。
これにより、メモリ使用量を抑えつつ、大量のデータを滑らかにスクロールできる。
さらに、ListViewコンポーネントは、セクション、ヘッダおよびフッタの追加、スナップモードの設定、ハイライト機能の実装等、様々な機能を提供している。
これらの機能を活用することで、より洗練されたユーザインターフェースを構築できる。
また、ListViewコンポーネントはフリックやドラッグによるスクロール、キーボードナビゲーション、タッチスクリーンでのスムーズな操作等のインタラクションもサポートしている。
パフォーマンス面では、ListViewコンポーネントは項目の再利用や遅延ローディングなどの最適化技術を採用しており、大規模なデータセットでも高速な応答性を維持する。
開発者は、ListViewコンポーネントのプロパティやメソッドを活用することにより、スクロール位置の制御、アイテムの挿入・削除、アニメーションの適用等、様々な動的な操作を実現できる。
ListViewコンポーネントは、QMLアプリケーションにおいてデータ駆動型のユーザインターフェースを構築する際の強力なツールとして広く活用されている。
その柔軟性と効率性により、シンプルなリストから複雑なカスタムビューまで多様なニーズに対応できるコンポーネントとなっている。
ListViewの基本
- ListViewの宣言
- QMLファイル内でListViewコンポーネントを宣言する。
- モデルの設定
model
プロパティを使用して、表示するデータモデルを指定する。
- デリゲートの定義
delegate
プロパティを使用して、各アイテムの表示方法を定義する。
- 方向の指定
orientation
プロパティを使用して、縦方向または横方向のリストを指定する。
- サイズの設定
- ListViewの幅と高さを設定する。
- スクロールバーの追加
- 必要に応じて、
ScrollBar
コンポーネントを使用してスクロールバーを追加する。
- 必要に応じて、
- セクションの設定
- 必要に応じて、
section
プロパティを使用してセクションを定義する。
- 必要に応じて、
- ヘッダ / フッタの追加
header
プロパティとfooter
プロパティを使用して、リストの先頭と末尾に追加のコンテンツを表示する。
モデル
JavaScriptの配列の使用
以下の例では、ListViewのmodelプロパティにJavaScriptの配列 (データモデル) を指定している。
実務では、ListModelコンポーネントを使用して、より複雑なモデルを使用する。
delegateプロパティで各アイテムの表示方法を定義している。
デリゲートにイベントハンドラを追加することにより、アイテムが選択された場合の動作を定義している。
modelDataは、現在のアイテムのデータを参照するための特別な変数である。
JavaScriptの配列をモデルとして使用する場合に使用することができる。
import QtQuick
import QtQuick.Controls
Window {
width: 300
height: 400
title: "サンプルリスト"
visible: true
ListView {
anchors.fill: parent
// モデルプロパティにJavaScript配列を直接指定
// これにより、ListViewは配列内の各要素をリストアイテムとして表示
model: ["りんご", "バナナ", "オレンジ", "ぶどう", "メロン"]
// デリゲートプロパティで各アイテムの表示方法を定義
delegate: ItemDelegate {
width: parent.width
text: modelData // modelDataは現在のアイテムのデータを参照します
// クリックイベントの処理
onClicked: {
console.log("選択された果物: " + modelData)
}
}
}
}
ListModelコンポーネントの使用
以下の例では、ListViewのmodelプロパティにListModelコンポーネント (データモデル) を指定している。
- ListModelコンポーネント
- 複数の属性 (例: name, color, stock) を持つアイテムのリストを生成する。
- ListViewコンポーネント
- modelプロパティにListModelコンポーネントを指定する。
- ListViewコンポーネントのdelegateプロパティ
- 各アイテムの表示方法をより詳細に定義する。
- デリゲートに複雑なコンポーネントを定義して表示する。
- デリゲート内の各コンポーネントにおいて、ListElementで定義した各プロパティ (例: name, color, stock) にアクセスする。
※注意
ListModelコンポーネントを使用することにより、複数の属性を持つ構造化されたデータを扱うことができる。
また、モデルを動的に更新する、あるいは、C++側から操作することも可能である。
ListModelコンポーネントは小規模なデータセットには適しているが、大規模なデータを扱う場合はC++で定義したカスタムモデルを使用することが推奨される。
import QtQuick
import QtQuick.Controls
import QtQuick.Layouts
Window {
width: 300
height: 400
title: "サンプルリスト"
visible: true
// ListModelを定義して、複数の属性を持つアイテムのリストを定義
ListModel {
id: fruitModel
ListElement { name: "りんご"; color: "赤"; stock: 50 }
ListElement { name: "バナナ"; color: "黄"; stock: 30 }
ListElement { name: "オレンジ"; color: "橙"; stock: 40 }
ListElement { name: "ぶどう"; color: "紫"; stock: 25 }
ListElement { name: "メロン"; color: "緑"; stock: 15 }
}
ListView {
anchors.fill: parent
// 上記で定義したListModelをモデルとして使用
model: fruitModel
// 各アイテムの表示方法を定義
delegate: ItemDelegate {
width: parent.width
height: 60
RowLayout {
anchors.fill: parent
anchors.margins: 10
// 果物の名前を表示
Text {
text: name // ListElementで定義した'name'プロパティにアクセス
font.bold: true
}
// 果物の色を表示
Text {
text: "色: " + color // 'color'プロパティにアクセス
}
// 在庫数を表示
Text {
text: "在庫: " + stock // 'stock'プロパティにアクセス
Layout.alignment: Qt.AlignRight // 右寄せに配置
}
}
// クリックイベントの処理
onClicked: {
console.log("選択された果物: " + name + ", 在庫: " + stock)
}
}
}
}
アイテムのインデックスの取得
画面に表示されている現在のアイテムのインデックスを取得する方法は、いくつか存在する。
indexAtメソッド
現在の画面のxy座標を利用する場合、ListView
のindexAt
メソッドを使用することができる。
インデックスロール
各デリゲートでは、デリゲートのスコープ内でインデックスロールを使用してインデックスを見つけることもできる。
インデックスロールは、model
で宣言したロールのようなものであり、ListView
により自動的に割り当てられる。
インデックスロールの詳細は、以下のWebサイトを参照すること。
http://qt-project.org/doc/qt-5/qtquick-modelviewsdata-modelview.html#qml-data-models
ListView
{
delegate: ColumnLayout
{
property int indexOfThisDelegate: index
// ...略
}
}
モデル内のアイテムのインデックスを含む特別なインデックスロールも、デリゲートが利用できる。
モデルからアイテムを削除した場合、このインデックスは-1
に設定されることに注意する。
currentItemプロパティ
ListView
のcurrentItem
プロパティに明示的に値を割り当てて、ListView
自身でスクロールできるようにする。
ListView
のcurrentItem
プロパティの詳細は、以下のWebサイトを参照すること。
http://qt-project.org/doc/qt-5/qtquick-views-objectmodel-objectmodel-qml.html
右クリックの有効化
ListView
のアイテムを右クリックを有効にするには、delegate
のアイテムにMouseArea
コントロールを追加して、
MouseArea
コントロールのacceptedButtons
プロパティにQt.RightButton
を追加する。
以下の例では、ListViewのアイテムを右クリックした時、コンテキストメニューを表示している。
ListView {
id: listView
width: 300
height: 200
model: ListModel {
ListElement {
a: 1
b: 2
}
ListElement {
a: 3
b: 4
}
}
delegate: Rectangle {
id: rect
height: parent.height
left: parent.left
right: parent.right
verticalCenter: parent.verticalCenter
MouseArea {
anchors.fill: parent
acceptedButtons: Qt.LeftButton | Qt.RightButton
onClicked: {
if (mouse.button == Qt.LeftButton)
{ // 左クリック
}
else if (mouse.button == Qt.RightButton)
{ // 右クリック
contextMenu.popup()
}
}
}
}
Menu {
id: contextMenu
MenuItem {
text: qsTr('Context Menu 1')
}
MenuItem {
text: qsTr('Context Menu 2')
}
}
}