トランジスタ - トランジスタの種類と特徴

提供:MochiuWiki : SUSE, EC, PCB
ナビゲーションに移動 検索に移動

概要

トランジスタは、バイポーラトランジスタ(BJT)、電界効果トランジスタ(FET)、絶縁ゲートトランジスタ(IGBT)の3つの種類がある。

バイポーラトランジスタ(BJT)は、NPN型とPNP型に分類される。
電界効果トランジスタ(FET)は、接合型FET(JFET)と金属酸化膜半導体FET(MOSFET)に分類される。
接合型FET(JFET)は、Nチャネル型とPチャネル型に分類される。
金属酸化膜半導体FET(MOSFET)は、エンハンスメント形とデプレッション形があり、それぞれ、Nチャネル型とPチャネル型に分類される。
絶縁ゲートトランジスタ(IGBT)は、Nチャネル型とPチャネル型に分類される。

トランジスタの種類を下図に示す。

ErectricParts Transistor FET IGBT 1.jpg


※補足
バイポーラトランジスタには、派生型として抵抗を内臓した抵抗内蔵型トランジスタ(デジタルトランジスタ)というものが存在する。


バイポーラトランジスタ(BJT)、MOSFET、IGBTの特徴

バイポーラトランジスタ(BJT)、金属酸化膜半導体FET(MOSFET)、絶縁ゲートトランジスタ(IGBT)の特徴を下図に示す。

バイポーラトランジスタ(BJT)は、電流駆動であるが、金属酸化膜半導体FET(MOSFET)、絶縁ゲートトランジスタ(IGBT)は電圧駆動である。
また、スイッチング速度は、バイポーラトランジスタ(BJT)が低速、金属酸化膜半導体FET(MOSFET)は高速である。
絶縁ゲートトランジスタ(IGBT)は比較的に高速であるが、MOSFETよりも劣っており、これがIGBTの欠点となっている。

ErectricParts Transistor FET IGBT 2.jpg



バイポーラトランジスタ(BJT)

バイポーラトランジスタ(BJT)とは

バイポーラトランジスタ(BJT)はNPN型とPNP型の2種類ある。
N形半導体とP形半導体をNPNの順番に接合したものがNPN型、PNPの順番に接合したものがPNP型となる。

バイポーラトランジスタは電流制御素子である。
ベース端子に流れるベース電流IBによって、コレクタ-エミッタ間に流れるコレクタ電流ICを制御する。

※補足
電子の移動度は正孔の移動度よりも大きいため、一般的に、NPNトランジスタの方が多く使用されている。

NPNトランジスタ

NPNトランジスタは2つのN型半導体で構成され、P型半導体の薄層によって分離されているバイポーラトランジスタである。

ベース端子にベース電流IBが流れると、コレクタからエミッタに大きなコレクタ電流ICが流れる。
また、NPNトランジスタの多数キャリアは電子であり、少数キャリアは正孔となる。

NPNトランジスタの動作原理
  1. エミッタに対してベースに正電圧を印加すると、ベースとエミッタのPN接合に順電圧が加わり、ベースからエミッタに向かってベース電流IBが流れる。
    (ベースに電流が流れるということは、電子がエミッタからベースに向かって移動する)
  2. しかし、P型半導体の部分は構造的に薄く作られているので、P型半導体に流入してきた電子の多くがコレクタに抜け出す。
  3. その後、コレクタ-エミッタ間電圧VCEによって電子が誘導されてコレクタ方向に移動する。
    (電子がコレクタ方向に移動するということは、コレクタからエミッタに向かってコレクタ電流ICが流れる)


PNPトランジスタ

PNPトランジスタは2つのP型半導体で構成され、N型半導体の薄層によって分離されているバイポーラトランジスタである。

ベース端子にベース電流IBが流れると、エミッタからコレクタに大きなコレクタ電流ICが流れる。
また、PNPトランジスタの多数キャリアは正孔であり、少数キャリアは電子となる。

PNPトランジスタの動作原理については、NPNトランジスタの動作原理と同様に考えればよいため省略する。

抵抗内蔵型トランジスタ

バイポーラトランジスタの派生として、抵抗を内臓した抵抗内蔵型トランジスタ(Bias Resistor Built-in Transistor:BRT)がある。
抵抗内蔵型トランジスタは、デジタルトランジスタ(デジトラ)と呼ばれることもある。

デジタルトランジスタではベース抵抗RBのことを入力抵抗R1、ベース-エミッタ間の抵抗RBEのことを入力抵抗R2と表す。

バイポーラトランジスタをスイッチ用途として使用する場合、ベース抵抗RBとベース-エミッタ間の抵抗RBEを接続して、
入力電圧VINをHighまたはLowと切り替えることで、バイポーラトランジスタをON/OFF制御する。
デジタルトランジスタには、このベース抵抗RBとベースエミッタ間の抵抗RBEが内蔵されているので、入力電圧VINを印可するだけで、ON/OFF制御することができる。

入力抵抗R1とR2の抵抗比率(R2/R1)により、トランジスタが動作する電圧(入力オン電圧)とトランジスタがオフする電圧(入力オフ電圧)を変えることができる。

バイポーラトランジスタに抵抗を内蔵しているため、主に以下の5つのメリットがある。

  • 実装面積の削減
  • 実装時間の削減
  • 実装費の削減
  • 部品点数の削減
  • トランジスタ単体コストの削減


デジタルトランジスタは、大きく分けて4種類ある。
また、入力抵抗(ベース-エミッタ間の抵抗)R2が接続されているものと接続されていないものが存在する。

ErectricParts Transistor FET IGBT 3.jpg