概要
解の存在と一意性
定理(存在定理) :
xのみの関数 が、区間Iで連続とする。
この時、I内の点 における以下の初期条件のもとで、以下のN階線形常微分方程式の解は区間Iでただ1つ存在する。
初期条件 :
N階線形常微分方程式 :
存在定理により、N階線形常微分方程式の解の存在が保障され、当該初期条件を満たすものがただ1つに決まる。
1階常微分方程式の初期条件は1つであり、N階常微分方程式では、N個の初期条件がないと解は一意に定まらない。
存在定理により、当該問題を解くための数値解析プログラムを作成することに対する正当性が保障される。
定数係数2階線形常微分方程式(同次方程式)の解全体の集合
解関数の線形独立性
定義 :
定数係数2階線形常微分方程式 (同次方程式) の解となる関数y1, y2が、
ある区間Iにおいて、少なくとも1つは0でない実数k1, k2を用いて以下のように記述できる時、関数y1とy2はIで線形従属(1次従属)であるという。
また、2つの関数y1, y2が線形従属でない時、線形独立(1次独立)であるという。
上の定義は、ベクトルの線形従属・線形独立の定義とのアナロジーである。
線形同次微分方程式の解関数の線形従属性・線形独立性を判定するには、次の定理を使用する。
定理4 :
定数係数2階線形常微分方程式 (同次方程式) の解関数y1, y2について、
次のロンスキー行列式 を考える。
この時、考察中の区間Iにおいて以下が成立する。
定理4により、ロンスキー行列式を使用すると、簡単な演算のみで線形独立性が判定できる。
(1)
(2)
同次方程式の解
定理5 :
集合Vを定数係数2階線形常微分方程式 の解全体の集合とする。
この時、線形独立な2つの関数 が存在し、任意の関数 は、y1とy2の線形結合 で、ただ1通りに表される。
上記のような線形独立な解の組 (y1, y2) を基本解という。
基本解は、線形代数でいう基底ベクトルに対応する。
定理の意味 :
基本解 y1, y2が見つかれば、他の全ての解(一般解)yもそれらを使って、以下のように表すことができる。
基本解 (y1, y2) で全ての解関数yを表現できる。
非同次方程式の解
同次方程式の例題
例題1 :
微分方程式 と関数 について以下の問いに答えよ。
(1) は、上式(1)の解であることを示せ。
(2) y1とy2は、任意の区間で線形独立であることを示せ。
(3) y1とy2の線形結合の関数 も上式(1)の解であることを示せ。
例題1 (1)の解答
がともに方程式 を満たすことを示せばよい。
について、 なので、上式(1)の左辺に代入すると、
ゆえに、 は、上式(1)の解である。
について、 なので、上式(1)の左辺に代入して、
ゆえに、 は、上式(1)の解である。
例題1 (2)の解答
ロンスキー行列式 を計算して、線形独立性を判定する。
ゆえに、 は、任意の区間で零関数ではないため、y1とy2とは線形独立である。
例題1 (3)の解答
が方程式 を満たすことを示せばよい。
これらを、上式(1)の左辺に代入すると、
ゆえに、 は、上式(1)の解である。
特性方程式
に対して、以下をこの方程式の特性方程式(characteristic equation)という。
上式(2)の特性方程式の解λ1, λ2が分かれば、上式(1)の基本解y1, y2を求めることができる。
したがって、定数係数2階線形常微分方程式(同次方程式)の一般解を求めるには、特性方程式を解けばよいことになる。
特性方程式 の解は、判別式 の値により以下の3種類が考えられる。
- のとき
- 相異なる2つの実数解をもつ。
-
- のとき
- 1つの実数解(重解)をもつ。
-
- のとき
- 共役な2つの複素数解をもつ。
-
定理 :
定数係数2階線形常微分方程式 の基本解と一般解は、特性方程式の解の種類により以下の3通り(1)(2)(3)で求められる。
(1) 実数解の場合 :
特性方程式:
特性方程式の相異なる2つの実数解:
基本解:
一般解:
(2) 実数重解の場合 :
特性方程式:
特性方程式の1つの実数解(重解):
基本解:
一般解:
(3) 共役複素数解の場合 :
特性方程式:
特性方程式の共役な2つの複素数解:
基本解:
一般解:
定数係数2階線形常微分方程式 (同時方程式)の例題