概要
内分点と外分点の位置ベクトル
ベクトルの伸縮
例えば、下図のように直線OA上に点Xがあり、
であるとする。
この時、
は、
を伸縮することによって表すことができ、
と書くことができる。
3点が一直線上にある条件
3点A、B、Cが一直線上にあるのは、ベクトル
が
を伸縮することにより表すことができる場合である。
つまり、
となる実数kが存在することである。
3点が一直線上にある条件
3点A、B、Cが一直線上にある
となる実数kが存在する
例.
の時、3点P、Q、Rは一直線上にあることを証明する。


が成り立つ。
ゆえに、3点P、Q、Rは一直線上にある。
内分点の位置ベクトル
下図のように、点Oに関して、2点
をとるとき、線分ABをm:nの比に内分する点Xの位置ベクトルである
は、
を用いて、次式のように表すことができる。

内分点の位置ベクトル
2点
を結ぶ線分ABをm:nの比に内分する点
において、
は、
と表すことができる。
この式
の分子
は、上図の太線で表したように、下図のようにたすき掛けのような形になっている。
外分点の位置ベクトル
下図のように、点Oに関して2点
をとる時、線分ABをm:nの比に外分する点Xの位置ベクトルである
は、
を用いて、次式のように表すことができる。

外分点の位置ベクトル
2点
を結ぶ線分ABをm:nの比に外分する点
において、
は、
と表すことができる。
この式では、"m:nに外分すること"は、"m:-nに内分すること"と等しいことが分かる。
また、
は、分母・分子にー1を乗算することにより、
とも書けるため、
"-m:nに内分すること"とも等しいことがわかる。
ベクトルの垂直条件
0ではない2つのベクトル
のなす角が90度の時、
と
は垂直(perpendicular)であるといい、
と表す。
また、
は、全てのベクトルに対して垂直と定める。
この時、
の内積は、
となる。
これは、
ならば、
といえる。
つまり、
である。
また、成分表示された2つのベクトル
が垂直である時、
が成り立つ。
ベクトルの垂直条件
であり、
とする。
例題1. 内分点と外分点の座標
原点をO(0, 0)とする座標平面上に2点A(ax, ay), B(bx, by)があり、線分ABをm:nに内分する点をXとする時、点Xの座標を求めよ。
また、線分ABをm:nに外分する点をYとする時、点Yの座標を求めよ。
内分点の位置ベクトルの式から、次式が求められる。

上式に、
を用いると次式となる。

したがって、点Xの座標は
となる。
また,外分点の位置ベクトルの式から、m:nに外分することは、m:-nに内分することと同じであるため、次式となる。

これに、
を用いると次式となる。

したがって、点Yの座標は、
となる。
例題2. 3点が一直線上にある条件
△ABCの辺ABを1:2に内分する点をP、辺BCを3:1に外分する点をQ、辺CAを2:3に内分する点をRとする時、3点P、Q、Rは一直線上にあることを示せ。
とおくと、
と表すことができる。
したがって、

以上より、
であり、P、Q、Rは同一直線上にある。
例題3. 重心の位置ベクトル
重心の定義
三角形の頂点からその対辺の中点を結んだ線(中線)は1点で交わり、その交点を三角形の重心という。
重心は、3つの中線それぞれを2:1に内分する。
△ABCの重心をGとする。
1.
を
と
を用いて表せ。
2. ある基準点Oからの位置ベクトルが、
となるとき、重心の位置ベクトル
を
で表せ。
辺BCの中点をMとおくと、重心の定義より
であるから、
となる。
また、重心の性質より、
であるから、次式が求められる。

したがって、
となる。
であるから、次式が求められる。

例題4. 外心の位置ベクトル
である△ABCがある。
とする時、以下の問いに答えよ。
1.
を求めよ。
2.
を
と
を用いて表せ。
に
から余弦定理を用いる。
余弦定理 : 
ベクトルの内積 : 

したがって、
とおく。
と
は直交するため、








また、
と
は直交するため、








式(1),(2)を連立すると、

したがって、
となる。
例題5. 内心の位置ベクトル
内心の定義
三角形の3つの内角の二等分線は、1点で交わる。この交点を、内心という。
内心は、3つの辺から等距離にあり、内心を中心として、△ABCに接する円を描くことができる。この円を、三角形の内接円という。
である△ABCの内心をIとする。
1.
を
と
を用いて表せ。
2. ある基準点Oからの位置ベクトルが、
となる時、内心の位置ベクトル
を
で表せ。
直線AIと線分BCの交点をDとすると,内心の定義より
である。
角の二等分線の定理より、
となるから、
は次式となる。


また、内心の定義より、
である。
角の二等分線の定理より、次式となる。


上式より、次式が求まる。

したがって、
となる。
であるから、次式が求められる。

したがって、
となる。
例題6. 垂心の位置ベクトル
である
がある。
とする時、以下の問いに答えよ。
1.
を求めよ。
2.
を
と
を用いて表せ。
に
から余弦定理を用いる。
余弦定理 : 
ベクトルの内積 : 

したがって、
とおく。
と
は直交するため、







また、
と
は直交するため、







式(1),(2)を連立すると、

したがって、
となる。