電子部品 - コンデンサ

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概要

コンデンサには、電解コンデンサ、フィルムコンデンサ、セラミックコンデンサなど様々な種類がある。
さらに細かく分類すると、電解コンデンサでは、アルミ電解コンデンサやタンタル電解コンデンサ等、
フィルムコンデンサではPETフィルムコンデンサやPPフィルムコンデンサ等が存在する。

コンデンサは、電源の安定やノイズ(瞬間的な大電圧)の吸収等の用途がある。
コンデンサは用途によって、様々な種類を使い分ける必要があり、その特性は誘電体によって決まる。
つまり、コンデンサの種類の違いは誘電体の違いでもある。

次に、コンデンサの種類を記載する。


コンデンサの種類

以下に、コンデンサの有名な種類について記載する。
コンデンサにおいて有名なものは、電解コンデンサ、フィルムコンデンサ、セラミックコンデンサ、スーパーキャパシタとなる。
この4種類のコンデンサの特徴と長所と短所をまとめた図を以下に示す。

ErectricParts Condeser 1.jpg


以下にコンデンサの分類図を示す。
以下のセクションでは、各種類について詳しく説明する。

ErectricParts Condeser 2.jpg



固定コンデンサと可変コンデンサ

コンデンサは容量が固定の固定コンデンサと容量が可変の可変コンデンサに分類される。

後ほど詳しく記載するが、電解コンデンサやフィルムコンデンサ等は固定コンデンサとなる。
一方、可変コンデンサには、印可電圧によって静電容量を変えるもの(電圧調整コンデンサ)やドライバ等を用いて機械的に静電容量を変えるもの(トリマーコンデンサ等)がある。

可変コンデンサの種類をまとめると下図のようになる。

ErectricParts Condeser 3.jpg



有極性コンデンサ

固定コンデンサは大きく、有極性コンデンサと無極性コンデンサに分類される。

有極性コンデンサは2つの端子のうち正極側が決まっているコンデンサである。
電解コンデンサ、スーパーキャパシタ等が有極性コンデンサとなる。

電解コンデンサ

電解コンデンサは、電解質に誘電体として酸化アルミニウムを用いている。

電解コンデンサは陽極、陰極、誘電体、電解質の種類によって分類される。
液体電解質の電解コンデンサで有名なのが湿式アルミ電解コンデンサと乾式アルミ電解コンデンサである。一般的に、電解コンデンサと言えばこのタイプを指す。

まず、電解コンデンサは電解質が液体である液体電解質と固体である固体電解質に分類される。

液体電解質を使用した電解コンデンサは、"湿式"や"非固体"が電解コンデンサの名称に付く。(例. 湿式アルミ電解コンデンサやアルミニウム非固体電解コンデンサ等)
また、電解コンデンサには、電解質ペーストを使用した乾式電解コンデンサというものがある。
アルミ電解コンデンサは、当初は電解質が水溶液の湿式電解コンデンサが主流だったが、現在では、乾式が主流となっている。

一方、固体電解質を使用した電解コンデンサは、固体が電解コンデンサの名称に付く。(例. タンタル固体電解コンデンサ等)
固体電解質の電解コンデンサで有名なのが、タンタル(固体)電解コンデンサである。

さらに、電解コンデンサは各電解質において、陽極や陰極、誘電体、電解質の種類によって分類される。
下表に、電解コンデンサのは陽極、陰極、誘電体、電解質による分類表を示す。

液体電解質 固体電解質
(湿式)
アルミ電解コンデンサ
(乾式)
アルミ電解コンデンサ
タンタル固体
電解コンデンサ
有機半導体
固体電解コンデンサ
導電性高分子
アルミ電解コンデンサ
導電性高分子
タンタル電解コンデンサ
ニオブ
固体電解コンデンサ
酸化ニオブ
固体電解コンデンサ
陽極 アルミ箔 アルミ箔 タンタル アルミ箔 アルミ箔 タンタル 金属ニオブ 酸化金属ニオブ
誘電体 酸化アルミニウム 酸化アルミニウム 五酸化タンタル 酸化アルミニウム 酸化アルミニウム 五酸化タンタル 五酸化ニオブ 五酸化ニオブ
電解質 電解液 電解液
(ペースト状)
二酸化マンガン 有機半導体 導電性高分子 導電性高分子 二酸化マンガン 二酸化マンガン
陰極 アルミ箔 アルミ箔 グラファイト
または
アルミ箔 アルミ箔 グラファイト
または
グラファイト
または
グラファイト
または
ErectricParts Condeser 4.jpg


他のコンデンサに比べて大容量という特徴があり、電源部に多く使用される。

有極性で使い方を間違えるとあっという間に故障してしまう可能性があり、周波数特性や温度特性が悪いという欠点もある。
回路設計では、アルミ電界コンデンサの電流、電圧、温度、実装などの検証が重要である。

  • 電解コンデンサの主な特徴
    • 耐圧と容量の品種が豊富
    • 安価
    • 寿命がある
    • サイズが大きい
    • 極性がある


  • 電解コンデンサの主な用途
    • 平滑用
    • デカップリング用


電解コンデンサの故障モードと原因

アルミ電解コンデンサ

アルミ電解コンデンサは、"湿式"と"乾式が存在する。
当初、アルミ電解コンデンサは電解質が水溶液の湿式電解コンデンサが主流だったが、現在では、乾式が主流となっている。

(湿式)アルミ電解コンデンサは、陽極部と陰極部は共にアルミ箔、誘電体がアルミ酸化皮膜(酸化アルミ二ウム : Al2O3)、
電解質が電解質水溶液(溶媒に電解質を溶かした液体)の電解コンデンサである。
電気分解により、陽極のアルミ箔の表面に誘電体(アルミ酸化皮膜)の絶縁層を形成しており、アルミ箔と電解液を使用するので、アルミ電解コンデンサと呼ばれる。

(乾式)アルミ電解コンデンサは、電解質がホウ酸アンモニウムとエチレングリコール(またはグリセリン)を使用したペースト状の電解液の電解コンデンサである。
陽極部、陰極部、誘電体は、(湿式)アルミ電解コンデンサと同じである。

誘電体(アルミ酸化皮膜)とアルミ箔との間に紙(セパレート紙)を挟んでお互いに接触しないようにしながらロール状に巻き、液体の電解質に浸して封じた構造となっている。

電解コンデンサには様々な種類があるが、このアルミ電解コンデンサが最も有名である。
そのため、電解コンデンサと言えばこのアルミ電解コンデンサを指していることがほとんどである。
また、電解コンデンサは誘電体(アルミ酸化皮膜)と電解液が化学反応をしているため、ケミカルコンデンサ(ケミコン)とも呼ばれている。

  • 特徴
    • 誘電体膜を薄くできるため、大容量コンデンサの主流を占めている。
    • 電解質が液体であるため、コンデンサの封口部から電解液が蒸発(ドライアップ)するため、(湿式)アルミ電解コンデンサには寿命がある。
    • 酸化皮膜は、漏れ電流の存在によって常時修復され続けるため、電解コンデンサを無負荷で長時間放置(約2年)すると、電解コンデンサの陽極部のアルミ酸化皮膜が電解液と化学反応を起こして劣化する。
      劣化した場合は、電圧を印加し漏れ電流を流すことで、電解液によりアルミ酸化皮膜が修復される。


  • 長所と短所
    • 耐圧・容量の品種が多い。
    • 安い。
    • 寿命がある。
    • サイズが大きい。
    • 周波数特性が悪い。
    • 温度特性が悪い。
    • 漏れ電流が大きい。
    • 誘電体損失が大きい。


(湿式)タンタル電解コンデンサ

タンタル電解コンデンサは、電解質が液体である湿式タンタル電解コンデンサと固体であるタンタル固体電解コンデンサがある。
湿式タンタル電解コンデンサの方が、漏れ電流が小さいという特徴があるが、逆電圧には弱く、逆電圧が印加されると容易にショート故障してしまうという特徴がある。

タンタルコンデンサは、誘電体として五酸化タンタルを用いている。周波数特性と温度特性が良く、比較的大きい容量を持っている。
アルミ電解コンデンサと同じ有極性で、故障した場合は導通(ショート)モードになる恐れがあるので、回路設計には注意が必要である。

電解コンデンサの故障モードと原因

タンタル固体電解コンデンサ

陽極部がタンタル金属粉の燃結体、陰極部が銀層とグラファイト層、誘電体がタンタル酸化皮膜(五酸化タンタル:Ta2O5)、電解質が二酸化マンガン(固体)の電解コンデンサである。
基本構造は、(湿式)アルミ電解コンデンサとほとんど同じである。

(湿式)アルミ電解コンデンサよりも小型であり、漏れ電流特性、周波数特性、温度特性も優れている。
また、電解質が固体のため、ドライアップが無く寿命が長い特徴がある。
ただし、コストが高く、また故障した場合は導通(ショート)モードになる恐れがあるので、回路設計には注意が必要である。

電解コンデンサの故障モードと原因

有機半導体系固体電解コンデンサ(OSコン)

有機半導体系固体電解コンデンサは、OSコンとも呼ばれており、(湿式)アルミ電解コンデンサとタンタル固体電解コンデンサの両方の欠点を解決したコンデンサである。
OSコンのOSは「Organic Semiconductor(有機半導体)」の頭文字から取っている。

陽極、陰極、誘電体は(湿式)アルミ電解コンデンサと同じであり、電解質に固体の有機半導体を使用している点が異なる。
OSコンの封口部は、エポキシ樹脂で固められているため、(湿式)アルミ電解コンデンサの短所であるドライアップが無い。
また、高温にも耐えられるため、寿命が改善されている。

しかし、固体電解質を使用しているため、(湿式)アルミ電解コンデンサと比較すると、酸化皮膜の修復能力が劣る。
酸化皮膜の劣化が修復されないため、落下や圧迫等の衝撃を与えないように注意しなければならない。
また、ハンダ付け時は過熱と冷却により、酸化皮膜が収縮・膨張をするため、酸化皮膜が劣化する。
この場合は、長時間電圧を印可して、酸化皮膜を修復する必要がある。

導電性高分子固体電解コンデンサ

電解質に導電性高分子(固体)を使用したコンデンサである。
導電性高分子アルミ電解コンデンサと導電性高分子タンタル電解コンデンサの2種類ある。

導電性高分子を使用することで、セラミックコンデンサより劣るが、(湿式)アルミ電解コンデンサやタンタル固体電解コンデンサよりも特性が良くなり、
また、セラミックコンデンサでは実現が難しい高耐圧・大容量を得ることができる。

また、導電性高分子の電気伝導率は非常に高いため、等価直列抵抗(ESR)が低く、リプル吸収用途では、他の電解コンデンサよりも優れている。
なお、導電性高分子の電気伝導率は、(湿式)アルミ電解コンデンサの約10000倍、タンタル固体電解コンデンサの二酸化マンガンの1000倍となっている。

これらの特徴から、導電性高分子系固体電解コンデンサへの置き換えが進んでいる。
しかし、高価であり、また定格電圧が低いため、用途に応じて他の電解コンデンサと使い分ける。

  • 導電性高分子アルミ電解コンデンサ
    導電性高分子アルミ電解コンデンサは、導電性高分子コンデンサにおいて、陽極部と陰極部がアルミ箔であるコンデンサである。
    言い換えれば、電解質以外は(湿式)アルミ電解コンデンサと同じである。


  • 導電性高分子タンタル電解コンデンサ
    導電性高分子タンタル電解コンデンサは、導電性高分子コンデンサにおいて、陽極部と陰極部がタンタル金属粉の燃結体であるコンデンサである。
    言い換えれば、電解質以外はタンタル固体電解コンデンサと同じである。


ニオブ固体電解コンデンサ

陽極部が金属ニオブ粉体の燃結体、陰極部が銀層とグラファイト層、誘電体が五酸化ニオブ(Nb2O5)、電解質が二酸化マンガンまたはポリマー電解質(固体)の電解コンデンサである。
電解質がアノードの表面を覆っている構造となっている。

タンタル電解コンデンサと比較すると、供給の安定化と低価格化が期待される。
また、タンタル固体電解コンデンサより逆電圧耐性が高く、大容量化できるため、タンタル電解コンデンサの置き換えとして期待されている。
加えて、一般的に、タンタル固体電解コンデンサは耐圧の50%までで使用するが、ニオブ固体電解コンデンサは耐圧の80%まで使用することができる。

酸化ニオブ固体電解コンデンサ

陽極部が金属ニオブ粉体の燃結体ではなく、酸化金属ニオブ粉体の燃結体であるコンデンサである。
故障モードがオープンのため、安全性が高いという特徴がある。

スーパーキャパシタ

スーパーキャパシタとは

スーパーキャパシタは、数10[mF]以上の非常に大きな静電容量があるため、メモリ等のバックアップなどに使用されるコンデンサである。(ウルトラキャパシタとも呼ばれる)

このスーパーキャパシタは大きく電気二重層キャパシタ(EDLC)、擬似キャパシタ(シュードキャパシタ、レドックスキャパシタ)、ハイブリッドキャパシタに分類される。
この中で最も有名なのが、電気二重層キャパシタ(EDLC)である。

電気二重層キャパシタ

電気二重層キャパシタ(EDLC:Electrical Double Layer Capacitor)は、誘電体を持っていないコンデンサである。外観は電解コンデンサと似ている。
(電解コンデンサは電解液、セラミックコンデンサはセラミックが誘電体である)

固体(活性炭電極)と液体(電解液)の界面に形成される電気二重層(Electrical Double Layer)を誘電体の代わりとして使用している。

この電気二重層キャパシタは、アルミ電解コンデンサと二次電池(バッテリ)の中間的な特徴を持つコンデンサである。
容量密度はアルミ電解コンデンサの1000~10000倍以上、二次電池の程度となっている。
また、二次電池(バッテリ)の欠点である充放電回数の制限が無いため、メンテナンスフリーというメリットがある。

二次電池(バッテリ)は化学反応によって電荷を蓄えている。
一方、電気二重層キャパシタは電解液に浸した活性炭電極の表面にイオンを吸着させて、電気二重層(Electric Double Layer)を形成することで電荷を蓄えている。
そのため、バッテリは充電に数時間を要するが、電気二重層キャパシタは数秒で充電が終わる。(急速充放電に優れている)

なお、電気二重層コンデンサの充放電は、正極と負極の活性炭の電極表面のイオンの吸着と脱着を利用している。

また、二次電池(バッテリ)は回収・廃棄・関税の規制があるが、電気二重層キャパシタにはそれが無い。

  • スーパーキャパシタの主な特徴
    • 容量が桁外れに大きい
    • 充放電回数に制限がない
    • サイズが大きい
    • 極性がある


  • スーパーキャパシタの主な用途
    • ICメモリのデータ保護用
    • バックアップ用電源
    • モータ起動時の電力のアシスト
    • 供給用電源


擬似キャパシタ(シュードキャパシタ、レドックスキャパシタ)

電気二重層キャパシタ(EDLC)に近い蓄電デバイスであり、ファラデー反応を利用したキャパシタである。

擬似コンデンサは、電極と電解質間の電子電荷移動により電気エネルギーをファラデー的に蓄積しており、
急速充放電可能大容量なエネルギー蓄積デバイスとして次世代のエネルギー源として期待されています。

ハイブリッドキャパシタ(Hybrid Capacitor)

2つの電極のうち、片方の電極が電気二重層を使用し、他方の電極がレドックス反応(酸化還元反応)を使用したキャパシタである。

ハイブリッドキャパシタの例に、Liイオンキャパシタ(リチウムイオンキャパシタ)がある。
リチウムイオンキャパシタは陽極が電気二重層、陰極がLiイオン二次電池の構造をしている。


無極性コンデンサ

セラミックコンデンサ

セラミックコンデンサは、誘電体としてセラミック(チタン酸バリウム等)を用いたコンデンサである。
誘電率の大きさや高周波特性が良いという特徴がある。

セラミックコンデンサは、誘電体に使用するセラミックの種類によって、低誘電率系(種類1、Class I)、高誘電率系(種類2、Class II)、半導体系(種類3、Class III)に分類される。
回路上では、低誘電率系と高誘電率系を主に使用する。

低誘電率系は、小容量だが、温度による容量変化が小さいという特徴がある。
高誘電率系は、大容量だが、温度による容量変化が大きいという特徴があるため、大容量が必要な箇所には、必然的に高誘電率系のセラミックコンデンサを使用することになる。

主な用途として、平滑回路、バイパス回路、デガップリング回路等がある。

  • セラミックコンデンサの主な特徴
    • 極性がない。
    • 高周波特性が良い。(ESRが低い)
    • 高耐熱
    • 長寿命
    • 印可電圧によって容量が変化する特性(DCバイアス特性)を持っている。
      DCバイアス特性は誘電率が大きいものほど顕著に現れる。
    • 温度によって静電容量が大きく変化する。
    • 高周波による振動で音鳴りが発生する。
    • 温度/機械的衝撃によりクラック、割れ、欠けが発生しやすい。


  • セラミックコンデンサの主な用途
    • 平滑用
    • カップリング用
    • デカップリング用
    • 高周波回路


構造による分類

セラミックコンデンサには、単板型と積層型がある。
単板型は、リード線タイプのみだけあるが、積層型はリード線タイプ(ラジアル)と表面実装型(SMD)がある。

また、単板型は温度特性が悪い(温度によって静電容量の変化が大きい)特徴があったが、低誘電率系セラミックコンデンサの出現により、使用範囲が広くなった。
その結果、セラミックコンデンサは、コンデンサの中で最も使用されるコンデンサとなった。

  • 単板型の特徴
    • 茶色の円板形の外観である。
    • 一般用のものには、絶縁・耐湿用としてワックスが塗られている。はんだ付けの時にワックスは溶けるが、冷えると元に戻る。
    • 周波数特性が良いため、高周波用途(ラジオやテレビなど)で使用される。


  • 積層型の特徴
    • 青色の四角の平らな外観である。
    • ICや電源のバスコンに使用される。


低誘電率系(種類1、Class I)

TiO2(酸化チタン)などを使用したセラミックコンデンサである。

低誘電率系は、小容量だが、温度による容量変化が小さいという特徴がある。
しかし、高誘電率系より形状が大きく、大容量化に向かない。

低誘電率系のセラミックコンデンサは、インダクタ(コイル)とコンデンサの共振現象を利用した高周波回路やフィルタ回路などに用いられる。
インダクタは、温度が上がるとインダクタンスが増加する性質があるため、コンデンサには負の温度特性(温度が上がると、静電容量が減少する)を持たせて、
インダクタの温度による変化を補う使い方をする場合がある。
そのため、低誘電率系のセラミックコンデンサは温度補償用コンデンサとも呼ばれている。

  • 特徴
    • 大容量が得られない。
    • 温度による容量変化が小さい。
    • 温度補償用コンデンサともいう。


  • 用途
    • 高周波回路


高誘電率系(種類2、Class II)

BiTiO3(チタン酸バリウム)やPbO(酸化鉛)などを誘電率の高い材料を使用したセラミックコンデンサである。
低誘電率系と比較すると、静電容量が大きいため、平滑回路やデカップリング回路などに用いられる。
しかし、高誘電率系のセラミックコンデンサは温度の変化によって静電容量が大きく変化する。

  • 特徴
    • 誘電率が高いため、大容量が得られる。
    • 温度による容量変化が大きい。


  • 用途
    • 電源の平滑回路
    • カップリング回路
    • デカップリング回路


半導体系(種類3、Class III)

SrTiO3(チタン酸ストロンチウム)などの半導体セラミックを使用したセラミックコンデンサである。

  • 特徴
    • 小型・大容量・高い絶縁抵抗


フィルムコンデンサ

フィルムコンデンサとは

フィルムコンデンサは、誘電体としてプラスチックフィルムを用いている。
フィルムコンデンサは、周波数特性(低ESR)と温度特性が良い特徴がある。
誘電体の材料として、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等がある。

セラミックコンデンサと比較すると、耐電圧や容量の箇所、高性能・高精度用途でフィルムコンデンサを使用する。

フィルムコンデンサは、高性能だが高価な部品のため、回路設計の際には本当に必要かどうかを見極める必要がある。

※備考
ESR(Equivalent Series Resistance)とは、等価直列抵抗のことであり、コンデンサに使われる誘電体の損失による抵抗を指している。

  • フィルムコンデンサの主な特徴
    • 極性がない。
    • 高周波特性が良い。(ESRが低い)
    • 誘電損失が低い。
    • 絶縁性能が良い。
    • 温度特性が良い。(温度によって静電容量の変化が小さい)
    • 静電容量の高精度対応が可能。
    • 長寿命
    • 形状が大きい。
    • 高価


  • フィルムコンデンサの主な用途
    • 電源ノイズの吸収用(ノイズフィルタ)
    • 放電回路用
    • 共振用


フィルムコンデンサの分類と種類

フィルムコンデンサは電極で分類され、金属箔電極と蒸着(メタライズド)電極のものが存在する。

金属箔電極を使用したフィルムコンデンサは、フィルムコンデンサ(プラスチックフィルムコンデンサ)と呼ばれている。
また、蒸着(メタライズド)電極を使用したフィルムコンデンサは、メタライズドフィルムコンデンサ(メタライズドプラスチックフィルムコンデンサ)と呼ばれている。

さらに、各電極において、使用する誘電体の種類によって細かく分類される。
例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)を誘電体に使用したものをPETフィルムコンデンサ、
PP(ポリプロピレン)を誘電体に使用したものをPPフィルムコンデンサと呼ぶ。(その他多くの種類が存在する)

なお、複数のプラスチックフィルムを複合して作成された複合フィルムコンデンサも存在する。

ErectricParts Condeser 5.jpg


電極による分類
  • 金属箔電極
    誘電体であるプラスチックフィルムを金属箔で挟んだ構成となっている。
    一般的に、使用される金属はアルミニウムである。
    金属箔電極のフィルムコンデンサは高いサージ電流に対して耐性がある。


  • 蒸着(メタライズド)電極
    誘電体であるプラスチックフィルムの上に金属層を重ねた構成となっている。
    紙に直接、金属を蒸着させて巻き取っている。
    一般的に、使用される金属はアルミニウムか亜鉛である。
    蒸着電極のコンデンサのことをMP(メタライズドペーパー)コンデンサや金属化紙コンデンサと呼ぶ。
ErectricParts Condeser 6.jpg


誘電体による分類

誘電体の種類による分類について記載する。
有名なフィルムコンデンサは、誘電体であるプラスチックフィルムにPET、PP、PPS、PENを使用したものであり、下表に特徴を示す。

項目 PETフィルムコンデンサ PPフィルムコンデンサ PPSフィルムコンデンサ PENフィルムコンデンサ
誘電体の種類 ポリエチレンナフタレート ポリプロピレン ポリフェニレンサルファイド ポリエチレンナフタレート
価格 ×
小型化
耐熱性
耐湿性
ESR
その他 ・マイラコンデンサとも呼ばれる。
・最も一般的なフィルムコンデンサ
現在では、PETフィルムコンデンサよりも
PPフィルムコンデンサの方が多く使用されている。
・高価である。
・PPフィルムコンデンサに近い特性を示す。
PETフィルムコンデンサに近い特性を示す。

◎ : かなり良い  ○ : 良い  △ : 普通  × : 悪い


PETフィルムコンデンサ

誘電体にポリエチレンテレフタレート(PET : Polyester)を使用したフィルムコンデンサである。
PETフィルムコンデンサは、金属箔電極と蒸着(メタライズド)電極の両方のタイプがある。見た目は、黄色の角型か丸目の四角である。

PETフィルムコンデンサは、別名マイラコンデンサ(ポリエチレンテレフタレートコンデンサ、ポリエステルコンデンサ)とも呼ばれており、最も一般的なコンデンサである。
オーディオ用、タイマICの時定数回路などに使用される。
小型・低価格なのが特徴で、耐熱性は良いが、耐湿性等その他の特性はPPフィルムコンデンサやPSフィルムコンデンサより劣る。

※補足
ポリエステルの種類には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PEN)等があるが、
ポリエステルで最も多く生産されているのがポリエチレンテレフタレート(PET)なので、ポリエステルコンデンサと言う場合はPETフィルムコンデンサを指す。

PPフィルムコンデンサ

誘電体にポリプロピレン(PP : Poly Propylene)を使用したフィルムコンデンサである。
別名ポリプロピレンコンデンサ(ポリプロピレンフィルムコンデンサ)とも呼ばれている。
金属箔電極と蒸着(メタライズド)電極の両方のタイプがある。

誘電正接(tanδ)が優れており(PETフィルムコンデンサの1/5~1/25)、高周波特性が良いため(低ESR)、高周波および大電流用途に使用されることが多いコンデンサである。
また、絶縁抵抗も高く(PETフィルムコンデンサの約10倍)、高安全・高耐湿性という特徴を持っている。

このような利点が多いPPフィルムコンデンサだが、大型・高価という欠点がある。
ただ、PPフィルムコンデンサは小型化技術が進み、現在では、PETフィルムコンデンサよりもPPフィルムコンデンサの方が多く使用されている。

PPSフィルムコンデンサ

誘電体にポリフェニレン・サルファイド(PPS: Polyphenylene Sulfide)を使用したフィルムコンデンサである。
別名ポリフェニレン・サルファイドコンデンサ(ポリフェニレン・サルファイドフィルムコンデンサ)とも呼ばれている。
PPSフィルムコンデンサは、蒸着(メタライズド)電極のものだけ存在する。

PPSフィルムコンデンサは、高耐熱であるため、表面実装用で使用されていることが多いコンデンサである。(リード線タイプも存在する)
PPSフィルムコンデンサの電気特性は、PPフィルムコンデンサに近い特性を示す。
また、高周波特性が良いが(低ESR)、他のフィルムコンデンサと比較して高価である。

PENフィルムコンデンサ

誘電体にポリエチレン・ナフタレート(PEN : Polyethylene Naphthalate)を使用したフィルムコンデンサである。
別名ポリエチレン・ナフタレートコンデンサとも呼ばれている。
PENフィルムコンデンサは蒸着(メタライズド)電極のものだけ存在する。

PENフィルムコンデンサは、小型・高耐熱の特徴があるため、表面実装用で使用されていることが多いコンデンサである。(リード線タイプも存在する)
PENフィルムコンデンサの電気特性は、PETフィルムコンデンサに近い特性を示す。

PSフィルムコンデンサ

誘電体にポリスチレン(PS : Polystyrene)を使用したフィルムコンデンサである。
別名スチロールコンデンサ(スチコン)、ポリスチレンコンデンサとも呼ばれている。
PSフィルムコンデンサの形状は、円筒形の透明なプラスチックである。

絶縁抵抗が高く、誘電損失が少ないため、主にオーディオ用として使用されていたが、耐圧が低いものが多い・大型・高価なため、
ニーズが無く、現在では製造中止となっている。(PETフィルムコンデンサに置き換えられているのがほとんどである)

PTFEフィルムコンデンサ

誘電体にポリテトラフルオロエチレン(PTFE : Polytetrafluoroethylene)を使用したフィルムコンデンサである。
別名ポリテトラフルオロエチレン・フィルムコンデンサとも呼ばれている。ポリテトラフルオロエチレンはテフロンという商品名で知られている。
金属箔電極と蒸着(メタライズド)電極の両方のタイプが存在する。

PTFEフィルムコンデンサは、大型・高価であるが、温度に対して耐性があり、ESRが非常に低いため、航空宇宙や軍事機器などの高品質の用途に使用されている。

PCフィルムコンデンサ

誘電体にポリカーボネート(PC : Polycarbonate)を使用したフィルムコンデンサである。
別名ポリカーボネートコンデンサ、ポリカーボネートフィルムコンデンサとも呼ばれている。
PCフィルムコンデンサは、金属箔電極と蒸着(メタライズド)電極の両方のタイプが存在する。

温度による静電容量の変化が少なく(温度特性が良い)、ESRが非常に低いため、過酷な環境でのフィルタ処理やタイミング回路等、
低損失で温度安定性が要求される用途に使用される。

紙コンデンサ

誘電体にプラスチックフィルムではなく、含油紙を使用したフィルムコンデンサである。(世界で最初のフィルムコンデンサである)

誘電体に紙を使用しているため、湿気を吸収するので、時間の経過と共に性能が低下するという欠点がある。
また、蒸着(メタライズド)電極の紙コンデンサは、自己修復特性を持つ。

パワーフィルムキャパシタ

フィルムコンデンサと同じ構造であり、高電力ACおよびDCアプリケーションで使用される。

複合フィルムコンデンサ

複数のプラスチックフィルムを複合して作成された複合フィルムコンデンサである。

例えば、ポリプロピレン(PP : Poly Propylene)と紙を複合したコンデンサは、紙コンデンサにPPと組み合わせることで定格電圧を上げ、性能を改善したものである。

可変コンデンサ

可変コンデンサとは

可変コンデンサには、ドライバなどを用いて機械的に静電容量を調整するもの、印可電圧で静電容量を調整するものなど様々な種類がある。

可変コンデンサの種類には、バリアブルコンデンサと可変雲母コンデンサに分類される。

  • バリアブルコンデンサ(バリコン)
    静電容量を連続的に可変するコンデンサである。略して、バリコンとも呼ばれている。
    ドライバやツマミを介して機械的に容量値を変更する。
    バリアブルコンデンサは、機械調整コンデンサと電圧調整コンデンサに分類される。

    • 機械調整コンデンサ
      扇形の電極対が向かい合っている構造となっており、ツマミやドライバで一方を回転させることで、電極対向面積を変えて静電容量を変化させるコンデンサである。
      なお、機械的に静電容量を変化させる構造なので、静電容量の大きなものを製造することが難しく、pFオーダーのものが多い。
      また、誘電体には空気、セラミック、プラスチックフィルムが用いられる。

      機械調整コンデンサは、同調コンデンサとトリマーコンデンサに分類される。

      • 同調コンデンサ
        一般的に、無線調整のLC回路で使用されているコンデンサであり、ラジオの選局時等、頻繁に静電容量を変化させる用途で用いる。
        この同調コンデンサのことをバリアブルコンデンサ(バリコン)と呼んでいる場合もある。
        誘電体の材料は主に、空気または雲母を使用している。

        同調コンデンサは、エアバリコンとポリバリコンに分類される。

        • エアバリコン
          空気を誘電体とする同調コンデンサである。
          静電容量を稼ぐために、複数の電極板を重ねた構造となっている。

          高耐圧に耐えられるため、エアバリコンの種類にタイトバリコンが存在する。
          タイトバリコンとは、電極を保持する絶縁体に磁器(ステアタイト)を使用した同調コンデンサである。

        • ポリバリコン
          薄いポリエチレンフィルムを誘電体とする同調コンデンサである。
          ラジオの周波数ダイヤル等に使用されている。

      • トリマーコンデンサ
        製品出荷前や工場でのメンテナンス等、調整する時にだけ静電容量を変化させるコンデンサである。
        ドライバを使用することにより、静電容量を変化させる。
        誘電体の材料は主に、空気またはセラミックを使用している。

    • 電圧調整コンデンサ(バリキャップ)
      印可電圧によって静電容量を変化させるコンデンサである。(バリキャップ、可変容量ダイオード、バラクタとも呼ばれている)
      ダイオードの空乏層を誘電体として用いている。

      ダイオードに印可する逆電圧の大きさによって空乏層の厚さが変化する特性を利用して、電気的に静電容量を可変させる。
      このコンデンサの主な用途は、VCO、位相同調回路、PLLである。

  • 可変雲母コンデンサ
    静電容量を断続的に可変するコンデンサである。
    各容量の固定コンデンサを切り換えスイッチにより変化させる。回路調整や測定用の標準器等に使用されている。



その他のコンデンサ

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マイカコンデンサ

マイカコンデンサは、天然絶縁体である雲母(うんも)を誘電体に使用しているコンデンサである。
天然材料を使用しているため、コストが高いのが欠点である。
ただし、精度が良く、高寿命、高安定なので、測定器など限られた分野で使用されている。

  • マイカコンデンサの主な特徴
    • 容量温度係数が小さく一定で容量の精度も良い
    • 静電正接・誘電体損失が非常に小さい
    • 高周波特性が良い
    • 鉱物を誘電体に使用しているため、高温でも使用可能
    • 厚さを薄くできないため、大きい
    • 高価


空気コンデンサ

空気コンデンサは、空気を誘電体に使用しているコンデンサである。(絶縁状態にある2つの導体が向き合えば、コンデンサが形成される)
エアギャップで分離された2つの導電性プレートで構成されている。

空気コンデンサには、容量が固定の固定空気コンデンサと容量が可変の可変空気コンデンサがある。
固定空気コンデンサはほとんど使用されていない。
可変空気コンデンサは、構造が単純なため、頻繁に使用される。また、可変空気コンデンサは、エアバリコン(Airvaricon)とも呼ばれている。

ガラスコンデンサ

ガラスコンデンサは、高周波回路において性能が必要な場合に使用される。

ガラスコンデンサの容量値は比較的低く、容量の範囲は、数[pF]~数千[pF]である。

ガラスコンデンサは、他の種類のコンデンサと比較するとコストが高い。

無極性電解コンデンサ(BPコンデンサ、NPコンデンサ)

陽極側、陰極側の双方に酸化皮膜を形成したコンデンサである。

両極性コンデンサには電解コンデンサの表面にB.P.またはN.P.の表示がある。
なお、B.P.は両極性を表すBi-Polarizedの頭文字で、N.P.は無極性を表すNon-Polarizedの頭文字である。

オイルコンデンサ

オイルコンデンサは、絶縁油を含浸した紙を誘電体に使用しているコンデンサである。

真空管を使用したオーディオアンプやギターアンプ等で使用されている。


コンデンサの容量の読み方と許容差(誤差)の記号

コンデンサの静電容量の読み方

コンデンサの静電容量は、一般的には数字3桁で表す。
また、後述するが、許容差はアルファベット1文字で表す。

静電容量の読み方は、以下の3つの場合で読み方が異なる。

  • 静電容量が100pF以上の場合
    最初の1桁目が第1数字、2桁目が第2数字、3桁目が乗数(10のN乗)を表す。
    例えば、"473"の場合、となる。

  • 静電容量が100pF未満の場合
    数字1桁や2桁の場合は、そのまま読む。
    例えば、"22"の場合、となる。

  • 数字ではなくRを使用している場合
    Rは小数点を表しており、Rの箇所を小数点に置き換えて読む。
    例えば、"1R5"の場合、となる。


※補足
一般的に販売されているコンデンサは、E6系列(10、15、22、33、47、68)が多い。
1[μF]を超える大容量のコンデンサは、そのまま容量値を表示してある場合がほとんどである。
また、電解コンデンサは、一般的にそのまま容量値が表示されている。

コンデンサの許容差(誤差)の記号

コンデンサは、静電容量を示す3桁の数字に続けて、アルファベット1文字で許容差を表す。
下表に、許容差(誤差)を示す。
静電容量が10[pF]以下の場合と静電容量が10[pF]以上の場合でアルファベットの意味が異なることに注意する。

例えば、コンデンサに"101K"と表示されている場合、となる。
したがって、100[pF]のコンデンサで許容差がK(±10%)の場合、90[pF]~110[pF]まで静電容量がばらつく。

アルファベット 許容差(誤差)
10[pF]以下 10[pF]以上
B ±0.1[pF] ±0.1[%]
C ±0.25[pF] ±0.25[%]
D ±0.5[pF] ±0.5[%]
E ±2[pF] -
F ±1[pF] ±1[%]
G - ±2[%]
H - ±3[%]
J - ±5[%]
K - ±10[%]
M - ±20[%]
N - ±30[%]
Q - -10[%]〜+30[%]
T - -10[%]〜+50[%]
S - -20[%]〜+50[%]
Z - -20[%]〜+80[%]


  • 静電容量が10[pF]以下の場合
    B、C、D、F、Gで許容差を表す。
    許容差の単位は、pFとなる。

  • 静電容量が10[pF]以上の場合
    B~Zで許容差を表す。
    許容差の単位は、%となる。


※補足
一般的に販売されているコンデンサは、J(±5%)、K(±10%)、M(±20%)である。

フィルムコンデンサ、マイカコンデンサ、温度補償用セラミックコンデンサ等では、F(1%)よりも高い精度のものも存在する。
アルミ電解コンデンサや電気二重層コンデンサは精度が悪く、K(±10%)以上のものが一般的である。

高精度の部品は値がバラつかないため、高い信頼性があるが、部品コストが高くなる。