インストール - PHP
概要
CentOSやSUSEの標準リポジトリにあるPHPのバージョンは古いことが多い。
また、PHP 7以降は大幅な改良がされており、実行速度をはじめ様々なものがアップデートされているので、特別な事情がない限りはアップグレードした方がよい。
Raspberry Piにおいて、ここでは、外部リポジトリとしてpackages.sury.org/phpを使用しているが、
このリポジトリを使用しても、常に最新版のPHPになる訳ではないことに注意すること。
リポジトリの追加
CentOS
以下のページを参照して、EPELリポジトリとRemiリポジトリを追加する。
YumリポジトリにEPELとRemiを追加する方法
SUSE(不要)
以下のコマンドを実行して、Develリポジトリを追加する。
# SUSE 15.3 sudo zypper ar http://download.opensuse.org/repositories/devel:/languages:/php/openSUSE_Leap_15.3/ PHP # SUSE 15.2 sudo zypper ar http://download.opensuse.org/repositories/devel:/languages:/php/openSUSE_Leap_15.2/ PHP # SLE 15 SP3 sudo zypper ar http://download.opensuse.org/repositories/devel:/languages:/php/SLE_15_SP3/ PHP
Develリポジトリからダウンロードされるパッケージの優先度を設定するため、以下のコマンドを実行する。
sudo zypper mr -p 90 php
次に、全てのリポジトリを更新する。
Develリポジトリを初めて使用する場合、GPGキーを受け入れるように求められる。
sudo zypper refresh
Raspberry Pi
まず、lsb-releaseをインストールする。
sudo apt-get install lsb-release
packages.sury.orgからPHPのGPGキーを登録するため、以下のコマンドを実行する。
wget -q https://packages.sury.org/php/apt.gpg -O- | sudo apt-key add -
リポジトリを追加するファイルを作成して、そのファイルにpackages.sury.orgのPHPリポジトリの情報を追加する。
echo "deb https://packages.sury.org/php/ `lsb_release -cs` main" | sudo tee /etc/apt/sources.list.d/php.list
パッケージリストの更新を行う。
sudo apt-get update
外部リポジトリからインストール可能なPHPパッケージの情報を確認するため、以下のコマンドを実行する。
sudo apt-cache policy php
PHP 7のインストール
パッケージ管理システムからインストール
CentOS
PHP 5をアンインストールするため、以下のコマンドを実行する。
このとき、php.iniファイルを変更している場合はバックアップを取る。
これは、新しいPHPをインストールした時点でphp.iniファイルが上書きされるためである。
sudo yum remove php-*
次に、PHP 7をインストールする。
インストールは、--enablerepoオプションを付加して、以下のコマンドを実行する。
アップデート後は、php.iniファイルが上書きされているのでバックアップから復元する。
sudo yum --enablerepo=remi-php73 install php php-cli.x86_64 php-pdo.x86_64 php-gd.x86_64 php-mbstring.x86_64 php-common.x86_64 php-mysql php73-devel
SUSE
PHP 7およびいくつかの主要なPHPモジュールをインストールする。
sudo zypper install php7 php apache2-mod_php7 php7-curl php7-xmlreader php7-zip php7-pdo php7-gd php7-json php7-mysql php7-mbstring php7-openssl php7-pecl php7-devel php7-fpm apache2-mod_php7
Raspberry Pi
PHP 7およびいくつかの主要なPHPモジュールをインストールするため、以下のコマンドを実行する。
# PHP 7.3 sudo apt-get install php7.3 php7.3-fpm php7.3-mysql php7.3-mbstring php7.3-gd php7.3-zip php7.3-xml php7.3-common php7.3-curl php7.3-intl php-acpu # PHP 7.4 sudo apt-get install php7.4 php7.4-cli php7.4-mysql php7.4-mbstring php7.4-gd php7.4-zip php7.4-xml php7.4-common php7.4-curl php7.4-intl
ソースコードからインストール
PHPのビルドに必要なライブラリをインストールする。
sudo zypper install ccache re2c zlib-devel libxml2-devel sqlite3-devel libopenssl-1_1-devel pcre-devel gd-devel libwebp-devel libjpeg62-devel libpng16-devel \ libXpm-devel freetype2-devel libXft-devel libcurl-devel icu libicu-devel oniguruma-devel libsodium-devel readline6-devel readline-devel \ krb5-server krb5-devel unixODBC-devel libzip-devel
PHPの公式Webサイトにアクセスして、PHPのソースコードをダウンロードする。
ダウンロードしたファイルを解凍する。
tar xf php-<バージョン>.tar.xz cd php-<バージョン>
ビルド用ディレクトリを作成する。
mkdir phpbuild && cd phpbuild
PHPをビルドおよびインストールする。
../configure --prefix=<PHPのインストールディレクトリ> \ --enable-bcmath --enable-calendar --enable-cgi --enable-cli --enable-exif --enable-ftp --enable-fpm --enable-gd --enable-gd-jis-conv \ --enable-intl --enable-mbregex --enable-mbstring --enable-mysqlnd --enable-opcache --enable-phpdbg --enable-phpdbg-debug --enable-sockets \ --enable-sysvmsg --enable-sysvsem --enable-sysvshm --enable-shmop --enable-soap --enable-zts \ --with-apxs2=<Apacheのインストールディレクトリ>/bin/apxs \ --with-curl --with-expat -with-freetype --with-gettext --with-gmp --with-iconv --with-imap --with-imap-ssl --with-kerberos --with-libxml \ --with-openssl --with-pic --with-readline --with-sodium --with-xpm --with-zip --with-zlib --with-unixODBC=shared \ --with-mysql-sock \ --with-mysqli=mysqlnd \ # MySQL拡張モジュールであるmysqliMySQL Native Driverでビルドする --with-pdo-mysql=mysqlnd \ # MySQL拡張モジュールであるPDO MYSQLをMySQL Native Driverでビルドする --with-pgsql \ # PostgresSQLを使用する場合 --with-pdo-pgsql \ # PostgresSQLを使用する場合 --with-config-file-path=<php.iniファイルの配置するパス> # ユーザが指定する場合 make -j $(nproc) make install
~/.profileファイル等に環境変数の設定を追記する。
vi ~/.profile
# ~/.profileファイル export PATH="/<PHPのインストールディレクトリ>/bin:/<PHPのインストールディレクトリ>/sbin:$PATH"
Apacheの設定ファイルであるhttpd.confファイルを編集して、phpファイルを実行できるように設定する。
vi /<Apacheの設定ファイルがあるディレクトリ>/conf/httpd.conf
# /<Apacheの設定ファイルがあるディレクトリ>/conf/httpd.confファイル LoadModule phpX_module modules/libphpX.so LoadModule php8_module modules/libphp8.so # 追記 AddType application/x-httpd-php .php # 追記
次に、php.iniファイルを配置する。
php.iniファイルの標準パスは、/<PHPのインストールディレクトリ>/lib64ディレクトリである。
configure
スクリプト実行時に--with-config-file-path=
オプションを指定することにより、php.iniファイルを配置するパスが変更できる。
なお、php --ini
コマンドを実行することにより、php.iniファイルを配置するパスが表示される。
php.iniファイルは、ダウンロードしたPHPのソースコードのトップディレクトリに存在するため、これをコピーする。
cp /<PHPのソースコードがあるディレクトリ>/php.ini-development /<PHPのインストールディレクトリ>/lib64
PHP-FPMの設定を行う。
これは、configure
スクリプトの実行時に、--enable-fpm
オプションを指定した場合、PHP-FPMライブラリがインストールされる。
まず、php-fpm.confファイルを作成する。
cd <PHPのインストールディレクトリ>/etc cp php-fpm.conf.default php-fpm.conf
php-fpm.confでは、プロセスファイルやログのパス等を変更することができる。
vi php-fpm.conf
# php-fpm.confファイル # ...略 pid = /var/run/php-fpm/php-fpm.pid error_log = /var/log/php-fpm/php-fpm.log # ...略
Webアプリケーションを使用する場合、PHP-FPMのwww.confファイルを作成する。
cd /<PHPのインストールディレクトリ>/etc/php-fpm.d cp www.conf.default www.conf
vi www.conf
ここでは、以下の設定を変更している。
# www.confファイル # ...略 user = <ユーザ名> group = <グループ名> listen = /var/run/php-fpm/php-fpm.sock security.limit_extensions = .php .php3 .php4 .php5 .php7 .php8 .html php_admin_value[error_log] = /var/log/php-fpm/www.log php_admin_flag[log_errors] = on # ...略
アクセスファイルやログのパスを作成する。
初期設定のパスは、PHPのインストールディレクトリとなる。
mkdir /var/log/php-fpm chown <上記で設定したユーザ名>:<上記で設定したグループ名> /var/log/php-fpm mkdir /var/run/php-fpm chown <上記で設定したユーザ名>:<上記で設定したグループ名> /var/run/php-fpm
Apache2上でPHP 7の有効化
Apache2上でPHP 7を動作させるため、モジュールを追加する。(httpd.confに直接記述してもよい)
# モジュールを追加する場合 sudo a2enmod php7 # モジュールを削除する場合 sudo a2dismod php7
設定を反映させるため、Apache2を再起動する。
sudo systemctl restart apache2
確認方法
最後に、インストールされたPHPのバージョンを確認するため、以下のコマンドを実行する。
php -v
運用していく上で必要な関連パッケージがあれば、適宜追加する。
インストール時の注意点
CentOSでのPHP7のインストールにおいて、旧バージョンのPHPが指定されることを防ぐため、一旦全てのリポジトリを無効化し、PHP7のリポジトリを指定する。
sudo yum --disablerepo=* --enablerepo=remi,remi-php73 install php hp-cli.x86_64 php-pdo.x86_64 php-gd.x86_64 php-mbstring.x86_64 php-common.x86_64 php-mysql php73-devel
EPELリポジトリおよびRemiリポジトリの追加方法で、EPELリポジトリの公開鍵を取得するためにlibargon2をインストールしているが、
このパッケージは、PHP7をインストールする際に依存性パッケージとして必要になる。
もし、libargon2をインストールせずにPHPをインストールしようとすると、恐らくEPELが無いために依存性が解決されない。
PHP7をインストールする前に、以下のコマンドを実行してlibargon2をインストールする。
sudo yum --disablerepo=* --enablerepo=epel install libargon2
複数のバージョンのPHP-FPM
PHP-FPMを使用する場合に限り、複数のバージョンのPHPをインストールしてApacheで動作することができる。
1つのPHPのバージョンを標準として設定しておき、仮想ホストにおいて他のPHPのバージョンを実行することができる。
これは、PHPベースのソフトウェアが特定のバージョンを必要とする場合や最新版のPHPとの互換性が無い場合に必要となる。
以下の例では、複数のバージョンのPHPを同時に実行している。
まず、複数のバージョンのPHP-FPMをインストールする。(例えば、PHP 7.2とPHP 7.4)
sudo apt-get install php7.2-fpm php7.4-fpm
次に、2つのポートで動作する2つの仮想ホストを作成する。
Apacheの設定ファイル(/etc/apache2/ports.conf)を、以下のように編集する。("Listen 80"の後に以下の行を追記する)
Listen 8080 Listen 8081
/etc/apache2/sites-available/000-default.confファイルの仮想ホストの設定を編集する。(2つの仮想ホストの設定を追記する)
<VirtualHost *:8080> <FilesMatch ".+\.ph(ar|p|tml)$"> SetHandler "proxy:unix:/run/php/php7.2-fpm.sock|fcgi://localhost" </FilesMatch> </VirtualHost> <VirtualHost *:8081> <FilesMatch ".+\.ph(ar|p|tml)$"> SetHandler "proxy:unix:/run/php/php7.4-fpm.sock|fcgi://localhost" </FilesMatch> </VirtualHost>
Xdebugのインストール
Xdebugをインストールする場合は、インストール - Xdebugのページを参照すること。