電気理論 - クーロンの法則

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概論

クーロン力は向きと大きさを持つので、ベクトル表記をすることができる。

クーロンの法則で示されたものは、次式(1)で表される。rは、2つの電荷間の距離である。
式(1)で示されるクーロン力は大きさは示しているので、向きを与えればよい。


下図に、クーロン力はどの方向に掛かるかを示す。
2つの帯電体がある場合、2つの帯電体を結んだ直線上にクーロン力が掛かる。
2つの帯電体の電荷の符号が同じ場合は引き離す向きに、符号が異なる場合は引き合う向きにクーロン力が掛かる。
つまり、電荷Q1とQ2に帯電した電荷を置き、そこに掛かる力を示すと下図のようになる。

図. 帯電した物体の位置ベクトルとクーロン力のベクトル



上図において、黒い矢印のクーロン力をベクトルで表記する。
まず、上図のように、電荷Q1とQ2の位置ベクトルr1、r2から、2つの電荷を結んだ直線と同じ向きの(Q2からQ1へ向かう)ベクトルr12を求める。


このr12を電荷Q1に掛かるクーロン力F1に乗算すれば、F1に向きを与えることができる。
しかし、r12は大きさを持っているため、そのまま乗算するとクーロン力の大きさが変わってしまう。
そこで、r12と同じ向きかつ大きさ1の単位ベクトルを乗算することで、電荷Q1の大きさを変えることなく、向きだけを与えることができる。

ベクトルを単位ベクトルにするには、そのベクトルのノルムでベクトルを除算する。
つまり、r12の単位ベクトルは次式(3)となる。


上式(3)を式(1)に乗算することで、クーロン力をベクトル表記できる。


また、電荷Q2に掛かるクーロン力は、単位ベクトルr12の向きを反対にすればよい。
式(2)のベクトルr1とr2の減算を入れ替えればよい。
したがって、電荷Q2に掛かるクーロン力F2は、次式でと表される。


最後に、電荷Q1の座標を(x1, y1, z1)、電荷Q2の座標を(x2, y2, z2)とする時、クーロン力のx方向、y方向、z方向の成分は以下のようになる。
まず、式(4)を変形して、次式(6)とする。


この時、各方向成分は次式(7)〜(9)となる。
したがって、2つの電荷の座標と電荷量がわかれば、その電荷に掛かるクーロン力の各方向成分は分かる。