設定 - KVMのGPUパススルー
概要
ここでは、Linuxホスト上にWindows10の仮想マシンを構築して、グラフィックボードやUSBポートを物理PCと同様に使用できるように設定する。
Linuxの欠点の1つは、利用できるゲームがそれほど多くないことである。
最近では、多くのゲームがLinuxに移植されたのは事実であるが、一般的には、ゲームはほぼWindows専用に開発されている。
Linuxユーザとして、これらのWindowsゲームをプレイするために、4つの方法がある。
- Wineを使用してプレイする(Wineは、通常、古いゲームで機能する)
- デュアルブートセットアップを使用して、ゲームをプレイするたびにWindowsをブートする。(手間が掛かる)
- Windowsの仮想マシンでプレイする。(グラフィック性能が活かせない)
- GPUパススルーを備えたWindowsの仮想マシンを使用する。(ハードウェアの前提条件がいくつかあり、特定のCPUとGPUでのみ機能するが、適切なハードウェアがあれば可能である)
基本的な設定の流れは、以下のようになる。
- CPUの仮想化支援機能(Intel VT-xまたはAMD-Vi)を有効にする
- グラフィックボードのパススルー設定
- IOMMUの有効化
- Linuxホストのグラフィックボード無効化
- kvm / qemuのインストール
- ゲストOS作成
- チューニング -> インストール
- グラフィックボードのパススルー
- USBポートのパススルー設定
ここでは、実際に設定を行うPCの環境は、以下の通りである。
- CPU : Ryzen 3900X
- マザーボード : GIGABYTE X570 UD(BIOS F12e)
- GPU1 : 玄人志向 Radeon RX550 LP
- GPU2 : GIGABYTE GeForce GT1030
- OS : SUSE(カーネル : 4.12.14-lp151.28.52-default)
前提条件
- 2枚以上のグラフィックボード(マザーボード内蔵でも可)が必要である
- 1つはLinuxホストで使用され、もう1つはWindowsを実行している仮想マシン(以降、VMという)で使用される。
- また、VMにIntel統合GPU(Intel UHD等)を使用することはできない。ATI製またはnVidia製のみ使用できる。
- ただし、LinuxホストにIntel統合GPUを使用することはできる。
- グラフィックボードがUEFIに対応していること。
こちらのWebサイトに記載されているグラフィックボードであればよい。 - CPUの機能において、Intel VT-DまたはAMD-Viをサポートするマザーボードが必要である。
- リストの一部はこのWebサイトにある。BIOS上で有効にする必要がある。
- PCIのルートポートは、VMで使用するGPUと同じIOMMUグループの一部であってはならない。(詳細は後述)
- VMが使用するプライマリディスプレイの空き入力ポートまたはセカンダリディスプレイの空き入力ポートがあること。
BIOSの設定
まず最初に、BIOSの設定画面を表示して、以下の項目の設定を変更する。
なお、以下の項目はマザーボードがGIGABYTE X570UDのものである。
F12までのBIOS
- AMD-Viの有効化
- [M.I.T.] - [高度な周波数設定] - [Advanced CPU Settings] - [SVM Mode]を[Enable]に変更する。
- IOMMUの有効化
- [チップセット] - [IOMMU]を[Enable]に変更する。
- ACSの有効化
- [周辺機器] - [AMD CBS] - [ACS Enable]を[Enable]に変更する。
- AER Capの有効化
- [周辺機器] - [AMD CBS] - [Enable AER Cap]を[Enable]に変更する。
F12より新しいBIOS
- AMD-Viの有効化
- [M.I.T.] - [高度な周波数設定] - [Advanced CPU Settings] - [SVM Mode]を[Enable]に変更する。
- IOMMUの有効化
- [チップセット] - [IOMMU]を[Enable]に変更する。
- IOMMUの有効化
- [周辺機器] - [AMD CBS] - [NBIO Common Options] - [IOMMU]を[Enable]に変更する。
- ACSの有効化
- [周辺機器] - [AMD CBS] - [NBIO Common Options] - [ACS Enable]を[Enable]に変更する。
- AER Capの有効化
- [周辺機器] - [AMD CBS] - [NBIO Common Options] - [Enable AER Cap]を[Enable]に変更する。
GPUパススルーの自動設定
もし、下記のセクションの手動設定が面倒と考える場合、以下の自動設定を行うシェルスクリプトをダウンロードする。
ファイル:GPU-PassThrough.zip
まず、gpu-passthrough.shをスーパーユーザ権限で実行する。
これは、必要なソフトウェアをインストールして、GPUパススルーに必要な設定を行った後、initrdを再構築するシェルスクリプトである。
sudo ./gpu-passthrough.sh
SUSEを再起動する。
次に、分離するGPU(VMで使用するGPU)を確認する。
Kernel driver in use:と記載されいている箇所を探す。正常に分離されていれば、vfio-pci
と記載される。
sudo lspci -nnk
KVMを起動して、[QEMU/KVM]にフォーカスを当てて[編集]メニュー - [接続の詳細]を選択する。
[接続の詳細]画面が起動するので、[仮想ネットワーク]タブを選択して、[Autostart:]項目の[On Boot]チェックボックスにチェックを入力する。
後は、下記の[ゲストOSの作成]セクションに移動して、VMの作成および設定を行う。
なお、この方法は、https://www.youtube.com/watch?v=Nu2bHV8mA6c を参考にしている。
KVM / QEMUのインストール
KVM / QEMUおよび依存関係のライブラリをインストールする。
- SLES / openSUSE
sudo zypper install libvirt libvirt-client libvirt-daemon virt-manager virt-install virt-viewer \
qemu qemu-kvm qemu-ovmf-x86_64 qemu-tools \
biosdevname
- SLED
- ソースコードからKVMとQEMUをインストールする場合、インストール - KVM#ソースコードからインストールを参照する。
- または、以下のパッケージをダウンロードして、~/.profileファイル等に環境変数PATHおよびLD_LIBRARY_PATHを追記する。
- libvirt : https://software.opensuse.org/package/libvirt
- libvirt-client : https://software.opensuse.org/package/libvirt-client
- libvirt-daemon : https://software.opensuse.org/package/libvirt-daemon
- virt-manager : https://software.opensuse.org/package/virt-manager
- virt-install : https://software.opensuse.org/package/virt-install
- virt-viewer : https://software.opensuse.org/package/virt-viewer?search_term=virt-viewer
- qemu : https://software.opensuse.org/package/qemu
- qemu-kvm : https://software.opensuse.org/package/qemu-kvm
- qemu-ovmf-x86_64 : https://software.opensuse.org/package/qemu-ovmf-x86_64
- qemu-tools : https://software.opensuse.org/package/qemu-tools?search_term=qemu-tools
こちらのWebサイトから、VirtIOドライバをダウンロードする。
IOMMUの有効化
Intel VT-xとAMD-Viは、一般的にIOMMUと呼ばれる。
IOMMUを有効にするには、/etc/default/grubファイル(ブートローダファイル)にあるGRUB_CMDLINE_LINUX_DEFAULTセクションに以下の設定を追記する。
iommu=pt
は、カーネルにDMA変換をメモリにバイパスするように指示する。これにより、パフォーマンスが向上する場合がある。
# Intel CPU intel_iommu=on iommu=pt # AMD CPU amd_iommu=on iommu=pt
grubを再構築するために、以下のコマンドを実行する。
sudo grub2-mkconfig -o /boot/grub2/grub.cfg
Linuxを再起動する。
再起動後、IOMMUが有効になっているか確認するため、以下のコマンドを実行する。
# Intel CPU dmesg | grep -e DMAR -e IOMMU # AMD CPU dmesg | grep AMD-Vi
有効化されている場合は、以下のようなメッセージが出力される。
# Intel CPU DMAR: IOMMU enabled ・ ・ ・ # AMD CPU [ 1.643621] pci 0000:00:00.2: AMD-Vi: IOMMU performance counters supported [ 1.645069] pci 0000:00:00.2: AMD-Vi: Found IOMMU cap 0x40 [ 1.645069] pci 0000:00:00.2: AMD-Vi: Extended features (0x58f77ef22294ade): [ 1.645071] AMD-Vi: Interrupt remapping enabled [ 1.645072] AMD-Vi: Virtual APIC enabled [ 1.645072] AMD-Vi: X2APIC enabled [ 1.645153] AMD-Vi: Lazy IO/TLB flushing enabled [ 2.486602] AMD-Vi: AMD IOMMUv2 driver by Joerg Roedel <jroedel@suse.de>
次に、IOMMUグループが有効であることを確認する。
以下のシェルスクリプトを作成して実行する。(ここでは、シェルスクリプトのファイル名をlsIOMMU.shとする)
#!/bin/bash
shopt -s nullglob
for d in /sys/kernel/iommu_groups/*/devices/*; do
n=${d#*/iommu_groups/*}; n=${n%%/*}
printf 'IOMMU Group %s ' "$n"
lspci -nns "${d##*/}"
done;
# 実行 chmod u+x lsIOMMU.sh sudo ./lsIOMMU.sh
出力結果は下図のようになる。この図から、2つのことが分かる。
VMで使用するデバイスがどのIOMMUグループであるか(下図の場合は、グループ11)およびそのベンダー/モデルID(下図の場合は、1002:683fおよび1002:aab0)である。
この出力結果は、IOMMUグループ内で(関連付けられているオーディオデバイスを無視して)単独のデバイスに対してのみ機能する。
複数のGPUの分離
2つ以上のGPUを分離する必要がある。
これは、異なるメーカーのGPUが2つある場合(ここでは、VMで使用するGPUをブラックリストに登録するだけ)は非常に簡単であるが、
両方のGPUが同じベンダーのものである場合は少し複雑になる。
また、両方のGPUが同じモデルの場合、さらに複雑になる。
GPUが同じベンダーのものであったとしても、両方のGPUが完全に同じモデルでない限り、この設定に従うことができる。
また、グラフィックカードのHDMIオーディオデバイスもパススルーすること。
ただし、この設定では、2つの全く同一のGPUでは機能しないので注意すること。(Radeon RX550が2枚など)
2つのグラフィックボードがそれぞれ異なる場合(nVidia製とATI製)
/lib/modprobe.d/50-blacklist.confファイル、または、/etc/modprobe.d/50-blacklist.confファイルを編集して、以下の内容を追記する。
# SUSE 15.4の場合 sudo vi /lib/modprobe.d/50-blacklist.conf # SUSE 15.3以前の場合 sudo vi /etc/modprobe.d/50-blacklist.conf
# LinuxホストにATI製グラフィックボード、VMにnVidia製グラフィックボードを使用する場合 blacklist nouveau blacklist nvidia # LinuxホストにnVidia製グラフィックボード、VMにATI製グラフィックボードを使用する場合 blacklist amdgpu blacklist radeon
2つのグラフィックボードが同じ場合(両方ともnVidia製または両方ともATI製)
まず、/lib/modprobe.d/gpu-passthrough.confファイル、または、/etc/modprobe.d/gpu-passthrough.confファイルを作成して、以下のように編集する。
ここで、<VMで使用するGPUのベンダー>と<VMで使用するGPUのモデルID>は、上記セクションで実行したlsIOMMU.shの出力結果に記載されている。
# SUSE 15.4の場合 sudo vi /lib/modprobe.d/gpu-passthrough.conf # SUSE 15.3以前の場合 sudo vi /etc/modprobe.d/gpu-passthrough.conf
# /lib/modprobe.d/gpu-passthrough.confファイル または /etc/modprobe.d/gpu-passthrough.confファイル options vfio-pci ids=<VMで使用するGPUのベンダー>,<VMで使用するGPUのモデルID>
例えば、上記セクションの結果から、以下のように記述する。
また、options vfio-pci disable_vga=1
は、ホストPCが4.1以降のカーネルかつゲストOSがUEFIの場合のみ有効である。
VGAアービトレーションがホストデバイスに干渉するのを防ぐのに役立つ。
# /etc/modprobe.d/gpu-passthrough.confファイル options vfio-pci ids=10de:1d01,10de:0fb8 options vfio-pci disable_vga=1
また、Windows10 1803以降をインストールする場合は、以下の設定も追記する。
しかし、Linuxカーネル 5.9.1以降はこのオプションが問題を引き起こすという報告がある。
個人的には、kvm.ignore_msrs=1
オプションを付加して、問題が発生する場合は当オプションを削除する方法を推奨する。
# SUSE 15.4の場合 sudo vi /lib/modprobe.d/gpu-passthrough.conf # SUSE 15.3以前の場合 sudo vi /etc/modprobe.d/gpu-passthrough.conf
# /lib/modprobe.d/gpu-passthrough.confファイル または /etc/modprobe.d/gpu-passthrough.confファイル options kvm ignore_msrs=1
自動ロードするモジュールのリストにドライバを追加するため、/etc/modules-load.d/vfio-pci.confファイルを作成して、以下の内容を記述する。
sudo vi /etc/modules-load.d/vfio-pci.conf
# /etc/modules-load.d/vfio-pci.confファイル # Intel CPUの場合 pci_stub vfio vfio_iommu_type1 vfio_pci kvm kvm_intel # AMD CPUの場合 pci_stub vfio vfio_iommu_type1 vfio_pci kvm kvm_amd
次に、/etc/default/grubファイルを開く。
vfio-pciをパススルーするGPUにバインドするため、GRUB_CMDLINE_LINUX_DEFAULTにrd.driver.pre=vfio-pci
を追記する。
# /etc/default/grubファイル GRUB_CMDLINE_LINUX_DEFAULT="〜 rd.driver.pre=vfio-pci"
vfio-pciドライバの先読み設定
vfio-pciドライバの先読み設定を行う。
SUSEおよびRedHat系は、/etc/sysconfig/kernelファイルを作成して設定する。
Ubuntuでは、/etc/dracut.conf.d/gpu-passthrough.confファイルを作成して設定する。
ただし、SUSEでは、上記のどちらの手順でも正常にvfio-pciドライバの先読み設定を行うことができた。
※調査中
pci_stub
オプションは不要の可能性がある。
sudo vi /etc/dracut.conf.d/gpu-passthrough.conf
# /etc/dracut.conf.d/gpu-passthrough.confファイル # Intel CPUの場合 add_drivers+=" pci_stub vfio vfio_iommu_type1 vfio_pci vfio_virqfd kvm kvm_intel " # AMD CPUの場合 add_drivers+=" pci_stub vfio vfio_iommu_type1 vfio_pci vfio_virqfd kvm kvm_amd " # または # Intel CPUの場合 add_drivers+=" vfio vfio_iommu_type1 vfio_pci vfio_virqfd " # AMD CPUの場合 add_drivers+=" vfio vfio_iommu_type1 vfio_pci vfio_virqfd "
上記の設定を有効化するため、initrdを再構築する。
sudo dracut -f /boot/initrd $(uname -r)
initrdの再構築の完了後、Linuxホストを再起動する。
設定ミスで失敗すると、Linuxホストが起動できなくなる可能性があるので注意すること。
GPUが分離されていることを確認
GPUが分離されているか確認する。
以下のコマンドを実行して、使用中のカーネルドライバーを探す。
sudo lspci -nnv
分離するGPU(VMで使用するGPU)を確認するには、Kernel driver in use:と記載されいている箇所を探す。
正常に分離されていれば、vfio-pciと記載される。
03:00.0 VGA compatible controller [0300]: NVIDIA Corporation GP108 [GeForce GT 1030] [10de:1d01] (rev a1) Subsystem: Gigabyte Technology Co., Ltd Device [1458:375d] Kernel driver in use: vfio-pci Kernel modules: nouveau 03:00.1 Audio device [0403]: NVIDIA Corporation GP108 High Definition Audio Controller [10de:0fb8] (rev a1) Subsystem: Gigabyte Technology Co., Ltd Device [1458:375d] Kernel driver in use: vfio-pci Kernel modules: snd_hda_intel
QEMUのアクセス権限の付与
別のHDD / SSDに仮想マシンを配置する場合、初期設定ではアクセス権限エラーになる。
そこで、/etc/libvirt/qemu.confファイルに以下の設定を追記する。
# /etc/libvirt/qemu.confファイル ・ ・ ・ user = "root" group = "root"
また、別のHDD / SSDに仮想マシンを配置する時は、配置先のディレクトリで以下のコマンドを実行する。
以下では、<仮想マシン名>.qcow2ファイルを最大100[GB]の領域で仮想マシンを作成している。
qemu-img create -f qcow2 <仮想マシン名>.qcow2 100G
X11の設定
上記の設定の状態では、PC起動時においてパススルーしたGPUを先に読み込むため、ホストOSの画面が表示されない。
ホストOS向けのGPUを先に読む込む必要があるため、/etc/X11/xorg.conf.installファイルに以下の設定を追記する。
sudo vi /etc/X11/xorg.conf.install
# /etc/X11/xorg.conf.installファイル # ...略 # 以下の設定を追記 Section "Device" Identifier "amdgpu" Driver "amdgpu" EndSection # 以下の設定を追記 Section "Screen" Identifier "amdgpu" Device "amdgpu" EndSection # Screen "amdgpu"を追記 Section "ServerLayout" # ...略 Screen "amdgpu" # 追加 EndSection
ゲストOSの作成
あらかじめ、Microsoftの公式Webサイトで、Windows10のisoファイルをダウンロードする。
併せて、virtio-winのGithubまたはFedoraの公式Webサイトにアクセスして、virtio-win-<バージョン>.isoファイルもダウンロードする。
Windows 10 / 11 / Linuxの場合
- まず、SUSE 15.1を使用している場合は、
/etc/libvirt/qemu.conf
ファイルを開いて、nvramセクションを以下のように編集する。nvram = ["/usr/share/qemu/ovmf-x86_64.bin:/usr/share/qemu/ovmf-x86_64-code.bin"]
- libvirtデーモンを再起動する。
sudo systemctl restart libvirtd
- 必要であれば、以下のように、libvirtdを自動起動するように設定する。
sudo systemctl enable libvirtd
- Virtual Machine Managerを起動して、新しいVMを作成する。
[Architecture Option]画面では、[Local Install Media]と[x86_64]を選択する。 - [Use ISO Imege]項目を選択して、Windows10のISOファイルを選択する。
- VMに割り当てるメモリ容量とCPUのコア数を選択する。
- VMのディスクイメージを作成する。(既に定義されている場合は選択する。また、ディスク全体でも構わない。パスをそこに配置して、ホストにマウントされていないことを確認する)
- VMに名前を付けて、[Customize configuration before install]チェックボックスにチェックが入力されていることを確認して、[Finish]ボタンを押下する。
- VM構成画面(以降、メイン画面という)に移動する。
メイン画面左の[Overview]を選択して、[Chipset:]プルダウンおよび[Firmware:]プルダウンを以下の値に設定する。- ホストOSがSUSE 15.1の場合
- [Chipset:] : i440FX
- [Firmware:] : BIOS または UEFI
- ホストOSがSUSE 15.2以降かつゲストOSがWindows XPの場合
- [Chipset:] : i440FX
- [Firmware:] : BIOS または UEFI
- ホストOSがSUSE 15.2以降かつゲストOSがWindows 7の場合
- [Chipset:] : Q35
- [Firmware:]は、以下のいずれかを選択する。
- [Firmware:] : UEFI X86_64: ovmf-x86_64-smm-code.bin
- [Firmware:] : UEFI X86_64: ovmf-x86_64-code.bin
- [Firmware:] : UEFI X86_64: ovmf-x86_64-4m-code.bin
- ホストOSがSUSE 15.2以降かつ上記以外のゲストOSの場合
- [Chipset:] : Q35
- [Firmware:]は、以下のいずれかを選択する。
- [Firmware:] : UEFI X86_64: ovmf-x86_64-smm-ms-code.bin
- [Firmware:] : UEFI X86_64: ovmf-x86_64-opensuse-code.bin
- メイン画面左の[CPUs]で、[Configuration]項目の[Model: ]プルダウンから、[host-passthrough]を選択する。(プルダウンに存在しない場合は、
host-passthrough
と入力する) - メイン画面左下の[Add Hardware]ボタンを押下すると、[Add New Virtual Hardware]画面が表示される。
この画面左の[Controller]を選択して、[Type: ]項目にSCSI、[Model: ]項目にVirtIO SCSIと入力する。
(パフォーマンスを向上させるために、タイプを必ずVirtIO SCSIに変更する) - メイン画面左の[SCSI Disk 1]を選択して、[Advanced Options]項目の[Disk bus]項目にSCSIを選択する。
- [Add New Virtual Hardware]画面左の[Storage]を選択して、[管理]ボタンを押下して、
"KVM / QEMUのインストール"セクションでダウンロードしたvirtio-win-<バージョン名>.isoファイルを選択する。
[デバイスの種類]項目には、[CD-ROMデバイス]を選択する。 - [Add New Virtual Hardware]画面左の[PCI Host Device]を選択して、分離されたGPUとサウンドカード(ここでは、PCIデバイス02:00.0とPCIデバイス02:00.1)を追加する。
- [Add New Virtual Hardware]画面左の[USB Host Device]を選択して、キーボードとマウスを追加する。
- Windows 10 / 11の場合、[Add New Virtual Hardware]画面左の[TPM]を選択して、
[種類]プルダウンから[Emulated]、[モデル]プルダウンから[TIS]、[バージョン]プルダウンから[2.0]を選択して、追加する。 - 同様に、不要なデバイス(タブレット、ディスプレイスパイス、コンソール、チャンネルスパイス、ビデオQXL等)を全て削除する。
ディスプレイにサウンド出力がない場合またはVGA経由で接続する場合は、サウンドカードが必要である。
1000円程度の安価なUSBサウンドカードを購入してPCに取り付けた場合、キーボードとマウスを追加した際と同様にして追加する。 - VMに割り当てたばかりのグラフィックボードをディスプレイに接続し、[Begin Installation]ボタンを押下する。
全て正しく設定されていれば、そのディスプレイにVMが起動していることがわかる。 - Windows10をインストール画面の手順に従ってインストールする。
インストール完了後、Windows10のデバイスマネージャーを起動して、マウントされているvirtio-win-<バージョン名>.isoファイルから各種ドライバをインストールする。
Windows 7の場合
- Virtual Machine Managerを起動して、新しいVMを作成する。
[Architecture Option]画面では、[Local Install Media]と[x86_64]を選択する。 - [Use ISO Imege]項目を選択して、Windows 7のISOファイルを選択する。
- VMに割り当てるメモリ容量とCPUのコア数を選択する。
この時、CPUの割り当てを1
にする。 - VMのディスクイメージを作成する。(既に定義されている場合は選択する。また、ディスク全体でも構わない。パスをそこに配置して、ホストにマウントされていないことを確認する)
- VMに名前を付けて、[Customize configuration before install]チェックボックスにチェックが入力されていることを確認して、[Finish]ボタンを押下する。
- VM構成画面(以降、メイン画面という)に移動する。
メイン画面左の[Overview]を選択して、[Chipset:]プルダウンおよび[Firmware:]プルダウンを以下の値に設定する。- ホストOSがSUSE 15.1の場合
- [Chipset:] : i440FX
- [Firmware:] : UEFI
- ホストOSがSUSE 15.2以降かつゲストOSがWindows 7の場合
- [Chipset:] : Q35
- [Firmware:]は、以下のいずれかを選択する。
- [Firmware:] : UEFI X86_64: ovmf-x86_64-smm-ms-code.bin
- [Firmware:] : UEFI X86_64: ovmf-x86_64-smm-code.bin
- メイン画面左の[CPUs]で、[Configuration]項目の[Model: ]プルダウンから、[host-passthrough]を選択する。(プルダウンに存在しない場合は、
host-passthrough
と入力する) - メイン画面左の[NIC 〜]で、[デバイスのモデル]プルダウンから[ハイパーバイザーのデフォルト]を選択する。
- [Add New Virtual Hardware]画面左の[Storage]を選択して、[管理]ボタンを押下して、
"KVM / QEMUのインストール"セクションでダウンロードしたvirtio-win-<バージョン名>.isoファイルを選択する。
[デバイスの種類]項目には、[CD-ROMデバイス]を選択する。 - [Add New Virtual Hardware]画面左の[USB Host Device]を選択して、キーボードとマウスを追加する。
- 分離されたGPUとサウンドカード(ここでは、PCIデバイス03:00.0とPCIデバイス03:00.1)は追加しないことに注意する。
- ここまでの設定を行うことにより、下図のようになる。
- VMに割り当てるGPUをディスプレイに接続し、[Begin Installation]ボタンを押下する。
- UEFIシェル(仮想マシンのブート設定画面)から、セキュアブートを無効に設定する。
- 設定を保存した後、すぐに仮想マシンをシャットダウンする。(まだ、Windows 7はインストールしない)
- 仮想マシンの設定ファイル(XML拡張子)を、以下に示すように編集する。
sudo virsh edit <仮想マシン名>
- # 最初の行を変更する
<domain type='kvm' xmlns:qemu='http://libvirt.org/schemas/domain/qemu/1.0'>
- # ファイルの最下行にある
</devices>
と</domain>
の間に追記する - # (
host=03:00.0
の箇所は、必要に応じてユーザの環境に合わせること) <qemu:commandline>
<qemu:arg value='-device'/>
<qemu:arg value='vfio-pci,host=03:00.0,id=hostpci0.0,bus=pcie.0,addr=0x10.0,multifunction=on'/>
<qemu:arg value='-device'/>
<qemu:arg value='vfio-pci,host=03:00.1,id=hostpci0.1,bus=pcie.0,addr=0x10.1'/>
<qemu:arg value='-cpu'/>
<qemu:arg value='host,kvm=off,hv_vendor_id=null'/>
<qemu:arg value='-machine'/>
<qemu:arg value='q35,kernel_irqchip=on'/>
</qemu:commandline>
- 次に、libvirtdおよびQEMUの設定ファイル(/etc/libvirt/qemu.confファイル)の最下行に、以下に示す設定を追記する。
sudo vi /etc/libvirt/qemu.conf
cgroup_device_acl = [
"/dev/null", "/dev/full", "/dev/zero",
"/dev/random", "/dev/urandom",
"/dev/ptmx", "/dev/kvm",
"/dev/vfio/20", "/dev/vfio/vfio"
]
- libvirtdデーモンを再起動する。
sudo systemctl restart libvirtd
- UEFIシェルのブートセレクションからWindows 7インストーラがあるストレージを選択して、Windows 7をインストールする。
インストール完了後、Windows 7のデバイスマネージャーを起動して、マウントされているvirtio-win-<バージョン名>.isoファイルから各種ドライバをインストールする。 - Windowsアップデートを行う。
- NVidiaのGPUドライバをインストールする。
- 仮想マシンをシャットダウンして、 [仮想CPU 割り当て]項目から、VMに割り当てるCPUのコア数を設定する。
ただし、[トポロジー] - [CPUトポロジーの手動設定]は設定しないこと。(UEFIシェル画面でハングするため) - 不要であれば、使用しないデバイス(タブレット、ディスプレイスパイス、コンソール、チャンネルスパイス、ビデオQXL等)を全て削除する。
※注意
2023/03現在、Windows 7を新規インストールした場合は、Windowsアップデートができない。
そのため、Microsoftの公式Webサイトから、いくつかのWindows 7の更新プログラムを直接ダウンロードおよびインストールする必要がある。
以下のURLでは、Windows 7 x64向けであることに注意する。
- Windowsアップデートが動作しない場合
- Windows 7 用更新プログラム (KB3138612)をインストールする。
- https://www.microsoft.com/ja-jp/download/details.aspx?id=51208
- または
- https://www.catalog.update.microsoft.com/Search.aspx?q=KB3138612
- Windows7の更新プログラムのインストールがいくつか失敗するものがある場合
- 2019-03 x64ベースシステム用Windows 7 サービススタック更新プログラム (KB4490628)をインストールして、サービススタックを更新する。
- https://www.catalog.update.microsoft.com/search.aspx?q=kb4490628
必要であれば、以下に示す更新プログラムもインストールする。
- windows6.1-kb2533552-x64_0ba5ac38d4e1c9588a1e53ad390d23c1e4ecd04d.msu
- windows6.1-kb3020369-x64_5393066469758e619f21731fc31ff2d109595445.msu
- windows6.1-kb3125574-v4-x64_2dafb1d203c8964239af3048b5dd4b1264cd93b9.msu
- windows6.1-kb976932-x64_74865ef2562006e51d7f9333b4a8d45b7a749dab.exe (SP1をインストールしていない場合のみ)
Windows XPの場合
- Virtual Machine Managerを起動して、新しいVMを作成する。
[Architecture Option]画面では、[Local Install Media]と[i686]を選択する。 - [Use ISO Imege]項目を選択して、Windows XPのISOファイルを選択する。
- VMに割り当てるメモリ容量とCPUのコア数を選択する。
この時、CPUの割り当てを2
にする。 - VMのディスクイメージを作成する。(既に定義されている場合は選択する。また、ディスク全体でも構わない。パスをそこに配置して、ホストにマウントされていないことを確認する)
- VMに名前を付けて、[Customize configuration before install]チェックボックスにチェックが入力されていることを確認して、[Finish]ボタンを押下する。
- VM構成画面(以降、メイン画面という)に移動する。
メイン画面左の[Overview]を選択して、[Chipset:]プルダウンおよび[Firmware:]プルダウンを以下の値に設定する。- [Chipset:] : i440FX
- [Firmware:] : BIOS
- メイン画面左の[CPUs]で、[Configuration]項目の[Model: ]プルダウンから、[host-passthrough]を選択する。(プルダウンに存在しない場合は、
host-passthrough
と入力する) - メイン画面左の[NIC 〜]で、[デバイスのモデル]プルダウンから[ハイパーバイザーのデフォルト]を選択する。
- [Add New Virtual Hardware]画面左の[Storage]を選択して、[管理]ボタンを押下して、
"KVM / QEMUのインストール"セクションでダウンロードしたvirtio-win-<バージョン名>.isoファイルを選択する。
[デバイスの種類]項目には、[CD-ROMデバイス]を選択する。 - [Add New Virtual Hardware]画面左の[PCI Host Device]を選択して、分離されたGPUとサウンドカード(ここでは、PCIデバイス02:00.0とPCIデバイス02:00.1)を追加する。
- [Add New Virtual Hardware]画面左の[USB Host Device]を選択して、キーボードとマウスを追加する。
- VMに割り当てたばかりのグラフィックボードをディスプレイに接続し、[Begin Installation]ボタンを押下する。
全て正しく設定されていれば、そのディスプレイにVMが起動していることがわかる。 - Windows XPをインストール画面の手順に従ってインストールする。
インストール完了後、Windows XPのデバイスマネージャーを起動して、マウントされているvirtio-win-<バージョン名>.isoファイルから各種ドライバをインストールする。
仮想マシンの設定
ゲストOSがopenSUSEの場合
ゲストOSがopenSUSEの場合、/etc/default/grubファイルのGRUB_CMDLINE_LINUX_DEFAULT
項目に、pci=noaer
オプションを追記する。
GRUB_CMDLINE_LINUX_DEFAULT="... pci=noaer"
AMD CPUのパフォーマンスの改善
以前、AMD CPUでは、Nested Page Tables(NPT)を無効化することでKVMのGPU性能を引き上げることができた。
これは、バグが原因で、トレードオフとしてCPUの性能が落ちて、がたつきが発生することがあった。
Linuxカーネル 4.9以降からこの問題を解決するカーネルパッチがマージされている。
LinuxカーネルまたはLinux-LTSカーネルを使用している場合、パッチは既に適用されている。
※注意
QEMU 3.1以降、TOPOEXTフラグは標準で無効化されており、
AMD CPUでハイパースレッディングを使用するには、以下のように、手動で有効にする必要がある。
cache passthroughの設定は、実際のCPUキャッシュ情報を仮想マシンに渡す。
<!-- ゲストOSがWindows 10 / 11またはSUSEの場合 -->
<cpu mode="host-passthrough" check="none">
<topology sockets="1" cores="4" threads="2"/>
<cache mode="passthrough"/>
<feature policy="require" name="topoext"/>
</cpu>
<!-- ゲストOSがWindows 7の場合 -->
<cpu mode="host-passthrough" check="none">
<topology sockets="1" cores="4" threads="2"/>
<cache mode="passthrough"/>
<feature policy='disable' name='hypervisor'/>
</cpu>
<!-- ゲストOSがWindows XPの場合 -->
<cpu mode="host-passthrough" check='none'>
<topology sockets='1' cores='2' threads='2'/>
<feature policy='require' name='topoext'/> <!-- ←この設定は不要の可能性あり -->
</cpu>
更にパフォーマンスを向上させるため、以下のように、hypervエレメントを設定する。
<!-- ゲストOSがWindows 10 / 11の場合 -->
<hyperv>
<relaxed state="on"/>
<vapic state="on"/>
<spinlocks state="on" retries="8191"/>
<vendor_id state="on" value="0123456789ab"/>
<vpindex state="on"/>
<synic state="on"/>
<stimer state="on"/>
<frequencies state="on"/>
</hyperv>
<!-- ゲストOSがopenSUSEの場合 -->
<hyperv>
<relaxed state='on'/>
<vapic state='on'/>
<spinlocks state='on' retries='8191'/>
<vendor_id state='on' value='0123456789ab'/>
</hyperv>
<!-- ゲストOSがWindows 7の場合 -->
<hyperv>
<relaxed state='on'/>
<vapic state='on'/>
<spinlocks state='on' retries='8191'/>
<vendor_id state='on' value='0123456789ab'/>
</hyperv>
<!-- ゲストOSがWindows XPの場合 -->
<hyperv>
<relaxed state='on'/>
<vapic state='on'/>
<spinlocks state='on' retries='8191'/>
<vendor_id state='on' value='none'/>
</hyperv>
GPUがNVIDIA Geforceの場合 (error code 43)
仮想マシンのデバイスマネージャでグラフィックボードを確認すると、"エラー43:ドライバーの読み込みに失敗しました"と表示されて、正常に機能しない場合がある。
この問題は、NVidia GeForceシリーズのみ起こり(QuadroやTeslaにはこの問題は無い)、ユーザが仮想マシンでそれらを使用しようとすると、機能を意図的に無効化する。
理由としては、仮想マシンでグラフィックカードを実行できるようになると、自社の製品の売上に悪影響を与える可能性があるからである。
GeforceのGPUパススルーを正常に動作させるには、ハイパーバイザがその存在を隠すことで出来る。
具体的な手順は以下の通りである。
手動での設定
まず、KVMを開始する。
sudo systemctl start libvirtd
GPUパススルーを行う仮想マシンのxmlファイルを編集する。
sudo EDITOR=nano virsh edit <仮想マシン名>
<hyperv>
タグ内にvendor_id
タグを記述する。
この時、value
属性はどのような値でもよい。
ただし、vendor_idタグの設定は、Quadro 2000以降のQuadroカードでは不要である。
<features>
...略
<hyperv>
...略
<vendor_id state="on" value="123456789ab"/>
</hyperv>
...略
</features>
次に、状態を非表示にするようにKVMに指示するため、<hyperv>
タグ外の直下に、kvm
タグとhidden
タグを記述する。
ただし、hiddenタグの設定も、Quadro 2000以降のQuadroカードでは不要である。
<features>
...略
<hyperv>
...略
</hyperv>
...略
<kvm>
<hidden state='on'/>
</kvm>
</features>
QEMU 4.0以降で仮想マシンにQ35チップセットを使用する場合、features
タグ内にioapic
タグを記述する。
<features>
...略
<ioapic driver="kvm"/>
</features>
最後に、KVMを再起動する。
sudo systemctl restart libvirtd
自動での設定
GitHubにあるvirsh-patcherパッケージは、簡単に上記の方法を行うことができる。
git clone https://github.com/PassthroughPOST/virsh-patcher virsh-patcher
以下のコマンドを実行して修正を適用する。
sudo virshpatcher --error43 --vendor-id 123456789ab <仮想マシン名>
SynergyまたはBarrierのインストール
Windows10のインストール完了後、Synergy(有償ソフトウェア)またはBarrierをインストールできる。
これらは、物理的なKVM(Keyboard-Video-Mouse)スイッチなしで、複数のPCで同じキーボードとマウスを使用できる。
以下に、SynergyとBarrierのインストール手順を記載する。
Synergy
Synergyは有償ソフトウェアであるが、一部の機能(通信の暗号化機能)を除いて、無償でも使用することができる。
まず、以下のコマンドを実行して、LinuxにSynergyをインストールする。
- パッケージ管理システムからインストール (非推奨 : Synergyのパッケージが古いため)
sudo zypper install libdns_sd qsynergy synergy
- ソースコードからインストール
- まず、Synergyのビルドに必要な依存関係のライブラリをインストールする。
# CentOS
sudo yum groupinstall "Development Tools"
sudo yum install epel-release cmake3 boost-static git libXtst-devel qt5-qtbase-devel qt5-qtdeclarative-devel libcurl-devel openssl-devel
# SUSE
sudo zypper install glib2-devel gdk-pixbuf-devel avahi-compat-mDNSResponder-devel dbus-1-devel libnotify-devel fixesproto-devel \
libXrandr-devel libXext-devel libXfixes-devel libXinerama-devel libXi-devel libXtst-devel xextproto-devel libxkbfile-devel \
inputproto-devel recordproto-devel libSM-devel libcurl-devel libopenssl-1_1-devel libopenssl-devel libavahi-devel \
libQt5Core-devel libQt5Gui-devel libQt5Network-devel libqt5-qtbase-common-devel libQt5Widgets-devel libQt5DBus-devel libqt5-linguist-devel
- 各バージョンのソースコードからインストールする場合
- SynergyのGithubからソースコードをダウンロードする。
- ダウンロードしたファイルを解凍する。
tar xf synergy-core-<バージョン>.tar.gz
cd synergy-core-<バージョン>
- Synergyのビルドに必要なサブモジュールをダウンロードする。
git clone https://github.com/mohabouje/WinToast ext/WinToast
git clone https://github.com/google/googletest.git ext/googletest
git clone https://github.com/zeux/pugixml ext/pugixml
- Synergyをビルドおよびインストールする。
mkdir build && cd build
cmake -DCMAKE_BUILD_TYPE=Release -DCMAKE_INSTALL_PREFIX=<Synergyのインストールディレクトリ> ..
make -j $(nproc) または cmake --build . -j $(nproc)
make install または cmake --install .
git clone
コマンドを使用して、ソースコードからインストールする場合git clone https://github.com/symless/synergy-core.git
cd synergy-core
- 最新安定版 :
git checkout master
- 最新開発版 :
git checkout vX.Y.Z
- Synergyのビルドディレクトリを作成して、Synergyをビルドおよびインストールする。
cd synergy-core && mkdir build && cd build
cmake -DCMAKE_BUILD_TYPE=Release -DCMAKE_INSTALL_PREFIX=<Synergyのインストールディレクトリ> ..
make -j $(nproc) または cmake --build . -j $(nproc)
make install または cmake --install .
Synergyの実行ファイルが存在するディレクトリに、以下のようなシェルスクリプトを作成する。
vi /<Synergyの実行ファイルがあるディレクトリ>/bin/synergy.sh
# /<Synergyの実行ファイルがあるディレクトリ>/bin/synergy.shファイル
#!/usr/bin/env sh
appname="synergy"
# use -f to make the readlink path absolute
dirname="$(dirname -- "$(readlink -f -- "${0}")" )"
if [ "$dirname" = "." ]; then
dirname="${PWD}/${dirname}"
fi
cd ${dirname}
# Initialize interpreter path
export PATH="${dirname}:${PATH}"
export LD_LIBRARY_PATH="/<Qtのインストールディレクトリ>/<Qtのバージョン>/gcc_64/lib:${LD_LIBRARY_PATH}"
# Run Synergy binary
"${dirname}/${appname}" "$@"
次に、Windows用のSynergyをダウンロードしてインストールする。
インストール後、Synergyの設定を行う。
- Synergyのアンインストール
- Windowsの場合
- [プログラムの追加と削除](または[アプリと機能])で、Synergyをアンインストールする。
この時、"アプリとその関連情報がアンインストールされます"というメッセージが表示されるので、再度、[アンインストール]ボタンを押下する。 - [アプリを終了する必要があります]メッセージ、および、アプリを自動的に終了させるかどうかを尋ねられるので、これを選択する。
- 次に、regeditを実行して、以下に示すレジストリキーを削除する。(存在する場合)
- HKEY_CURRENT_USER\Software\Symless
- HKEY_CURRENT_USER\Software\Synergy
- HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Synergy
- 以下のディレクトリが存在する場合は、削除する。
- C:\ProgramData\Symless
- C:\ProgramData\Synergy
- C:\ProgramData\Synergy v2
- %USERPROFILE%\AppData\Local\Synergy
- %USERPROFILE%\AppData\Local\Symless
- 次に、SystemConfig.iniファイルを削除する。
この時、以前に保存した設定は失われる。- C:\Program Files\Synergy\SystemConfig.ini
- 最後に、Windowsを再起動する。
- [プログラムの追加と削除](または[アプリと機能])で、Synergyをアンインストールする。
- Linuxの場合
- パッケージ管理システムを使用して、Synergyを削除する。
- 次に、以下のコマンドを実行して、Synergyの設定を削除する。
rm -rf ~/.config/Symless/
rm -rf ~/.config/Synergy/
rm -rf ~/.synergy/
rm -rf ~/.symless/
- 次に、SystemConfig.iniファイルを削除する。
この時、以前に保存した設定は失われる。sudo rm -rf /usr/local/etc/Symless/SystemConfig.ini
- Windowsの場合
Barrier (推奨)
パッケージ管理システムからインストール
まず、以下のコマンドを実行して、LinuxにBarrierをインストールする。
sudo zypper install barrier
次に、BarrierのGiHubにアクセスして、Windows向けのBarrierの実行ファイルをダウンロードしてインストールする。
インストール後、Barrierの設定を行う。
ソースコードからインストール
まず、Barrierをビルドするため、依存関係のライブラリをインストールする。
# CentOS (EPELリポジトリの追加が必要) sudo yum groupinstall "Development Tools" sudo yum install 'dnf-command(config-manager)' sudo yum config-manager --set-enabled PowerTools sudo yum install cmake3 libcurl-devel avahi-compat-libdns_sd-devel libX11-devel libXtst-devel desktop-file-utils openssl-devel \ qt5-qtbase-devel # SUSE sudo zypper install --type pattern devel_basis sudo zypper install libdrm-devel libglvnd-devel libICE-devel \ libcurl-devel avahi-compat-mDNSResponder-devel libXtst-devel libopenssl-devel \ libSM-devel libXinerama-devel libXrandr-devel Mesa-devel \ libQt5Core-devel libQt5Gui-devel libQt5Network-devel libqt5-qtbase-common-devel libQt5Widgets-devel
次に、BarrierのGiHubにアクセスして、Barrierのソースコードをダウンロードする。
ダウンロードしたファイルを解凍して、ビルド向けディレクトリを作成する。
# Tarballからビルドする場合 tar xf barrier-<バージョン>-release.tar.gz cd barrier-<バージョン>-release && mkdir build && cd build # Gitからビルドする場合 git clone https://github.com/debauchee/barrier.git barrier && cd barrier git submodule update --init --recursive ./clean_build.sh cd build
※注意
Tarballをダウンロードした時、Barrierディレクトリのext/gmockディレクトリ、ext/gtestディレクトリ、ext/gulrak-filesystemディレクトリが空の場合、
以下のモジュールのソースコードをダウンロードする必要がある。
# Tarballのモジュールをダウンロードする場合 wget https://github.com/google/googletest/archive/refs/tags/release-<バージョン>.tar.gz wget https://github.com/gulrak/filesystem/archive/refs/tags/<バージョン>.tar.gz tar xf googletest-release-<バージョン>.tar.gz tar xf filesystem-<バージョン>.tar.gz # Gitを使用してモジュールをダウンロードする場合 git clone https://github.com/google/googletest.git git clone https://github.com/gulrak/filesystem
Barrierのビルドに必要なソースコードを、Barrierディレクトリのext/gmockディレクトリ、ext/gtestディレクトリ、ext/gulrak-filesystemディレクトリにコピーする。
# Tarballのモジュールをダウンロードした場合 cp -r googletest-release-<バージョン>/googlemock <Barrierディレクトリ>/ext/gmock cp -r googletest-release-<バージョン>/googletest <Barrierディレクトリ>/ext/gtest cp -r filesystem-<バージョン>/* <Barrierディレクトリ>/ext/gulrak-filesystem # Gitを使用してモジュールをダウンロードした場合 cp -r googletest/googlemock/* <Barrierディレクトリ>/ext/gmock cp -r googletest/googletest/* <Barrierディレクトリ>/ext/gtest cp -r filesystem/* <Barrierディレクトリ>/ext/gulrak-filesystem
Barrierをビルドおよびインストールする。
# Tarballからインストールする場合 cmake -DCMAKE_INSTALL_PREFIX=${HOME}/InstallSoftware/Barrier -DCMAKE_BUILD_TYPE=Release .. make -j $(nproc) make install # Gitからインストールする場合 make DESTDIR=${HOME}/InstallSoftware/Barrier install
Barrierの起動スクリプトを作成する。
vi ~/InstallSoftware/Barrier/barrier.sh
# ~/InstallSoftware/Barrier/barrier.sh
#!/usr/bin/env sh
appname="barrier"
# use -f to make the readlink path absolute
dirname="$(dirname -- "$(readlink -f -- "${0}")" )"
if [ "$dirname" = "." ]; then
dirname="${PWD}/${dirname}"
fi
cd ${dirname}
# Initialize interpreter path
export PATH="${dirname}:${PATH}"
export LD_LIBRARY_PATH="/<Qtのインストールディレクトリ>/<Qtのバージョン>/gcc_64/lib:${LD_LIBRARY_PATH}"
# Run Barrier binary
"${dirname}/${appname}" "$@"
Barrierの起動スクリプトに実行権限を付加する。
chmod u+x ~/InstallSoftware/Barrier/barrier.sh
Barrierの実行に必要な依存関係のパッケージをインストールする。
sudo zypper install libdns_sd
Barrierのデスクトップエントリファイルを、~/.local/share/applicationsディレクトリに作成する。
# ~/.local/share/applications/Barrier.desktop [Desktop Entry] Type=Application Name=Barrier <バージョン> GenericName=Barrier Comment=Keyboard and mouse sharing solution Exec=/home/<ユーザ名>/InstallSoftware/Barrier/bin/barrier.sh Icon=/home/<ユーザ名>/InstallSoftware/Barrier/barrier Terminal=false Categories=Utility; Keywords=keyboard;mouse;sharing;network;share;
次に、BarrierのGiHubにアクセスして、Windows向けのBarrierの実行ファイルをダウンロードする。
KVMのゲストOSであるWindowsに、Barrierをインストールする。
Barrierのインストール完了後、Barrierの設定を行う。
Windowsにおいて、Barrierを自動起動する場合は以下の手順を行う。
- まず、[スタート]ボタンを押下して、起動時に実行するソフトウェアを右クリックする。
- コンテキストメニューから[その他] - [ファイルの場所を開く]を選択して、ソフトウェアのショートカットが保存されているディレクトリを開く。
もし、[ファイルの場所を開く]オプションが表示されない場合、そのソフトウェアは起動時に実行できないことを意味する。 - 次に、[Super]キー + [R]キーを同時押下して、
shell:startup
と入力、[OK]ボタンを押下する。 - [スタートアップ]ディレクトリが開くので、ソフトウェアのショートカットが保存されているディレクトリから、ショートカットを[スタートアップ]ディレクトリにコピーする。
Barrierのアンインストール
- Windows
- Barrierをアンインストールする前に、Barrierを終了する。
Barrierを起動したままでアンインストールした場合、ほとんどのBarrierに関するファイルが残ってしまうため注意すること。 - Barrierのサービスを停止するため、管理者権限でPowershellまたはコマンドプロンプトを起動して、
net stop
コマンドを実行する。
これは、sc stop
コマンドでは非同期で実行されるため、sc delete
コマンドが失敗して、アンインストール後にbarrierd.exeが残るからである。 net stop
コマンドを実行する。net stop
コマンドは、Barrierのサービスが停止するまで同期で実行するため、sc delete
コマンドが成功する。- [設定] - [アプリ]画面または[コントロールパネル] - [プログラムと機能]画面から、Barrierをアンインストールする。
- 次に、C:\Program Files\BarrierフォルダおよびC:\ProgramData\Barrierフォルダを削除する。
- C:\Users\<ユーザ名>\AppData\Local\Barrierディレクトリを削除する。
- C:\Users\<ユーザ名>\AppData\Local\Tempディレクトリに存在する"Barrier."から始まるファイル群を削除する。
- regeditを実行して、\HKEY_USERS\S-<Windows11の現在のビルド番号>\SOFTWARE\Debaucheeを削除する。
- %LocalAppData%\Barrierフォルダ(レジストリ設定、Barrierの設定ファイル、証明書、フィンガープリント)を削除する。
- 必要ならば、Barrierに関するファイヤーウォールのルールを削除する。
- Barrierをアンインストールする前に、Barrierを終了する。
- Linux
- まず、Barrierのインストールディレクトリを削除する。
rm -rf <Barrierのインストールディレクトリ>
- 次に、Barrierの設定ファイルが存在するディレクトリを削除する。
rm -rf ~/.local/share/barrier
rm -rf ~/.config/Debauchee
- まず、Barrierのインストールディレクトリを削除する。
SynergyおよびBarrierが接続できない場合
SUSE以外の各ディストリビューションでは、以下のコマンドを実行することで接続できる可能性がある。
sudo firewall-cmd --permanent --add-port=24800/tcp または sudo firewall-cmd --permanent --zone=libvirt --add-port=24800/tcp sudo firewall-cmd --reload
SUSEの場合および上記のコマンドで接続できない場合は、以下の設定を行う。
まず、/usr/lib/firewalld/services/barrier.xmlファイルを作成する。
(このファイルは不要の可能性があることに注意すること)
sudo vi /usr/lib/firewalld/services/barrier.xml
<?xml version="1.0" encoding="utf-8"?>
<service>
<short>Synergy</short>
<description>Share a mouse and keyboard on KVM.</description>
<port protocol="tcp" port="24800"/>
</service>
次に、/usr/lib/firewalld/zones/libvirt.xmlファイルにおいて、
</zone>
タグの上部に<port port="24800" protocol="tcp"/>
を追記する。
sudo nano /usr/lib/firewalld/zones/libvirt.xml
<?xml version="1.0" encoding="utf-8"?>
<zone target="ACCEPT">
<!-- ...略 -->
<port port="24800" protocol="tcp"/>
</zone>
最後に、上記の設定を有効にするため、ファイアーウォールを再読み込みまたはPCを再起動する。
または、PCを再起動する。
sudo firewall-cmd --reload sudo systemctl restart firewalld または sudo shutdown -r now
エラー時の対処方法
ネットワーク
VM起動時に下記のエラーが出力されて、VMが起動できないことがある。
ERROR Requested operation is not valid: network 'default' is not active
まず、以下のコマンドを実行する。
この時、以下のメッセージが出力された場合は、sudo virsh net-start default
を実行する。
今後、このネットワークを自動起動するには、sudo virsh net-autostart --network default
を実行する。
# 実行 sudo virsh net-list --all # 出力 名前 状態 自動起動 永続 ------------------------------------------------ default 停止状態 いいえ (no) はい (yes)
また、以下のようにネットワークが表示されない場合がある。
Name State Autostart Persistent ----------------------------------------------------------
その時は、/run/libvirt/network/default.xmlファイルを作成して、以下に示す内容を記述する。(デフォルトネットワークを作成する)
# /run/libvirt/network/default.xmlファイル <networkstatus> <class_id bitmap='0-2'/> <floor sum='0'/> <network> <name>default</name> <uuid>e8a9f86b-1c3a-4fa5-ab03-1fb563b12b84</uuid> <forward mode='nat'> <nat> <port start='1024' end='65535'/> </nat> </forward> <bridge name='virbr0' stp='on' delay='0'/> <mac address='52:54:00:a3:0d:b0'/> <ip address='192.168.122.1' netmask='255.255.255.0'> <dhcp> <range start='192.168.122.2' end='192.168.122.254'/> </dhcp> </ip> </network> </networkstatus>
次に、そのネットワークをKVMホストに永続的に追加するには、以下のコマンドを実行する。
sudo virsh net-define --file default.xml
ファイアーウォール
VM起動時に下記のエラーが出力されて、VMが起動できないことがある。
error: Failed to start network default error: internal error: Failed to initialize a valid firewall backend
この時、ファイアーウォールサービスをインストールする。
sudo zypper install firewalld
サービスを有効にして、ネットワークを再び機能させるために、次のコマンドを実行する。
sudo systemctl enable --now firewalld sudo systemctl restart libvirtd
DNSマスカレード
VM起動時に下記のエラーが出力されて、VMが起動できないことがある。
error: Failed to start network default error: Cannot check dnsmasq binary /usr/sbin/dnsmasq: No such file or directory
この時、DNSマスカレードをインストールする。
sudo zypper install dnsmasq