電子部品 - コネクタ
概要
コネクタの構造
コネクタは、下図に示すように、ポスト、ハウジング、コンタクトピンで構成されている。
- ポスト(下図左)
- コネクタのオス側
- ハウジング(下図中央)
- コネクタのメス側
- コンタクトピン(下図右)
- ケーブルに圧着してハウジングに差し込むメス側のコネクタピン
コネクタの種類
コネクタの種類の概要
小型で入手性の良い日本圧着端子製造株式会社(JST)のコネクタが有名である。
コネクタは、小型になるほど細い配線しか接続できず大電流には向かない。また、コネクタの挿抜も難しくなる。
大型になるほど太い配線にすることができ、より多くの電流を流すことができる。耐圧や耐久性も高く挿抜も簡単である。
下表は、代表的で入手性の良いコネクタを示す。
シリーズ | ピッチ | 容量 | 接触抵抗 | 配線の太さ | 特徴 |
---|---|---|---|---|---|
ZH | 1.5[mm] | 50[V] 1[A] | ≦ 20[mΩ] | AWG 26 - 32 | より小型 |
PH | 2.0[mm] | 100[V] 2[A] | ≦ 10[mΩ] | AWG 24 - 32 | 小型 |
EH | 2.5[mm] | 250[V] 3[A] | ≦ 10[mΩ] | AWG 22 - 32 | やや小型 |
XH | 2.5[mm] | 250[V] 3[A] | ≦ 10[mΩ] | AWG 22 - 30 | 普通 |
PA | 2.0[mm] | 250[V] 3[A] | ≦ 10[mΩ] | AWG 22 - 28 | サイズは普通、ロック性は強ロック |
NH | 2.5[mm] | 250[V] 3[A] | ≦ 15[mΩ] | AWG 22 - 30 | サイズはやや大きい、ロック性は強ロック |
VH | 3.96[mm] | 250[V] 10[A] | ≦ 10[mΩ] | AWG 16 - 22 | 大型 |
オススメ | |
---|---|
JST XHコネクタ ベース付ポスト ハウジング コンタクトピン 2.54mm メス オス 460個 |
2~6ピンまでのXHコネクタのセットが460個入っている。 ただし、JSTの互換品である。 |
JST PHコネクタ 2.0mm コネクタ ハウジング コンタクトピン 2 / 3 / 4 / 5ピン 230個 |
2~5ピンまでのPHコネクタのセットが150個入っている。 ただし、JSTの互換品である。 |
QIコネクタ / デュポンコネクタ 620個 |
オス側とメス側のハウジングとコンタクトピンのセットが入っている。 対基板で使用する場合は、別途ピンヘッダが必要である。 |
JST PHコネクタ 2.0mm 20ペア |
オスとメスがセットになっているため、圧着不要で基板と配線できる。 |
JST XHコネクタ 2S-6S |
ケーブル付きXHコネクタ(メス)である。 バッテリーとの接続が想定されている。 |
ZHコネクタ
ZHコネクタは、1.5[mm]ピッチの小型コネクタであり、最大50[V] 1[A]まで可能である。
小型のため、場所をとらない箇所に使用する。
基板の厚さは1.6tだけでなく、1.0tでも合うように、ポストのピンの長さには2種類のラインナップが存在する。
横型(特に2~4ピン)は接続が弱いため、挿抜頻度が高い用途では注意が必要となる。
トップ型番 | B2B-ZR-3.4 〜 B13B-ZR-3.4 | 2~13ピン |
サイド型 | S2B-ZR-3.4 ~ S13B-ZR-3.4 | 2~13ピン |
ハウジング | ZHR-2 ~ ZHR-13 | 2~13ピン |
コンタクト | BZH-002T-P0.5 | AWG 26~28用 |
コンタクト | BZH-003T-P0.5 | AWG 28~32用 |
PHコネクタ
PHコネクタは、2.0[mm]ピッチの小型コネクタであり、最大100[V] 2[A]まで可能である。
小型のため、場所をとらない箇所に使用する。
ただし、2.54[mm]ピッチのユニバーサル基板には使用できない。
また、横型(特に2~4ピン)は接続が弱いため、挿抜頻度が高い用途では注意が必要となる。
トップ型番 | B2B-PH-K-S ~ B16B-PH-K-S | 2~16ピン |
サイド型 | S2B-PH-K-S ~ S16B-PH-K-S | 2~16ピン |
ハウジング | PHR-2 ~ PHR-16 | 2~16ピン |
コンタクト | BPH-002T-P0.5S | AWG 24~30用 |
EHコネクタ
EHコネクタは、2.5[mm]ピッチの汎用コネクタであり、最大250[V] 3[A]まで可能である。
大きさはPHコネクタより大きく、XHコネクタより小さい。
また、ユニバーサル基板でも使用できる汎用的なコネクタである。
トップ型番 | B2B-EH ~ B15B-EH | 2~15ピン |
サイド型 | S2B-EH ~ S15B-EH | 2~15ピン |
ハウジング | EHR-2 ~ EHR-15 | 2~15ピン |
コンタクト | BEH-001T-P0.6 | AWG 22~30用 |
XHコネクタ
XHコネクタは、2.5[mm]ピッチの汎用コネクタであり、最大250[V] 3[A]まで可能である。
EHコネクタと容量やピッチは同じであるが、やや大きめのサイズとなっているため、コネクタの挿抜が簡単である。
EHコネクタと同様、ユニバーサル基板にも使用できる汎用的なコネクタである。
トップ型番 | B2B-XH-A ~ B20B-XH-A | 2~20ピン |
サイド型 | S2B-XH-A ~ S16B-XH-A | 2~16ピン |
ハウジング | XHP-2 ~ XHP-20 | 2~20ピン |
コンタクト | BXH-001T-P0.6 | AWG 22~28用 |
PAコネクタ
PAコネクタは、2.0[mm]ピッチのコネクタであり、最大250[V] 2[A]まで可能である。
強いロック機構が付いているため、振動環境に強いコネクタといえる。
PHコネクタと比較して、サイズが少し大きく高さがあるため場所を取るが、コネクタの挿抜は簡単である。
また、中継接続用等の形状もラインナップされている。
トップ型番 | B02B-PASK ~ B16B-PASK | 2~16ピン |
サイド型 | S02B-PASK-2 ~ S16B-PASK-2 | 2~16ピン |
ハウジング | PAP-02V-S ~ PAP-16V-S | 2~16ピン |
コンタクト | SPHD-001T-P0.5 | AWG 22~26用 |
コンタクト | SPHD-002T-P0.5 | AWG 24~28用 |
NHコネクタ
NHコネクタは、2.5[mm]ピッチの汎用コネクタであり、最大250[V] 3[A]まで可能である。
XHコネクタやEHコネクタと容量やピッチは同じであるが、サイズが大きく、より頑丈なロック機構となっている。
また、余裕のある形状であるため、コネクタの挿入が簡単である。
トップ型番 | B2P-SHF-1AA ~ B25P-SHF-1AA | 2~25ピン |
サイド型 | BS2P-SHF-1AA ~ BS25P-SHF-1AA | 2~25ピン ※欠番あり |
ボトム型 | BE2P-SHF-1AA ~ BE15P-SHF-1AA | 2~15ピン |
ハウジング | H2P-SHF-AA ~ H25P-SHF-AA | 2~25ピン |
コンタクト | SHF-001T-0.8BS | AWG 22~28用 |
コンタクト | SHF-002T-0.8BS | AWG 28~30用 |
VHコネクタ
VHコネクタは、3.96[mm]ピッチの中型コネクタであり、最大250[V] 10[A]まで可能である。
サイズや容量が大きいため、電源やオーディオ出力等に使用されている。
トップ型番 | B2P-VH ~ B10P-VH | 2~10ピン |
サイド型 | B2PS-VH ~ B10PS-VH | 2~10ピン |
ハウジング | VHR-2N ~ VHR-10N | 2~10ピン |
コンタクト | BVH-21T-P1.1 | AWG 18~22用 |
コンタクト | BVH-41T-P1.1 | AWG 16~20用 |
QI(2550)コネクタ
QIコネクタは、最大250[V] 3[A]まで可能な汎用コネクタである。
2.54[mm]ピッチのため、ユニバーサル基板でも使用できる。また、PCの配線にも使用されている。
ただし、サイズが大きいため小型化には不向きある。
また、コネクタの接続が弱いため、振動や力の加わる環境では使用しない。
QIコネクタのポスト(オス側)は、ピンヘッダと呼ばれる汎用ピンを使用する。
メス側のコネクタも存在するため、対基板用途だけでなく、空中結線にも使用できる。
※QIコネクタやピンヘッダには多くの品種やメーカーがあり、サイズ等が多少異なる場合があるため、注意すること。
コネクタケーブル
コネクタを自作する場合、コネクタのサイズに適合するリード線のサイズ(圧着工具のダイスのサイズにも関わる)を知る必要がある。
ケーブルの導体サイズを表す主な規格として、AWG(UL規格)とSQ(JIS規格)がある。
他にも、無規格のケーブルも存在する。
AWG | 直径 (mm) | 抵抗 (Ω/m) | SQ換算 | 主な用途(感触) |
---|---|---|---|---|
20 | 0.8118 | 0.033 | 0.5 | 電源 ケーブルは太め |
22 | 0.6438 | 0.053 | 0.3 | 出力 |
24 | 0.5106 | 0.084 | 0.2 | 汎用 |
26 | 0.4049 | 0.134 | 0.12 | 汎用 |
28 | 0.3211 | 0.213 | 0.08 | 信号 ケーブルは細め |
30 | 0.2546 | 0.339 | 0.05 | 信号 ケーブルはかなり細い |
また、AWG規格はあくまでも導体のサイズに対する規格である。
つまり、同じAWG値でも、細くてまとまりやすい線もあれば、太くてかさばる線もある。
ケーブルの耐圧については、UL規格のスタイル番号で表現されることが多く、販売されているケーブルには、以下のような記載がある。
- UL1007 AWG24
- 耐圧300[V] AWG24 : 一般的な電子工作には太すぎる
- UL3265 AWG24
- 耐圧150[V] AWG24 : 電池ボックスからの配線等に最適
一般的な電子工作において、数十[V]程度の耐圧があれば十分なケースが多いが、耐圧100[V]を下回るような薄い被覆は強度の問題が出てくるため、あまり見かけない。
しかし、必要以上に太いケーブルを使用しないように注意が必要である。
なお、コネクタのケーブルには単芯線は使用せず、必ず、ヨリ線を使用すること。
オススメ | |||
---|---|---|---|
協和ハーモネットの耐熱リード線を推奨する。 被覆が薄いため使用しやすい。 AWG 16 ~ 32まで各種各色あり。 | |||
協和ハーモネット UL3265 AWG20 難燃架橋ポリエチレン絶縁電線 2m 7色 |
協和ハーモネット UL3265 AWG22 難燃架橋ポリエチレン絶縁電線 2m 7色 |
協和ハーモネット UL3265 AWG24 難燃架橋ポリエチレン絶縁電線 2m 7色 |
協和ハーモネット UL1007 AWG26 耐熱ビニル絶縁電線 2m 7色 |
圧着工具
コネクタメーカーから専用の圧着工具が出ている場合もあるが、一般的には、汎用的な圧着ペンチを使用する。
ただし、圧着できるコネクタには範囲があるため、よく使用する予定のコネクタに合わせて選択するか、圧着工具に合うコネクタを選択することになる。
<yjshopping seller_id="diy-tool">エンジニア(ENGINEER) 精密圧着ペンチ 極小端子用 PA-09</yjshopping> | 小型コネクタ向けの圧着ペンチ。 ダイスのサイズは、1.0[mm]~1.9[mm]であり、PH / EH / XH / QIコネクタ等が圧着可能である。 |
<yjshopping seller_id="daishinshop">エンジニア ENGINEER 精密圧着ペンチ PA-20 [A011003]</yjshopping> | 中型~大型コネクタ向けの圧着ペンチ。 ダイスのサイズは、1.6[mm]~2.3[mm]であり、EH / XH / QI / VHコネクタ等が圧着可能である。 |
<yjshopping seller_id="procure-a">エンジニア 精密圧着ペンチ PA-21 ▼344-5534 (株)エンジニア ●ya513</yjshopping> | 中型~大型コネクタ向けの圧着ペンチ。 ダイスのサイズは、1.6[mm]~2.3[mm]で、EH / XH / QI / VHコネクタ等が圧着可能である。 |
PA-20とPA-21はダイスの形が違っており、圧着が得意なコネクタが異なることに注意する。
コネクタの圧着方法
下図は、PHコネクタとAWG24のリード線を、PA-09を使用して圧着している。
- まず、使用するコネクタのコンタクトピンとケーブルに合わせて、使用するダイスのサイズを確認する。
- コネクタの圧着する箇所は2箇所ある。
中央部分は芯線を圧着する芯線部、外側部分は被覆ごと締め付けてリード線を固定する被覆部である。(芯線バレル、被覆バレルとも呼ばれる) - ダイスにコンタクトピンを配置する。
PHコネクタのコンタクトピン(BPH-002T-P0.5S)の場合、芯線部は1[mm]、被覆部は1.4[mm]のダイスを使うと指示されている。 - 被覆を2~3[mm]程度剥いたリード線を挿入して、芯線を圧着する。(特に、芯線は強く圧着する)
また、芯線部に被覆を巻き込まないように注意する。(被覆が巻き込まれると、通電していない可能性がある)
下図右は、芯線部を圧着した図である。 - 必要に応じて、被覆部の開き具合を調整する。
被覆部を閉じすぎると圧着に失敗するため注意すること。 - リード線を固定して、被覆部を圧着する。
力を入れて圧着すると被覆が破れるため、軽く握る程度に留めておく。 - ケーブルを軽く引っ張って、正常に圧着されているかどうかを確認する。
圧着したケーブルをハウジングに挿入する。(カチッと音がする)
コネクタピンの外し方
キリや精密マイナスドライバ等の先の細い工具を使用してツメを捲ることにより、ハウジングからコンタクトを抜くことができる。
ハウジング側の穴から挿入して返しを押さえて抜くが、多くの基板用コネクタでは穴が小さく返しに到達しない構造であるが、
下図に示すように、キリや精密マイナスドライバ等の先の細い工具を使用して抜くことができる。
- PH / XH / EHコネクタ等では、ハウジングの反対側から真っ直ぐに挿入して、ハウジング側の爪を押し上げる。
その状態でケーブルを引っ張ることにより抜くことができる。 - VHコネクタでは、U字型の工具を挿入して、返しを押さえることにより抜くことができる。
コネクタ本体を抜く場合、専用工具を使用する。
<yjshopping seller_id="largo1991">エンジニア SS-10 基板コネクター抜き ENGINEER</yjshopping> |