インストール - SUSEのアップグレード
概要
OSやソフトウェアはバージョンが上がるにつれ、ディスク容量が増大する傾向がある。
したがって、アップグレードする前に、dfコマンド
で使用可能なパーティション領域を確認する。
ディスク領域が不足している場合は、システムを更新してパーティションを分割する前に、データを保護する。
アップグレードする前に、古い構成ファイルを別のメディア(リムーバブルディスクやUSBメモリ等)にバックアップする。
これは主に、/etcに保存されている設定ファイルだけでなく、/varにある一部のディレクトリとファイルや/homeディレクトリのユーザーデータもバックアップすること。
また、アップグレードを開始する前に、dfコマンドを実行して、ルートパーティションのデバイス名(例 : /dev/sda1等)をメモしておくこと。
※注意
最新のSUSEへのアップグレードは64bitバージョンでのみ利用可能である。
32bitバージョンの64bitへのアップグレードはサポートされていないので、64bitバージョンを新規インストールするかTumbleweedへの切り替えを検討すること。
事前準備
SUSEをアップグレードする場合、YaSTは必要な変更を行う。
カスタマイズによっては、一部の手順(またはアップグレード手順全体)が失敗する可能性があり、バックアップデータをコピーして戻す必要がある。
システムアップデートを開始する前に、次の問題を確認すること。
- /etcディレクトリのpasswdとgroupを確認する
- システムをアップグレードする前に、/etc/passwdおよび/etc/groupに構文エラーが含まれていないことを確認する。
これは、検証ユーティリティのpwckおよびgrpckをrootとして起動して、報告されたエラーを排除する。
- システムをアップグレードする前に、/etc/passwdおよび/etc/groupに構文エラーが含まれていないことを確認する。
- 仮想マシンのシャットダウン
- ホストがKVMまたはXenの仮想マシンサーバとして機能している場合は、アップグレード前に、実行中の全ての仮想マシンをシャットダウンする。
- PostgreSQL
- アップグレードする前に、PostgreSQL(postgres)のデータベースをダンプする。
pg_dumpのマニュアルページを参照すること。
これは、アップグレード前に実際にPostgreSQLを使用した場合にのみ必要である。
- アップグレードする前に、PostgreSQL(postgres)のデータベースをダンプする。
YaSTを使用したアップグレード
起動画面
SUSEメディアを光学式ドライブに挿入して、インストールプログラムを開始する。
従来のBIOSを搭載したPCでは、以下に示すグラフィカルブート画面が表示される。UEFIを搭載したPCでは、少し異なるブート画面が使用される。
まず、起動画面にて、[F2]キーを押下して、インストーラの言語を変更する。(対応するキーボードレイアウトが自動的に選択される)
起動画面で[アップグレード]を選択して、[Enter]キーを押下すると、システムが起動してインストーラが読み込まれる。
(ここでは、決して[インストール]を選択しないこと)
[言語、キーボードとライセンス]画面
言語とキーボードレイアウトを選択する。起動画面で選択した言語設定で初期化されているので、必要に応じて、ここで変更すること。
ライセンス契約を熟読して、[次へ]ボタンを押下する。(起動画面で選択した言語で表示される)
[System for Update]画面
YaSTは、複数のルートパーティションが存在するかどうかを判断する。
1つしかない場合は、次の手順に進む。複数存在する場合は、アップグレードするルートパーティションを選択して、[次へ]ボタンを押下する。
YaSTは、選択したルートパーティションの/etc/fstabファイルを読み取り、そこにリストされているファイルシステムを分析してマウントする。
[Previously Used Repositories]画面
YaSTは以前に使用されたリポジトリのリストを表示する。
初期設定では、全ての過去のリポジトリが削除される。カスタムリポジトリを追加していない場合は、設定を変更しないこと。
アップグレード用のパッケージはSUSEメディアからインストールされ、オプションでデフォルトのオンラインリポジトリを有効にして、次のステップで選択できる。
もし、カスタムリポジトリを追加している場合は、以下に示す2つの選択肢がある。
- リポジトリを削除済みの状態のままにする。
このリポジトリからインストールされたソフトウェアは、アップグレード中に削除される。
新しいSUSEに一致するリポジトリのバージョンが使用できない場合は、この方法を使用する。 - リポジトリを更新して有効にする。
新しいSUSEのバージョンと一致するリポジトリが使用できる場合は、この方法を使用する。
リストでリポジトリにフォーカスを当てて[変更]ボタンを押下して、URLを変更する。
リポジトリが有効になるまで、[ステータスの切り替え]ボタンを押下してリポジトリを有効にする。
新しいSUSEのバージョンでも動作することが確実でない限り、以前のバージョンと一致するリポジトリを使用してはならない。
そうでない場合、システムは不安定になるか、全く機能しない可能性がある。
[List of Online Repositories]画面
インターネット接続が利用できる場合は、オプションのオンラインリポジトリをアクティブ化できる。
上記の画面で設定したリポジトリを有効にして、全てのパッケージが正しくアップグレードされるようにする。
更新リポジトリを有効にすることを強く推奨する。これにより、セキュリティ更新プログラムや修正を含む最新のパッケージバージョンを確実に入手できる。
[Installation Settings]画面
提案されたいくつかのインストール設定を確認して、必要に応じて変更する。
現在の構成は、各設定ごとにリスト化される。変更するには、見出し項目を選択する。
以下に、各見出し項目を記載する。
- システム
- [システム]では、詳細なハードウェア情報を表示する。表示される画面で、カーネル設定を変更することもできる。詳細については、3.11.7項「システム」を参照してください。
- 更新オプション
- 初期設定では、YaSTは、パターンの選択に基づいて、新しいソフトウェアと機能のインストールで完全なアップデートを実行する。
各パターンには、特定の機能(WebおよびLAMPサーバやプリントサーバ等)に必要ないくつかのソフトウェアパッケージが含まれている。
ここで、パッケージの選択を変更したり、更新モードを[インストール済みパッケージのみを更新]に変更したりできる。 - パッケージ
- [パッケージ]画面では、パッケージの選択をさらに微調整できる。ここでは、パターンを選択するだけでなく、その内容をリスト化して個々のパッケージを検索することもできる。
詳細については、第10章「ソフトウェアのインストールまたは削除」を参照すること。
システムを拡張する場合は、まずアップグレードを完了してから、追加のソフトウェアをインストールすることを推奨する。
- [パッケージ]画面では、パッケージの選択をさらに微調整できる。ここでは、パターンを選択するだけでなく、その内容をリスト化して個々のパッケージを検索することもできる。
- バックアップ
- 様々なシステムコンポーネントのバックアップを作成することもできる。
バックアップを選択すると、アップグレードプロセスが遅くなる。最近のシステムバックアップがない場合は、このオプションを使用する。
- 様々なシステムコンポーネントのバックアップを作成することもできる。
- 言語
- ここでは、第1言語を変更して、追加の言語を設定できる。オプションで、キーボードレイアウトとタイムゾーンを選択した第1言語を調整できる。
- キーボード・レイアウト
- ここでは、キーボードレイアウトを変更して、追加のエキスパート向けのキーボード設定を調整できる。
- 起動
- ここでは、ブートローダの構成を変更できる。
初期設定を変更することは、本当に必要な場合にのみにする。
詳細については、第12章「ブートローダーGRUB 2」を参照すること。
- ここでは、ブートローダの構成を変更できる。
[Installation Settings]画面でシステム構成を確定したら、[更新]ボタンを押下する。
ソフトウェアの選択によっては、インストール確認画面がポップアップする前に、使用許諾契約に同意する必要がある場合がある。
この時点までは、システムは変更されていない。
[更新]ボタンを再度押下すると、アップグレードプロセスが開始される。
基本的なアップグレードが完了すると、YaSTはシステムを再起動する。
最後に、YaSTは残りのソフトウェアがあれば更新して、必要に応じてリリースノートを表示する。