「トランジスタ - エミッタ接地回路・コレクタ接地回路・ベース接地回路」の版間の差分

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そのため、ΔI<sub>E</sub>が大きく、ΔV<sub>E</sub>が小さいため、コレクタ接地回路では出力インピーダンスZ<sub>OUT</sub>は低くなる。<br>
そのため、ΔI<sub>E</sub>が大きく、ΔV<sub>E</sub>が小さいため、コレクタ接地回路では出力インピーダンスZ<sub>OUT</sub>は低くなる。<br>
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== ベース接地回路 ==
===== ベース接地回路とは =====
ベース接地回路は、トランジスタを使用した基本的な増幅回路の1つである。<br>
入力と出力の共通端子がベース端子のため、ベース接地回路と呼ばれている。ベース接地回路は、ベース共通回路(Common Base)とも呼ばれる。<br>
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電流利得は低いが、電圧利得が高い回路である。<br>
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エミッタ端子に入力電圧V<sub>IN</sub>を印加することで、コレクタ端子から出力電圧V<sub>OUT</sub>を取り出す回路となっている。<br>
[[ファイル:Circuit Transistor 15.jpg|フレームなし|中央]]
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<u>※補足</u><br>
<u>ベース接地回路は、MOSFETのゲート接地回路のトランジスタ版である。</u><br>
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===== ベース接地回路の動作 =====
ベース電圧よりエミッタ電圧が約0.7[V]低い状態になると、トランジスタが動作する。<br>
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トランジスタが動作することにより、エミッタ電流I<sub>E</sub>とコレクタ電流I<sub>C</sub>が流れる。<br>
コレクタ抵抗R<sub>C</sub>とコレクタ電流I<sub>C</sub>により、電圧降下が生じる。<br>
出力電圧V<sub>OUT</sub>は、電源電圧V<sub>CC</sub>からコレクタ抵抗R<sub>C</sub>とコレクタ電流I<sub>C</sub>の電圧降下を引いた値となり、次式で表される。<br>
<math>V_{OUT} = V_{CC} - R_C I_C</math><br>
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コレクタ抵抗R<sub>C</sub>の両端電圧を出力とする場合は、出力電圧V<sub>OUT</sub>は<math>R_C \times I_C</math>となる。<br>
[[ファイル:Circuit Transistor 16.jpg|フレームなし|中央]]
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===== ベース接地回路を実際に使用する時の回路 =====
上記セクションの図は原理を示すために用いられる回路図であり、実際の回路で使用する際には下図右のように使用する。<br>
[[ファイル:Circuit Transistor 17.jpg|フレームなし|中央]]
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ベース接地回路は、下図のように、NPNトランジスタでもPNPトランジスタでも作成することができる。<br>
[[ファイル:Circuit Transistor 18.jpg|フレームなし|中央]]
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===== ベース接地回路の特徴 =====
* 入力インピーダンスが低い
*: トランジスタのI<sub>B</sub>-V<sub>BE</sub>特性より、トランジスタの入力電圧V<sub>E</sub>を小さくすると(ベース-エミッタ間の電圧V<sub>BE</sub>を大きくすると)、
*: ベース電流I<sub>B</sub>が非常に大きくなる。
*: エミッタ電流I<sub>E</sub>は、<math>I_E = I_B + I_C = I_B + h_{FE} I_B = I_B(1 + h_{FE})</math>となるため、ベース電流I<sub>B</sub>が大きくなると、入力電流(エミッタ電流I<sub>E</sub>)が非常に大きくなる。
*: 入力インピーダンスZ<sub>IN</sub>は、<math>Z_{IN} = \frac{\mbox {入 力 電 圧 の 変 化}}{\mbox {入 力 電 流 の 変 化}} = \frac{\Delta V_E}{\Delta I_E}</math>となるため、入力インピーダンスZ<sub>IN</sub>は非常に低くなる。
*: <br>
* 出力インピーダンスが高い(コレクタ抵抗R<sub>C</sub>の値と同じになる)
*: ベース接地回路の出力インピーダンスZ<sub>OUT</sub>は、コレクタ抵抗R<sub>C</sub>と同じになる。
*: (エミッタ接地回路においても、出力インピーダンスZ<sub>OUT</sub>はコレクタ抵抗R<sub>C</sub>の値と同じ)
*: 出力インピーダンスZ<sub>OUT</sub>がコレクタ抵抗R<sub>C</sub>と同じなる理由については、ベース接地回路とエミッタ接地回路で考え方は同じである。
*: 詳細を知りたい場合は、"エミッタ接地回路の出力インピーダンスがコレクタ抵抗R<sub>C</sub>と同じになる理由"に記載しているので参照すること。
*: <br>
* 電流利得は1より少し小さい
*: エミッタ電流I<sub>E</sub>、コレクタ電流I<sub>C</sub>、ベース電流I<sub>B</sub>の関係は次式で表される。
*: <math>I_B = \frac{I_C}{h_{fe}}</math>
*: <math>I_C = h_{fe} I_B</math>
*: <math>I_E = I_B + I_C</math>
*: 上記の3つの式から、<math>I_E = I_B + I_C = \frac{1}{h_{fe}} I_C + I_C = I_C(1 + \frac{1}{h_{fe}})</math>となる。
*: そのため、ベース接地回路の電流利得は次式となる。
*: <math>A_I = \frac{\mbox {出 力 電 流}}{\mbox {入 力 電 流}} = \frac{I_C}{I_E} = \frac{I_C}{I_C(1 + \frac{1}{h_{fe}})} = \frac{h_{fe}}{h_{fe} + 1}</math>
*: 電流増幅率hfeの大きなトランジスタでは1000程度であり、構造上、電流増幅率h<sub>fe</sub>を大きくすることが出来ないパワートランジスタでは数十程度となっている。
*: そのため、ベース接地回路の電流利得は1より少し小さい値になる。
*: <br>
* 電圧利得が高い
*: ベース接地回路において、出力電圧の振幅はコレクタ抵抗R<sub>C</sub>の電圧降下と等しくなる。
*: そのため、コレクタ抵抗R<sub>C</sub>を大きくすればするほど、出力電圧が大きくなる。ただし、電源電圧V<sub>CC</sub>より大きな振幅は取れない。
*: <br>
* 電力利得はエミッタ接地回路より小さい
*: 電流利得は1より小さく、電圧利得はエミッタ接地と同等なので、電力利得はエミッタ接地回路より小さくなる。
*: <br>
* 入力電圧V<sub>IN</sub>と出力電圧V<sub>OUT</sub>は同相
*: 入力電圧(エミッタ電圧)が上昇→ベース電流が減少→エミッタ電流とコレクタ電流が減少→出力電圧(コレクタ電圧)が上昇という動作なので、入力と出力は同位相である。
*: <br>
* 周波数特性はエミッタ接地特性より良い
*: ベース接地回路では、入力のエミッタと出力のコレクタの間にベースがある。このベースが交流的には接地されているため、入出力が結合せず、ミラー効果が無い。
*: そのため、周波数特性はエミッタ接地よりは良くなる。
*: <br>
*: なお、エミッタ接地回路は、ベース-コレクタ間の寄生容量によるミラー効果があるため、周波数特性は良くない。
*: ミラー効果とは、入力のベースと出力のコレクタが見かけ上(<math>\mbox {電 圧 利 得} + 1</math>)倍の容量で結合する現象である。
*: 詳細を知りたい場合は、"ミラー効果とミラー容量"を参照すること。
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[[カテゴリ:電子回路]]
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