概要
ここでは、Linuxクライアントからリモートデスクトップ接続を行う場合、それを実行するソフトウェアのインストールと設定を記載する。
NoMachine
NoMachineのインストール
NoMachineのインストールおよびアップデートにおいて、ライブラリやバイナリを正しく置き換えるため、全てのNoMachineサービスを停止する必要がある。
これは、手動アップデートや自動アップデートにおいても同様である。
- 手動アップデート
- まず、NoMachineの公式Webサイトにアクセスして、最新のNoMachineをダウンロードする。
- NoMachineをインストールする。
- RPMファイルを使用する場合
- インストール
sudo rpm -ivh <NoMachineのrpmファイル> --prefix <NoMachineのインストールディレクトリ>
- アップデート
sudo rpm -Uvh <NoMachineのrpmファイル> --prefix <NoMachineのインストールディレクトリ>
- アンインストール
sudo rpm -e nomachine
- バイナリファイルを使用する場合
- インストール
- NoMachineは、/etcディレクトリおよび/usr/lib/systemdディレクトリにファイルを作成するため、スーパーユーザ権限でインストールする必要がある。
- そのため、/optディレクトリにNoMachineをインストールすることを推奨する。
tar xf nomachine_<バージョン>_<アーキテクチャ>.tar.gz
sudo NX_INSTALL_PREFIX=<NoMachineのインストールディレクトリ> ./NX/nxserver --install
- アップデート
tar xf nomachine_<バージョン>_<アーキテクチャ>.tar.gz
sudo NX_INSTALL_PREFIX=<NoMachineのインストールディレクトリ> ./NX/nxserver --update
- アンインストール
sudo /<NoMachineのインストールディレクトリ>/NX/scripts/setup/nxserver --uninstall
sudo rm -rf <NoMachineのインストールディレクトリ>
- RPMファイルを使用する場合
- まず、NoMachineの公式Webサイトにアクセスして、最新のNoMachineをダウンロードする。
- NoMachineの自動アップデート
- NoMachine User Interfaceの[Settings]パネルから、[Server Preferences]を選択する。
- 次に、[アップデート]パネルを開いて、[今すぐチェック]ボタンを押下する。
NoMachineは、標準で自動アップデートを有効にしており、定期的にリポジトリを読み込み、アップデートを確認する。 - 自動アップデートを無効にするには、[Don't ask again for this version]オプションを選択する、または、
アップデートパネルにおいて、[Automatically check for updates]オプションのチェックを外す。
自動アップデートの詳細な設定方法については、https://www.nomachine.com/DT10O00149 を参照すること。
システムトレイに表示されるNoMachineモニタ
NoMachineのインストール完了後、システムトレイにNoMachineアイコンが表示される。
これは、NoMachine Monitorと呼ばれる小さなソフトウェアであり、サーバ管理ツールやUIに素早くアクセスしたり、誰かが接続を要求している時に警告を表示したりする。
NoMachineアイコンをクリックするとメニューが表示されて、素早く機能にアクセスできる。
NoMachineへの接続
NoMachineがインストールされているPC(以降、NoMachineサーバと呼ぶ)に接続するには、そのPCのIPアドレスを知る必要がある。
NoMachineサーバのIPアドレスは、NoMachine User Interfaceを開くことで確認できる。
WAN経由でNoMachineサーバに接続する場合は、グローバルIPアドレスとポート番号が必要となる。
LAN経由でNoMachineサーバに接続する場合は、プライベートIPアドレスが必要となる。
- NoMachineサーバに接続するクライアントPCに、NoMachineまたはNoMachine Enterprise Clientをインストールする。
- クライアントPCのNoMachine User Interfaceを開く。
- 接続ウィザードにしたがって、接続を設定するために必要なステップを実行する。
[Create a new connection]を選択して、NoMachineサーバのIPアドレス(ポート番号)を記述する。
接続ウィザードをスキップする場合は、[続ける]を選択する。
接続を設定する最も早い方法は、テキストフィールドに接続するNoMachineサーバのホスト名またはIPアドレスを記述して、[Press Enter to create a new connection]リンクを選択することである。
この方法では、標準のNXプロトコルをポート番号4000で使用する。
また、テキストフィールドの横にある[New]アイコンを選択すると、セッションをより詳細に設定することができる。
設定の詳細は、"スタートアップガイド"を参照すること。
https://www.nomachine.com/getting-started-with-nomachine
IPv6を使用する場合は、IPv6形式(例. 2001:0:5ef5:79fb:30c6:1516:3ca1:5695)で指定する。
デスクトップへの接続許可を無効にするには、
NoMachine Monitorメニュー(システムトレイのNoMachineアイコンを右クリック)の[Accepting connection is now enabled/disabled]項目を選択する。
この設定は、システムからログアウトした場合でも、再度変更するまで有効となる。
詳細は、以下に示すURLを参照すること。
https://www.nomachine.com/disabling-access-to-your-local-desktop
NoMachineの設定
- NoMachineサーバの管理用UI
- NoMachineには、サーバの設定とクライアントの設定を管理するためのNoMachine preferences GUIが付属している。
- これにより、NoMachineサーバから、プライバシー設定やアップデート等を行うことができる。
- また、クライアントPCの動作も設定することができる。
- 例えば、言語の変更([外観]タブ)やセッション内で使用するショートカットを定義([入力]タブ)等がある。
- [NoMachine Preferences]パネル下部にあるリンクを選択すると、NoMachineサーバとクライアントPCの環境設定UIを切り替えることができる。
- クライアント / サーバのUIの詳細については、以下のURLを参照すること。
- https://www.nomachine.com/DT10O00154
- NoMachineには、サーバの設定とクライアントの設定を管理するためのNoMachine preferences GUIが付属している。
- NoMachineサーバの管理へのクイックアクセス
- NoMachineサーバの設定には、2つの方法でアクセスすることができる。
- [NoMachine preference]インターフェースを経由する方法。
- クライアントPCのシステムトレイにあるNoMachineアイコンから、[サービスステータスの表示]を選択する方法。
- [サービスステータス]パネルでは、NoMachineサーバのIPアドレス、NoMachineサーバの停止および再起動等の情報に素早くアクセスできる。
- [Server preferences]ボタンを押下すると、NoMachineサーバのUIが表示される。
- [Server preferences]では、クライアントPCからの接続を受け入れる際のNoMachineの機能の設定を行う。
- 例えば、NoMachineサービスの自動起動、クライアントPCから接続した時にNoMachineサーバの画面をロックする、自動アップデートの確認等は、
- それぞれ、[セキュリティ]パネルと[アップデート]パネルで設定できる。
- クライアントPCから接続した時にNoMachineサーバの画面をロックする方法やクライアントPCへのアクセスを無効にする方法については、以下のURLを参照すること。
- https://www.nomachine.com/all-documents
- NoMachineサーバの設定には、2つの方法でアクセスすることができる。
- NoMachineの外観(言語、フォント、色の変更等)の設定
- システムトレイにあるNoMachineアイコンの選択やメニューからNoMachineを実行する時、外観の設定や接続の設定を行うことができる。
- クライアントPCの設定は、ユーザーインターフェースの[設定]から行うことができる。
- また、クライアントPCからNoMachineサーバに渡す必要のあるカスタムホットキーやショートカットの使用等、特定の動作を設定することも可能である。
- 詳細は、以下のURLを参照すること。
- https://www.nomachine.com/DT10O00154
- リモートデスクトップ接続時の最適化、デバイス共有、その他の機能について
- NoMachineサーバに接続している間、ストレージやプリンタ等の共有、リモートディスプレイの表示モードの変更、表示品質やパフォーマンスの調整の記録等が可能である。
- これらの操作は、セッション内のNoMachineメニューパネルで行うことができる。
- メニューパネルを開くには,セッション内で[Ctrl] + [Alt] + [0]キーを同時押下するか、セッションの右上隅にあるページピールを選択する。
- メニューパネルの機能の詳細については、以下のURLを参照すること。
- Linux : https://www.nomachine.com/DT10O00156
- Windows : https://www.nomachine.com/DT10O00157
- Mac : https://www.nomachine.com/DT10O00158
VNC
これは、接続先にもVNC Serverのインストールが必要となる。
詳細はこちらのページを参照すること。
rdesktop
rdesktopをインストールする。
sudo zypper install rdesktop
rdesktopを使用してリモート接続するには、以下のコマンドを実行する。
rdesktop
FreeRDP
FreeRDPは、Apacheライセンスの下でリリースされたリモートデスクトッププロトコルの無料実装である。
FreeRDPの公式Webサイトにアクセスして、FreeRDPをダウンロードする。
FreeRDPをソースコードからインストールする手順を、以下に示す。
FreeRDPのGithubにアクセスして、FreeRDPのソースコードをダウンロードする。
ダウンロードしたファイルを解凍する。
tar xf freerdp-<バージョン>.tar.gz cd freerdp-<バージョン> mkdir build && cd build
FreeRDPのビルドに必要なライブラリをインストールする。
sudo zypper install gcc cmake glib2-devel ccache systemd-devel libuuid-devel cairo-devel libusb-1_0-devel cups-devel \ libicu-devel fuse-devel libSDL2-devel libSDL2_ttf-devel \ libopenssl-devel libopenssl-1_1-devel libpulse-devel alsa-devel pcsc-lite-devel libgsm-devel \ libfaac-devel libfaad-devel ffmpeg-4 ffmpeg-4-libavcodec-devel \ libX11-devel libXext-devel libxkbcommon-devel libxkbfile-devel libXrandr-devel \ libXi-devel libXv-devel libXinerama-devel libXcursor-devel wayland-devel wayland-protocols-devel
FreeRDPをビルドおよびインストールする。
cmake -DCMAKE_BUILD_TYPE=Release -DCMAKE_INSTALL_PREFIX=<FreeRDPのインストールディレクトリ> \ -DCHANNEL_URBDRC=ON -DWITH_DSP_FFMPEG=ON -DWITH_CUPS=ON -DWITH_PULSE=ON -DWITH_FAAC=ON -DWITH_FAAD2=ON -DWITH_GSM=ON .. # 1つの実行ファイルに統合する場合 cmake -DCMAKE_BUILD_TYPE=Release -DCMAKE_INSTALL_PREFIX=<FreeRDPのインストールディレクトリ> \ -DCHANNEL_URBDRC=ON -DWITH_DSP_FFMPEG=ON -DWITH_CUPS=ON -DWITH_PULSE=ON -DWITH_FAAC=ON -DWITH_FAAD2=ON -DWITH_GSM=ON \ -DMONOLITHIC_BUILD=ON -DBUILD_SHARED_LIBS=OFF .. make -j $(nproc) make install # または cmake -G Ninja \ -DCMAKE_BUILD_TYPE=Release -DCMAKE_INSTALL_PREFIX=<FreeRDPのインストールディレクトリ> \ -DCHANNEL_URBDRC=ON -DWITH_DSP_FFMPEG=ON -DWITH_CUPS=ON \ -DWITH_PULSE=ON -DWITH_FAAC=ON -DWITH_FAAD2=ON -DWITH_GSM=ON .. ninja ninja install
FreeRDPを実行するために必要なライブラリをインストールする。
SUSEでは、Pacmanリポジトリを追加、または、faacライブラリのGithubからソースコードをダウンロードしてインストールする必要がある。
sudo zypper install libfaac0
FreeRDPの書式の例を以下に示す。
/<FreeRDPのインストールディレクトリ>/bin/xfreerdp /u:<接続先のユーザ名> /p:<接続先のパスワード> /w:<画面横のサイズ> /h:<画面縦のサイズ> /v:<接続先のIPアドレス> +clipboard /sound:rate:44100,channel:2 /fonts'
以下の例では、Windows10(ユーザ名:Windows10、パスワード:p@ssword、IPアドレス:192.168.0.5、解像度:1600x900)にリモート接続している。
/<FreeRDPのインストールディレクトリ>/bin/xfreerdp /u:Windows10 /p:p@ssword /w:1600 /h:900 /v:192.168.0.5 +clipboard /sound:rate:44100,channel:2 /fonts'
Remmina
Remminaをインストールする。
sudo zypper install freerdp libavahi-ui-gtk3-0 libfreerdp2 libvncclient0 libwinpr2 remmina remmina-lang remmina-plugin-rdp remmina-plugin-secret remmina-plugin-vnc
以下に、Remminaの設定を記載する。
Remminaを起動して、メイン画面から[接続の追加]ボタンを押下する。
- Name
- 任意の名前を付ける。
- Protocol
- [RDP-Remote Desktop Protocol]を選択する。
- Server
- 接続先のIPアドレスを入力する。
- User Name
- 接続先のユーザ名を入力する。
この時、Windows 8以降でMicrosoftアカウントを使用している場合は、ユーザが登録したメールアドレスを入力する。
- 接続先のユーザ名を入力する。
- Password
- 接続先のユーザのパスワードを入力する。
- Domain
- 小規模なネットワークで使用するワークグループであれば空白でよい。
LDAPサーバやActive Directoryサーバが存在して、ドメインに参加する必要がある場合はドメイン名を入力する。
- 小規模なネットワークで使用するワークグループであれば空白でよい。
- Resolution
- 画面解像度を選択する。
[Use client resolution]を推奨する。
- 画面解像度を選択する。
- Color depth
- 色深度の選択は、[True color(32bpp)]以上にする。回線速度が遅い場合は、[256 colors(8bpp)]等の少ない色数にする。
設定完了後、[Save]ボタンを押下して保存する。
メイン画面において、保存した接続先情報が登録されていることを確認する。
次に、メイン画面の[登録の編集]ボタンを押下する。
[Advanced]を選択して、[Quality]項目を[Best(slowest)]を選択する。回線速度が遅い場合は[Poor(fastest)]等を選択する。
[Save]ボタンを押下して保存する。
更に、メイン画面の[設定]ボタンを押下する。
[RDP]タブを選択して、[キーボードのレイアウト]項目を[Auto detect]または[00000411 - Japanese](日本語配列キーボードの場合)を選択する。
[Use client keyboard mapping]チェックボックスにチェックを入力する。
[Quality option]項目とは、例えば、"Poorの時はWallpaperだけにチェック"、"Bestの時は全項目にチェック"というような設定方法であって、
"リモートデスクトップ接続時に常にPoorを選択したい"というような設定ではないので注意すること。[Quality Option]項目は、基本的には設定は不要だと思われる。
メイン画面にある接続対象を選択して、[接続]ボタンを押下する。
初回の接続時のみ証明について確認画面が表示されるので、[OK]ボタンを押下する。