C Sharpとネットワーク - HttpClient

提供:MochiuWiki : SUSE, EC, PCB
2024年1月23日 (火) 20:09時点におけるWiki (トーク | 投稿記録)による版 (→‎GET)
ナビゲーションに移動 検索に移動

概要

HttpClientクラスは、HTTPリクエストを投げる場合に使用するクラスである。

.NET Framework 4.0以前では、それまではHttpWebRequestクラス、WebClientが使用されていた。
HttpClientクラスは.NET Framework 4.5以降から提供された機能であり、簡単にHTTPリクエストを投げることができるクラスとして追加された。


HttpClientクラスの仕様

HttpClientクラスのインスタンスを生成する時、内部では新しいソケットを開く。
したがって、メソッド内でHttpClientクラスのインスタンスを生成する場合、常に新しいソケットを開くため、リソースを消費することになる。

HttpClientクラスのインスタンスを破棄した場合、ソケットが閉じるタイミングは、状態がTIME_WAITに遷移して、暫く時間が経つと自動的に解放される。

これは、リクエストする頻度が少ない場合は問題無いが、大量にリクエストを行う場合は大きなボトルネックとなる。


アンチパターン

HttpClientクラス

HttpClientクラスのインスタンスの生成において、IDisposableインターフェースを実装しているのでusingブロックで囲うものがある。
しかし、これは通信を実行するごとにソケットを開くことにより、大量のリソースを消費してリソースが枯渇する場合がある。

以下の例では、http://aspnetmonsters.com に対して、GETを行う10リクエストを開く。

 // アンチパターン
 
 using System;
 using System.Net.Http;
 
 public class Program
 {
    public static async Task Main(string[] args) 
    {
       for (var i = 0; i < 10; i++)
       {
          using(var client = new HttpClient())
          {
             var result = await client.GetAsync("http://aspnetmonsters.com");
             Console.WriteLine(result.StatusCode);
          }
       }
 
       Console.WriteLine("Connections done");
    }
 }


次に、アプリケーションを終了して、netstatコマンドを実行してPCのソケットの状態を確認する。

状態はTIME_WAITであり、WebサイトをホストしているPCへの接続が開かれている状態である。
これは、接続は閉じられているが、ネットワーク上で遅延が発生している可能性があるため、追加のパケットが送られてくるのを待つ状態である。

Proto  Local Address          Foreign Address         State
TCP    10.211.55.6:12050      waws-prod-bay-017:http  TIME_WAIT
TCP    10.211.55.6:12051      waws-prod-bay-017:http  TIME_WAIT
TCP    10.211.55.6:12053      waws-prod-bay-017:http  TIME_WAIT
TCP    10.211.55.6:12054      waws-prod-bay-017:http  TIME_WAIT
TCP    10.211.55.6:12055      waws-prod-bay-017:http  TIME_WAIT
TCP    10.211.55.6:12056      waws-prod-bay-017:http  TIME_WAIT
TCP    10.211.55.6:12057      waws-prod-bay-017:http  TIME_WAIT
TCP    10.211.55.6:12058      waws-prod-bay-017:http  TIME_WAIT
TCP    10.211.55.6:12059      waws-prod-bay-017:http  TIME_WAIT
TCP    10.211.55.6:12060      waws-prod-bay-017:http  TIME_WAIT
TCP    10.211.55.6:12061      waws-prod-bay-017:http  TIME_WAIT
TCP    10.211.55.6:12062      waws-prod-bay-017:http  TIME_WAIT

...略


Windowsでは、デフォルトではTIME_WAITの状態で240秒間コネクションを保持する。
これは、[HKEY_LOCAL_MACHINE_SYSTEM] - [CurrentControlSet] - [Services] - [Tcpip] - [Parameters] - [TcpTimedWaitDelay]で設定される。

OSが新しいソケットを開くことが可能なスループットには限界があるため、コネクションプールを使い切ると、以下に示すようなエラーが表示される。

Unable to connect to the remote server
System.Net.Sockets.SocketException: Only one usage of each socket address (protocol/network address/port) is normally permitted.


ただし、OSのシステム変数を変更するのではなく、根本的な設計の問題を解決する必要がある。

HttpRequestMessageクラス

固定のリクエストヘッダや認証情報を付加したHttpRequestMessageクラスを使用する場合、共通の内部メソッドであるCreateRequest()を使用する。
これは、HttpRequestMessageクラスのインスタンスを生成した後、SendAsync()メソッドを使用してメッセージを送信する。

 var getReult = await client.GetAsync("http://kirakira-service.com/");
 var postRsult = await client.PostAsync("http://sugoi-service.com/");


Cookieのキャッシュ

Cookieの送受信を行う場合、Cookieがキャッシュされる。
これは、HttpClientクラスのインスタンス生成時において、UseCookiesプロパティをfalseにすることにより回避できる。

もし、プロキシサーバを実装しており、かつ、Cookieを引き継ぐ必要がある場合は、Cookieヘッダを追加する。

 var handler = new HttpClientHandler()
 {
    UseCookies = false,  // false : Cookieをキャッシュしない
                         // true  : Cookieをキャッシュする
 };
 
 var client = new HttpClient(handler);



ソリューション

手順

HttpClientクラスは、privateキーワードおよびstaticキーワードを指定したプロパティとして持つ必要がある。

Microsoftの公式ドキュメント不適切なインスタンス化のアンチパターンの中でこの問題について取り上げており、
HttpClientを使用した実装をする時は、インスタンスを静的変数(static)にして使用するとの記載がある。

サンプルコード

まず、HttpClientクラスのオブジェクトを生成する。
この時、タイムアウトの設定等はコンストラクタで行う必要がある。

複数のHttoClientクラスを使用して同時に実行する場合も、HttpClientはそのような使用を想定した設計となっている。

ただし、staticキーワードを付加する場合、DNSの変更が反映されず、HttpClientクラスは(HttpClientHandlerクラスを通じて)、ソケットが閉じるまでコネクションを無制限に使用し続ける。
HttpClientクラスは、DNS TTLを尊重しており、デフォルトではこの値は1時間である。
1時間過ぎれば、HttpClientクラスはDNSのエントリが有効であることを検証して、必要に応じて更新されたIPアドレスに対して新しいコネクションを作成する。

そのため、HttpClientクラスのオブジェクトに、コネクションを自動的にリサイクルするように指定する。
これは、アプリケーションの起動時において、アプリケーションで接続する全てのエンドポイント向けに1度だけ行う。 (エンドポイントが実行時に決まる場合は、決定する時に行う必要がある)
時間は、1分〜5分程度に設定する方がよい。 (ホスト、ポート、スキーマが重要である)

 class SampleClass
 {
    private static readonly HttpClient httpclient = null;
    
    static SampleClass()
    {
        httpclient = new HttpClient();
    }

    public async Task<SomeResponse> CallAPIAsync()
    {
       var sp = ServicePointManager.FindServicePoint(new Uri("{URL}"));
       sp.ConnectionLeaseTimeout = 60 * 1000;  // コネクションのリサイクル時間 : 1分
 
       await httpclient.PostAsync("{URL}");
 
       // ...略
    }
 }


また、1つのHttpClientクラスは1つのソケット(1つのホスト)として使用した方がよいため、
異なるホストにもリクエストを投げる場合は、別のHttpClientクラスのオブジェクトを生成する方がよい。


HTTP通信

ベースとなるクラス

 // 通信先のベースURL
 private readonly string baseUrl;
 
 // HTTPクライアント
 private readonly HttpClient httpClient;
 
 // コンストラクタ
 public SampleServiceHttpClient(string baseUrl)
 {
    this.baseUrl = baseUrl;
    this.httpClient = new HttpClient();
 }


GET

URLに情報を付加してGETリクエストを送受信する。

HttpClientクラスのSendAsync()メソッドは、HttpResponseMessageクラスを返す。
レスポンスが取得できるため、ステータスコードやボディを確認および使用することができる。

JSON以外のテキストファイルやPDFファイル等をダウンロードする場合、レスポンスのボディにファイル内容が入ることがある。

 // URLに情報を付加してGETリクエストを送受信する
 public string Get(string someId)
 {
    String requestEndPoint = this.baseUrl + "/some/search/?someId=" + someId;
    var request = this.CreateRequest(HttpMethod.Get, requestEndPoint);
 
    string resBodyStr;
    var resStatusCoode = HttpStatusCode.NotFound;
    Task<HttpResponseMessage> response;
 
    // 通信の実行
    // 引数にrequestを使用する場合は、GetAsync()やPostAsync()ではなく、SendAsync()である
    try
    {
       response = httpClient.SendAsync(request);
       resBodyStr = response.Result.Content.ReadAsStringAsync().Result;
       resStatusCoode = response.Result.StatusCode;
    }
    catch (HttpRequestException e)
    {
       return null;
    }
 
    if (!resStatusCoode.Equals(HttpStatusCode.OK))
    {  // レスポンスが200以外の場合
       return null;
    }
 
    if (String.IsNullOrEmpty(resBodyStr))
    {  // レスポンスのボディが空の場合
       return null;
    }

    return resBodyStr;
 }


POST

以下の例では、リクエストのボディにJSON形式の内容を送受信している。
JSONは、JS、Ruby、Python、PHP等では連想配列を使用して簡単に作成できるが、C#においてはDictionary型を使用および変換後、StringContent型に情報を付加してリクエストに格納する。

APIの認証方式において、事前に与えられているAPIキーや他の認証情報の文字列を送信する時、認証が成功した場合はアクセストークンを返却して、以降はそのアクセストークンをリクエストヘッダに追加してAPIを呼ぶ場合がある。
その場合は、以下の例と同様の処理となる。

リクエストのボディにおいて、引数に指定の形式でAPIキー等を格納してPOSTで送信する時、レスポンスのボディの一部にトークンが入って返される。
サンプルコードの内部メソッド AddHeaders() は固定のヘッダー追加しか行っていませんが、ここにトークンがあれば追加するような処理を加えると使い回せます。

 // ボディに文字列のキーをJSONで持ってPOSTを送受信する
 public string Post(string someKey)
 {
    String requestEndPoint = this.baseUrl + "some/post";
    var request = this.CreateRequest(HttpMethod.Post, requestEndPoint);
    var jsonDict = new Dictionary<string, string>() {
                      {"someKey", someKey},
                   };
 
    var reqBodyJson = JsonSerializer.Serialize(jsonDict, this.GetJsonOption());
    var content = new StringContent(reqBodyJson, Encoding.UTF8, @"application/json");
    request.Content = content;
 
    string resBodyStr;
    var resStatusCoode = HttpStatusCode.NotFound;
    Task<HttpResponseMessage> response;
 
    try
    {
       response = httpClient.SendAsync(request);
       resBodyStr = response.Result.Content.ReadAsStringAsync().Result;
       resStatusCoode = response.Result.StatusCode;
    }
    catch (HttpRequestException e)
    {  // 通信が失敗した場合
       return null;
    }
 
    if (!resStatusCoode.Equals(HttpStatusCode.OK))
    {  // レスポンスが200以外の場合
       return null;
    }
 
    if (String.IsNullOrEmpty(resBodyStr))
    {  // レスポンスのボディが空の場合
       return null;
    }
 
    // 取得した内容
    return resBodyStr;
 }
 
 // HTTPリクエストメッセージを生成する
 // httpMethod : HTTPメソッドのオブジェクト
 // requestEndPoint : 通信先のURL
 private HttpRequestMessage CreateRequest(HttpMethod httpMethod, string requestEndPoint)
 {
    var request = new HttpRequestMessage(httpMethod, requestEndPoint);
 
    return this.AddHeaders(request);
 }
 
 // HTTPリクエストにヘッダーを追加する
 // request : リクエスト
 private HttpRequestMessage AddHeaders(HttpRequestMessage request)
 {
    request.Headers.Add("Accept", "application/json");
    request.Headers.Add("Accept-Charset", "utf-8");
 
    // 例えば、認証通過後のトークンが "Authorization: Bearer {トークンの文字列}" のように必要な場合は追加する
 
    return request;
 }


DELETE

GETと同様、HTTPメソッドのDELETEを指定してHttpRequestMessageクラスのインスタンスを生成して渡す。

JSからの通信では、あまり使用しない。

 // URLに情報を付加してDELETEを送受信する
 public bool Delete(string someId)
 {
    String requestEndPoint = this.baseUrl + "some/" + someId;
    var request = this.CreateRequest(HttpMethod.Delete, requestEndPoint);
 
    var resStatusCoode = HttpStatusCode.NotFound;
    Task<HttpResponseMessage> response;
    String resBodyStr;
 
    try
    {
       response = httpClient.SendAsync(request);
       resBodyStr = response.Result.Content.ReadAsStringAsync().Result;
       resStatusCoode = response.Result.StatusCode;
    }
    catch (HttpRequestException e)
    {  // 通信が失敗した場合
       return false;
    }
 
    if (!resStatusCoode.Equals(HttpStatusCode.OK))
    {  // レスポンスが200以外の場合
       return false;
    }
 
    if (String.IsNullOrEmpty(resBodyStr))
    {  // レスポンスのボディが空の場合
       return false;
    }
 
    return true;
 }