概要
微分の分野では、関数が極値を持つかどうかという問題をよく考える。
ここでは、極値を持つ条件とその注意点を記載する。
1変数関数の極値
極値の見つけ方
(微分可能な)関数 が で極値を取るならば、 である。
対偶を取れば、 となる点は、必ずしも極値ではない。
はaで極値を取るための必要条件ではあるが、十分条件ではない。
例えば、 の導関数は、 である。
を解くと、 が極値点の候補として見つかるが、 において は極値点ではない。
これは、 という点を考える時、 という関係が成り立つが、 よりも大きな値を取る点と小さな値を取る点が、 の近くにある。
0のどんなに近くにも より大きくなる点と小さくなる点の両方が存在するため、極値ではない。
極値の判定条件
2階微分できる関数 が存在する時、 かつ の前後で の符号が変化するならば、関数 は、 で極値をとる。
さらに、以下のように判定することができる。
- ならば、 は で極小値をとる。
- ならば、 は で極大値をとる。
ただし、上記の判定方法には欠点があり、 の時の判定ができない。
においては、 となるが、 は極値ではない。
例えば、 が極値を持つようなaの範囲を求める場合、
ポイントとして、極値となる候補を見つけて、その点の前後で の符号が変化するならば、それが極値となる。
上式をxで微分して、 を解く。
解の公式を使用すると、 となる。
この時、 が、aの値に応じていくつ解を持つか、および、その時の符号の変化がどうなるか、ということがポイントとなる。
判別式 の符号が重要であるため、場合分けして考える。
- の時、 は2つの実数解を持ち、 はその前後で符号が変化する。
すなわち、その2つの解は極値となる。 - の時、 は重解を持ち、 はその前後で符号が正である。
すなわち、その点は極値ではない。 - の時、 は実数解を持たず、常に となる。
すなわち、極値を持たない。
上記の場合分けより、 の時のみ極値を持つ。
を解けば、 となり、 の時、 は極値を持つ。
また、極値を持たないaの範囲は、 の時であり、範囲は となる。
一般的に、3次関数については以下のような性質が成り立つ。
を3次関数とする時、 は2次関数となる。2次方程式 の判別式をDとする時、
- が極値を持つことと、 は同値である。
- が極値を持たないことと、 は同値である。