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== 概要 == | == 概要 == | ||
.NET Framework 4. | C#のマルチスレッドプログラミングは、並行処理を実現する強力な機能である。<br> | ||
.NET Framework 4.5以降、C# 5.0以降はコンパイラレベルでマルチスレッドをサポートしており、特に<code>async</code> / <code>await</code>キーワードの導入により、非同期プログラミングが大幅に簡素化された。<br> | |||
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タスクベース非同期パターン (Task-based Asynchronous Pattern: TAP) は、この新しいアプローチの中心となる概念である。<br> | |||
TAPでは、非同期メソッドの名前に<code>Async</code>というサフィックスを付けて、戻り値の型として<code>Task</code>、<code>Task<T></code>、<code>void</code>を使用する。<br> | |||
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<code>async</code>キーワードは、メソッドが非同期であることを示す。<br> | |||
このキーワードを使用することにより、メソッド内で<code>await</code>キーワードを使用できるようになる。<br> | |||
<code>await</code>は、非同期操作の完了を待機するために使用され、その間にスレッドをブロックすることなく、制御を呼び出し元に返す。<br> | |||
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以下の例では、MethodAsync1とMethodAsync2という2つの非同期メソッドが定義されている。<br> | |||
これらのメソッドは、それぞれTask<int>型とTask<(bool, string)>型 (タプル型) を返す。<br> | |||
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これらのメソッド内では、Task.Runを使用して新しいタスクを開始し、Task.Delayで非同期の待機を模倣している。<br> | |||
実際のアプリケーションでは、この部分が時間のかかる操作 (ファイルI/Oやネットワーク通信等) に置き換わることが多い。<br> | |||
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<syntaxhighlight lang="c#"> | <syntaxhighlight lang="c#"> | ||
// Task<int>型を返す非同期関数 | // Task<int>型を返す非同期関数 | ||
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} | } | ||
</syntaxhighlight> | </syntaxhighlight> | ||
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C#のマルチスレッドプログラミングのメリットは多岐にわたる。<br> | |||
UIの応答性の向上、複数のCPUコアを効率的に利用、I/O操作を最適化すること等が可能である。<br> | |||
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しかし、マルチスレッドプログラミングには注意点もある。<br> | |||
例えば、デッドロックやレースコンディション等の同期の問題に注意する必要がある。<br> | |||
また、過度にスレッドを使用する場合、却ってパフォーマンスが低下する可能性もある。<br> | |||
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C#は、これらの課題に対処するための様々なツールを提供している。<br> | |||
例えば、<code>lock</code>キーワード、<code>Monitor</code>クラス、<code>Interlocked</code>クラス等が存在する。<br> | |||
また、より高度な並行処理のためには、Task Parallel Library (TPL)やParallel LINQ (PLINQ)等のライブラリも用意されている。<br> | |||
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マルチスレッドプログラミングは強力であるが、適切に使用することが重要である。<br> | |||
シンプルな操作には同期プログラミング、複雑な非同期操作には<code>async</code> / <code>await</code>パターンを使用する等、状況に応じて適切なアプローチを選択することが、<br> | |||
効率的で保守しやすいコードを記述するための鍵となる。<br> | |||
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