概要

ロピタルの定理は、ある値  の区間   を含むある区間Iがあり、関数  はその内部で微分可能で、
  かつその値が   または   であり、
かつ、極限   が存在し、
かつ、区間Iにおける   の除外近傍において、  が成り立つならば、  であることを主張する。

つまり、分子と分母を微分することにより、不定形の分数を単純化あるいは非不定形に変換して、分数の極限値を簡単に計算できる可能性がある。


ロピタルの定理

ロピタルの定理は、以下に示す2つの条件が前提となっている。

  •   が存在すること。
  •   の収束先(極限の近くで)が実数である場合、  となること。


定理 :

aを実数とする。
aの周辺(つまり、ある   が存在して、  )において、   は微分可能とする。
また、  とする。

この時、  が存在(実数に収束)し、
かつ、  ならば、
 


ロピタルの定理は、極限の計算のために微分を使用するが、微分の計算には極限の計算が必要である。
そのため、循環論法に陥ることがある。

例えば、  の微分を用いて   を計算する場合、
  の微分の計算には   が必要となる。

このような問題点もあるので、ロピタルの定理は値の確認用として使用することを推奨する。<vr>

ロピタルの定理が使用できる場合

例題1 :
 

解答 :
 


例題2 :
 

解答 :
  


例題3 :
 

解答 :
 


例題4 :
 

解答 :
 



ロピタルの定理が使用できない場合

上記の2つの条件が成立していない場合は、ロピタルの定理は使用できない。
以下の例では、  が存在するという条件が満たされない場合である。

 


上記の例は、  の不定形なのため、ロピタルの定理を使用すると、  となり振動する。

この場合、はさみうちの原理を用いると   であることがわかる。