インストール - GCC

提供:MochiuWiki : SUSE, EC, PCB
2022年11月24日 (木) 06:38時点におけるWiki (トーク | 投稿記録)による版 (→‎H8 (システムルート無し))
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概要

CentOSやSUSEのパッケージ管理システムで提供されているGCCのバージョンは古い可能性がある。
最新のGCCでは、C++11からC++17を完全にサポートしており、また、C++20を部分的にサポートしている。
また、最新のGCCでは、C11およびC++14のサポートがデフォルトで有効になっている。(-std=c11または-std=c++14を追加する必要はない)


依存関係のライブラリのインストール

まず、システムが最新であることを確認する。

# CentOS
sudo yum update

# SUSE
sudo zypper update


依存関係のライブラリを、以下に示す2種類のいずれかの方法でインストールする。

パッケージ管理システムの使用

# CentOS
sudo yum install gmp-devel mpfr-devel libmpc-devel isl-devel 

# SUSE
sudo zypper install patterns-base-basesystem patterns-devel-base-devel_basis patterns-devel-C-C++-devel_C_C++ \
                    gcc gcc-c++ gawk ncurses-devel make tar pkg-config m4 gperf bison flex expect expect-devel \
                    gmp-devel mpfr-devel mpc-devel isl-devel


GCCのモジュールの使用

GCCの公式Webサイトにアクセスして、GCCのソースコードをダウンロードして解凍する。
または、以下のコマンドを実行してダウンロードする。

wget http://ftp.tsukuba.wide.ad.jp/software/gcc/releases/gcc-10.1.0/gcc-10.1.0.tar.xz
wget http://ftp.tsukuba.wide.ad.jp/software/gcc/releases/gcc-10.1.0/sha512.sum
tar zxvf gcc-10.1.0.tar.gz -o src


次に、解凍したGCCのディレクトリに移動して、以下のコマンドを実行すると、依存関係のライブラリがダウンロードされる。

./contrib/download_prerequisites


ダウンロードされた依存関係のライブラリを解凍する。

tar -xvf gmp-6.1.0.tar.bz2
tar -xvf mpfr-3.1.4.tar.bz2 
tar -xvf mpc-1.0.3.tar.gz 
tar -xvf isl-0.18.tar.bz2 


これらのライブラリを全てインストールする。

  • gmpのインストール
./gmp-6.1.0/configure --prefix=$HOME/InstallSoftware/GCC/GCC-10_1_0 --enable-cxx
make -j 8
make check
make install


  • mpfrのインストール
./mpfr-3.1.4/configure --prefix=$HOME/InstallSoftware/GCC/GCC-10_1_0 --with-gmp=$HOME/InstallSoftware/GCC/GCC-10_1_0
make -s -j 8
make -s check
make install


  • mpcのインストール
./mpc-1.0.3/configure --prefix=$HOME/InstallSoftware/GCC/GCC-10_1_0 --with-gmp=$HOME/InstallSoftware/GCC/GCC-10_1_0 --with-mpfr=$HOME/InstallSoftware/GCC/GCC-10_1_0
make -s -j 8
make check -s -j 8
make install


  • islのインストール
./isl-0.18/configure --prefix=$HOME/InstallSoftware/GCC/GCC-10_1_0 --with-gmp-prefix=$HOME/InstallSoftware/GCC/GCC-10_1_0
make -j 8
make check
make install



GCCのインストール

GCCの公式Webサイトにアクセスして、GCCのソースコードをダウンロードして解凍する。
または、以下のコマンドを実行してダウンロードする。

wget http://ftp.tsukuba.wide.ad.jp/software/gcc/releases/gcc-<バージョン>/gcc-<バージョン>.tar.xz
wget http://ftp.tsukuba.wide.ad.jp/software/gcc/releases/gcc-<バージョン>/sha512.sum
tar xf gcc-<バージョン>.tar.xz


sha512.sumファイルを使用して、ダウンロードしたファイルのチェックを行う。
sha512sum: gcc-<バージョン>.tar.gz: No such file or directoryというメッセージが表示されるが、
gcc-<バージョン>.tar.gzファイルをダウンロードしていないため表示されているだけなので、特に問題ない。

sha512sum --check sha512.sum


GCC 7.1をインストールする場合、/<GCC 7.1のソースディレクトリ>/libgcc/config/i386/linux-unwind.hファイルを、以下に示すように修正する必要がある。

# /<GCC 7.1のソースディレクトリ>/libgcc/config/i386/linux-unwind.hファイルの61行目

# 修正前
struct ucontext *uc_ = context->cfa;

# 修正後
struct ucontext_t *uc_ = context->cfa;


GCCをビルドおよびインストールする。
オプションの説明を記載する。

  • enable-languages=c,c++,fortran
    C、C++、FORTRANのコンパイラをビルド対象とする。
  • disable-bootstrap
    ただし、クロスコンパイラ向けでは使用できないことに注意すること。
    3-stage bootstrap buildの無効化。
  • disable-multilib
    64bit専用コンパイラとする。(ただし、-m32オプションが使用できなくなる)
cd gcc-<バージョン>
mkdir build && cd build


# GCC 7.5以降かつパッケージ管理システムで依存関係のライブラリをインストールしている場合
../configure -v --build=x86_64-linux-gnu --host=x86_64-linux-gnu --target=x86_64-linux-gnu \
                --prefix=<GCCのインストールディレクトリ> --program-suffix="_X_X" \
                --enable-languages=c,c++,fortran --disable-bootstrap

make -j $(nproc)

make install-strip

# GCC 7.5以降かつ手動で依存関係のライブラリをインストールしている場合
../configure -v --build=x86_64-linux-gnu --host=x86_64-linux-gnu --target=x86_64-linux-gnu \
                --prefix=<GCCのインストールディレクトリ> --program-suffix="_X_X" \
                --enable-checking=release --enable-languages=c,c++,fortran --disable-bootstrap \
                --with-gmp=<GMP, MPC MPFR, ISLのインストールディレクトリ> --with-mpc=<GMP, MPC MPFR, ISLのインストールディレクトリ> \
                --with-mpfr=<GMP, MPC MPFR, ISLのインストールディレクトリ> --with-isl=<GMP, MPC MPFR, ISLのインストールディレクトリ>

unset LIBRARY_PATH CPATH C_INCLUDE_PATH PKG_CONFIG_PATH CPLUS_INCLUDE_PATH INCLUDE

LD_LIBRARY_PATH=/<GMP, MPC MPFR, ISLのインストールディレクトリ>/lib64 make -j $(nproc)

make install

# GCC 6.5以前かつパッケージ管理システムで依存関係のライブラリをインストールしている場合
../configure -v --build=x86_64-linux-gnu --host=x86_64-linux-gnu --target=x86_64-linux-gnu \
                --prefix=<GCCのインストールディレクトリ> --program-suffix="_X_X" \
                --enable-checking=release --enable-languages=c,c++,fortran --disable-bootstrap \
                --disable-libsanitizer --disable-libcilkrts

make -j $(nproc)
make install-strip


インストールしたGCCへ環境変数のパスを通す。

vi ~/.profile

# .profileファイル
export export PATH="/<GCCのインストールディレクトリ>/bin:$PATH"
export LD_LIBRARY_PATH="/<GCCのインストールディレクトリ>/lib64:$LD_LIBRARY_PATH"


最後に、PCを再起動する。


共有ライブラリの参照設定

GCCをソースコードからインストールした場合、共有ライブラリが/<GCCのインストールディレクトリ>/lib64に作成されるが、
環境変数のパスが通っていないため、Linuxから参照されない。

そのため、以下のいずれかの方法で環境変数のパスを通す必要がある。

  • /etc/ld.so.confファイルに記述する。(システム全体)
  • ~/.profileファイルまたは~/.bashrcファイル等に、LD_LIBRARY_PATHを記述する。(ユーザごとに設定が必要)


ld.so.confファイルに設定する

/etc/ld.so.confファイルに/<GCCのインストールディレクトリ/lib64を追記することで、Linuxがライブラリを認識する。
以下のコマンドを実行して、設定を追記する。

sudo vi /etc/ld.so.conf

# /etc/ld.so.confファイル
/<GCCのインストールディレクトリ/lib64


上記の設定を反映させるため、ldconfigコマンドを実行する。

ldconfig -v


ldconfigコマンドを実行した時に表示される情報から、
以下のように、/<GCCのインストールディレクトリ/lib64ディレクトリが読み込まれていることを確認する。

/<GCCのインストールディレクトリ>/lib64:
ldconfig: /<GCCのインストールディレクトリ>/lib64/libstdc++.so.6.0.25-gdb.py is not an ELF file - it has the wrong magic bytes at the start.

       libatomic.so.1 -> libatomic.so.1.2.0
       libitm.so.1 -> libitm.so.1.0.0
       libgomp.so.1 -> libgomp.so.1.0.0
       libquadmath.so.0 -> libquadmath.so.0.0.0
       libssp.so.0 -> libssp.so.0.0.0
       libmpxwrappers.so.2 -> libmpxwrappers.so.2.0.1


ldconfigコマンドを実行した結果、もし、以下のようなメッセージが表示された場合の対処方法を記載する。

ldconfig: /<GCCのインストールディレクトリ>/lib64/libstdc++.so.6.0.25-gdb.py is not an ELF file - it has the wrong magic bytes at the start.


これは、libstdc++.so.6.0.25-gdb.pyは、pythonのスクリプトであるが、これを共有ライブラリとして認識していることが原因である。

file /<GCCのインストールディレクトリ>/lib64/libstdc++.so.6.0.25-gdb.py

/<GCCのインストールディレクトリ>/lib64/libstdc++.so.6.0.25-gdb.py: Python script, ASCII text executable


対処方法としては、該当ファイルの名前を変更して、共有ライブラリと認識されないようする。

mv /<GCCのインストールディレクトリ>/lib64/libstdc++.so.6.0.25-gdb.py  /<GCCのインストールディレクトリ>/lib64/libstdc++.so.6.0.25-gdb.py_org


再度、ldconfigコマンドを実行する。

ldconfig -v


また、CentOS 7の場合、/etc/ld.so.confファイルにinclude ld.so.conf.d/*.confと設定されているが、
これは、ld.so.conf.dディレクトリ内のconf拡張子をもつファイルの内容を読み込むという設定である。

ld.so.conf.dディレクトリ内に/<GCCのインストールディレクトリ>/lib64と記述したconfファイルを作成することにより、
Linuxに共有ライブラリのパスを認識させることができる。

ここでは、/etc/ld.so.conf.d/UserAdd-lib64.confファイルを作成する。

sudo vi /etc/ld.so.conf.d/UserAdd-lib64.conf

# UserAdd-lib64.confファイル
/<GCCのインストールディレクトリ>/lib64


上記の設定を反映させるため、ldconfigコマンドを実行する。

ldconfig -v


LD_LIBRARY_PATHに設定する

この方法は、ユーザごとに設定する必要がある。
~/.profileファイルまたは~/.bashrcファイル等に、LD_LIBRARY_PATHの設定を追加することで、ユーザがログインする際に設定が読み込まれる。

vi ~/.profile

# ~/.profileファイル
export LD_LIBRARY_PATH=$LD_LIBRARY_PATH:/<GCCのインストールディレクトリ>/lib64


上記の設定を反映させるため、PCを再起動または再ログインする。


libstdc++の入れ替え

この操作を行うと、システムが不安定になる可能性があるため、必要な時にのみこれを行う。

現在のlibstdc++の対応関係を確認する。

strings /usr/lib64/libstdc++.so.6 | grep GLIBCXX


インストールしたGCCのlibstdc++.so.<バージョン名>をコピーする。

sudo cp /<GCCのインストールディレクトリ>/lib64/libstdc++.so.6.0.28 /usr/lib64


/usr/lib64ディレクトリにあるlibstdc++.so.6ファイルのバージョンを確認する。

ls -ahlF /usr/lib64/libstd*


libstdc++.so.6ファイルを入れ替える。

sudo mv /usr/lib64/libstdc++.so.6 /usr/lib64/libstdc++.so.6_org
sudo ln -s /usr/lib64/libstdc++.so.<バージョン名> /usr/lib64/libstdc++.so.6


正常にコピーできたか確認する。

ls -ahlF /usr/lib64/libstd*


入れ替えたlibstdc++の対応関係を確認する。

strings /usr/lib64/libstdc++.so.6 | grep GLIBCXX



クロスコンパイラ向けGCCツールチェーンのインストール

クロスコンパイラ向けGCCツールチェーンとは

クロスコンパイラ向けGCCツールチェインは、C/C++、アセンブリ言語のためのオープンソースのツール群である。
これは、各アーキテクチャのプロセッサを対象として実装している。

AArch64 (システムルートあり)

まず、GNUの公式Webサイトから、Binutilsをダウンロードする。
ダウンロードしたファイルを解凍する。

tar xf binutils-<バージョン>.tar.xz
cd binutils-<バージョン>


ビルドディレクトリを作成する。

mkdir build && cd build


クロスコンパイラ向けBinutilsのビルドおよびインストールする。
インストールディレクトリは、クロスコンパイラ向けGCCのインストールディレクトリと同じディレクトリであることに注意する。

../configure --prefix=<クロスコンパイラ向けGCCのインストールディレクトリ> \
--build=x86_64-pc-linux-gnu --host=x86_64-pc-linux-gnu --target=aarch64-unknown-linux-gnu \
--disable-gdb --disable-nls --disable-multilib --disable-werror \
--enable-gold --enable-lto --enable-plugins --enable-relro \
--with-sysroot=<ターゲットのシステムルートディレクトリ> \
CFLAGS="-g0 -O3 -fstack-protector-strong" \
CXXFLAGS="-g0 -O3 -fstack-protector-strong"

make -j $(nproc)
make install


次に、GCCの公式Webサイトにアクセスして、GCCのソースコードをダウンロードして解凍する。
または、以下のコマンドを実行してダウンロードする。

wget http://ftp.tsukuba.wide.ad.jp/software/gcc/releases/gcc-<バージョン>/gcc-<バージョン>.tar.xz
tar xf gcc-<バージョン>.tar.xz
cd gcc-<バージョン>


クロスコンパイラ向けGCCをビルドおよびインストールする。
クロスコンパイラ向けGCCをビルドする場合、ネイティブ向けGCCとバージョンを合わせた方がよい。

export PATH="/<上記でインストールしたBinutilsのインストールディレクトリ>/bin:$PATH" && \
CC=<ネイティブ向けGCCのパス> CXX=<ネイティブ向けG++のパス> \
../configure -v --prefix=<クロスコンパイラ向けGCCのインストールディレクトリ>  \
--build=x86_64-pc-linux-gnu --host=x86_64-pc-linux-gnu --target=aarch64-unknown-linux-gnu \
--enable-languages=c,c++ --disable-bootstrap --disable-multilib --disable-nls \
--with-sysroot=<ターゲットのシステムルートディレクトリ> \
CFLAGS="-g0 -O3 -fstack-protector-strong" \
CXXFLAGS="-g0 -O3 -fstack-protector-strong"

make -j $(nproc)
make install-strip


H8 (システムルート無し)

まず、GNUの公式Webサイトから、Binutilsをダウンロードする。
ダウンロードしたファイルを解凍する。

tar xf binutils-<バージョン>.tar.xz
cd binutils-<バージョン>


クロスコンパイラ向けBinutilsのビルドおよびインストールする。
インストールディレクトリは、クロスコンパイラ向けGCCのインストールディレクトリと同じディレクトリであることに注意する。

mkdir build && cd build

../configure --prefix=<クロスコンパイラ向けGCCのインストールディレクトリ> \
             --build=x86_64-pc-linux-gnu --host=x86_64-pc-linux-gnu --target=h8300-elf \
             --disable-gdb --disable-nls --disable-multilib --disable-werror \
             --enable-lto
make -j $(nproc)
make install


次に、GCCの公式Webサイトにアクセスして、GCCのソースコードをダウンロードする。
ダウンロードしたファイルを解凍する。

tar xf gcc-<バージョン>.tar.xz
cd gcc-<バージョン>


さらに、NewLibの公式Webサイト、または、NewLibのGithubにアクセスして、NewLibのソースコードをダウンロードする。
もし、NewLibの公式Webサイトからファイルをダウンロードできない場合は、wgetコマンド等を使用してダウンロードする。

wget ftp://sourceware.org/pub/newlib/newlib-<バージョン>.tar.gz


ダウンロードしたファイルを解凍する。

tar xf newlib-<バージョン>.tar.gz


クロスコンパイラ向けGCC(1度目は、gccファイルのみ)をビルドおよびインストールする。
クロスコンパイラ向けGCCをビルドする場合、ネイティブ向けGCCとバージョンを合わせた方がよい。

GCC ビルド ステージ 1
cd <GCCのソースコードがあるディレクトリ>
mkdir build && cd build

export PATH="/<上記でインストールしたBinutilsのインストールディレクトリ>/bin:$PATH" && \
CC=<ネイティブ向けGCCのパス> CXX=<ネイティブ向けG++のパス> \
../configure --prefix=<クロスコンパイラ向けGCCのインストールディレクトリ>  \
             --build=x86_64-pc-linux-gnu --host=x86_64-pc-linux-gnu --target=h8300-elf \
             --enable-languages=c,c++ \
             --disable-bootstrap --disable-nls --disable-shared --disable-libstdcxx-pch --enable-lto --enable-gold \
             --with-newlib \
             --with-headers=/<上記でダウンロードしたNewLibのディレクトリ>/newlib/libc/include
make -j $(nproc) LANGUAGES="c c++" all-gcc
make -j $(nproc) LANGUAGES="c c++" install-gcc
make install-strip


次に、NewLibをビルドおよびインストールする。

mkdir build && cd build

export PATH="/<上記でインストールしたBinutilsのインストールディレクトリ>/bin:$PATH" && \
CC=<ネイティブ向けGCCのパス> CXX=<ネイティブ向けG++のパス> \
../configure --prefix=<クロスコンパイラ向けGCCのインストールディレクトリ>  \ 
             --build=x86_64-pc-linux-gnu --host=x86_64-pc-linux-gnu --target=h8300-elf
make -j $(nproc)
make install



GCC ARMツールチェーンの使用方法

GCC ARMツールチェーンとは

Cortex-A向けGNUツールチェインは、C/C++、アセンブリ言語のためのオープンソースのツール群である。
これは、Cortex-Aファミリのプロセッサを対象としており、Arm Aプロファイルアーキテクチャを実装している。
このツールチェーンにはGCCが含まれており、WindowsおよびLinux向けに無償で提供されている。

GCC ARMツールチェーンのダウンロード

Cortex-Aファミリ

ARMの公式Webサイトから、ユーザの環境に合うバージョンをダウンロードする。
GCC ARMを解凍して、適切なディレクトリに配置する。

Raspberry Pi

Raspberry Pi向けにクロスコンパイルする場合は、下表を参考にして、ユーザの環境に合ったGCC ARMツールチェーンをダウンロードする。
https://sourceforge.net/projects/raspberry-pi-cross-compilers/files/Raspberry%20Pi%20GCC%20Cross-Compiler%20Toolchains/

表. Raspberry Pi専用GCC ARMツールチェーンのダウンロード
Raspberry Piの種類 Raspbian Stretch(32-bit) Raspbian Buster(32-bit) Raspbian Bullseye(32-bit)
Raspberry Pi Zero/W/WH
Raspberry Pi 1 Model A / B / A+ / B+
6.3.0
9.3.0
10.2.0
8.3.0
9.3.0
10.2.0
10.2.0
10.3.0
Raspberry Pi 2 Model A / B
Raspberry Pi 3 Model A / B
6.3.0
9.3.0
10.2.0
8.3.0
9.3.0
10.2.0
10.2.0
10.3.0
Raspberry Pi 3 Model A+ / B+
Raspberry Pi 4 Model A+ / B+
Raspberry Pi Compute 3 / 3lite / 3+
6.3.0
8.3.0
10.2.0
8.3.0
9.3.0
10.2.0
10.2.0
10.3.0


上表は、Raspbian OS 32bit向けのGCC ARMツールチェインであるが、Raspbian OS 64bit向けのGCC ARMツールチェインが必要な場合は、以下に示すURLにアクセスする。
https://sourceforge.net/projects/raspberry-pi-cross-compilers/files/Bonus%20Raspberry%20Pi%20GCC%2064-Bit%20Toolchains/Raspberry%20Pi%20GCC%2064-Bit%20Cross-Compiler%20Toolchains/

また、Raspberry Pi向けには、Linaro社が提供しているGCC ARMツールチェインを使用することもできる。
https://releases.linaro.org/components/toolchain/binaries/latest-7/arm-linux-gnueabihf

  • Windows x86 / Linux x86の場合
    gcc-linaro-7.5.0-2019.12-i686_arm-linux-gnueabihf.tar.xz
  • Linux x64の場合
    gcc-linaro-7.5.0-2019.12-x86_64_arm-linux-gnueabihf.tar.xz


GCC ARMツールチェーンを使用したコンパイル

Cortex-Aファミリ

以下の例では、ARMの公式WebサイトからダウンロードしたGCC ARMツールチェーンを使用して、
任意のソフトウェアをCortex-Aファミリ向けにビルドしている。

もし、configureスクリプトを実行する時、undefined reference to 'rpl_malloc'というエラーが表示される場合は、
ac_cv_func_malloc_0_nonnull=yes ac_cv_func_realloc_0_nonnull=yesオプションを付加する。
これは、autotoolsの仕様で、GLIBC以外のシステム(例. uClibc等)を使用しているからである。

# 32bit Cortex-A(Hard Float版)向けにビルドする場合
ac_cv_func_malloc_0_nonnull=yes ac_cv_func_realloc_0_nonnull=yes \
../configure --prefix=<ソフトウェアのインストールディレクトリ> \
CC=/<GCC_ARMのインストールディレクトリ>/bin/arm-none-linux-gnueabihf-gcc \
CXX=/<GCC_ARMのインストールディレクトリ>/bin/arm-none-linux-gnueabihf-g++ \
--build=x86_64-unknown-linux-gnu --host=arm-none-linux-gnueabihf --target=arm-none-linux-gnueabihf \
--with-sysroot=/<GCC_ARMのインストールディレクトリ>/arm-none-linux-gnueabihf/libc --with-gnu-ld

make -j $(nproc) LDFLAGS="-L/<GCC_ARMのインストールディレクトリ>/arm-none-linux-gnueabihf/lib" \
CFLAGS="-I/<GCC_ARMのインストールディレクトリ>/arm-none-linux-gnueabihf/include"

make install


# 64bit Cortex-A向けにビルドする場合
ac_cv_func_malloc_0_nonnull=yes ac_cv_func_realloc_0_nonnull=yes \
../configure --prefix=<ソフトウェアのインストールディレクトリ> \
CC=/<GCC_ARMのインストールディレクトリ>/bin/aarch64-none-linux-gnu-gcc \
CXX=/<GCC_ARMのインストールディレクトリ>/bin/aarch64-none-linux-gnu-g++ \ 
--build=x86_64-unknown-linux-gnu --host=aarch64-none-linux-gnu --target=aarch64-none-linux-gnu \
--with-sysroot=/<GCC_ARMのインストールディレクトリ>/aarch64-none-linux-gnu/libc --with-gnu-ld

make -j $(nproc) LDFLAGS="-L/<GCC_ARMのインストールディレクトリ>/aarch64-none-linux-gnu/lib64" \
CFLAGS="-I/<GCC_ARMのインストールディレクトリ>/aarch64-none-linux-gnu/include"

make install


Raspberry Pi

以下の例では、SourceForgeからダウンロードしたRaspberry Pi専用のGCC ARMツールチェーンを使用して、
任意のソフトウェアをRaspberry Pi向けにビルドしている。

ac_cv_func_malloc_0_nonnull=yes ac_cv_func_realloc_0_nonnull=yes \
../configure --prefix=<ソフトウェアのインストールディレクトリ> \
CC=/<GCC_ARMのインストールディレクトリ>/bin/arm-linux-gnueabihf-gcc CXX=/<GCC_ARMのインストールディレクトリ>/bin/arm-linux-gnueabihf-g++ \
--build=x86_64-unknown-linux-gnu --host=arm-linux-gnueabihf --target=arm-linux-gnueabihf

make -j $(nproc)

make install



C++14 / C++17のサンプルコード

C++14では、ラムダ式のパラメータのタイプにautoが使用できる。

 // sample.cpp
 
 #include <iostream>
  
 int main()
 {
    std::cout << [](auto a, auto b) { return a + b; } (5, 6) << std::endl;
    std::cout << [](auto a, auto b) { return a + b; } (5.23, 6.45) << std::endl;
    return 0;
 }


# 実行
g++-10.1 -Wall -pedantic sample.cpp -o sample
./sample

# 出力
11
11.68


このページの冒頭で述べたように、GCC 10.1は、C++17を完全にサポートしている。
以下の例では、static_assertへのC++17変更の使用例をテストしている。

 // sample.cpp
 
 #include <type_traits>
 #include <iostream>
  
 struct A
 {
    int foo;
 };
 
 struct B
 {
    int foo = 0;
 };
  
 template <typename T>
 void print(const T& a)
 {
    static_assert(std::is_pod<T>::value);
    std::cout << a.foo << '\n';
 }
  
 int main()
 {
    A x{1};
    B y{2};
    B z;
 
    print<A>(x);
    print<B>(y);
    print<B>(z);
 
    return 0;
 }


コンパイルを行うには、-std=c++17オプションを付与する。
また、上記のコードの17行目と24行目でトリガーされたコンパイルエラーが表示される。

# 実行
g++-10.1 -std=c++17 -Wall -pedantic sample.cpp -o sample

# 出力
sample.cpp: In instantiation of ‘void print(const T&) [with T = B]’:
sample.cpp:24:13:   required from here
sample.cpp:14:33: error: static assertion failed
    17 |   static_assert(std::is_pod<T>::value);


もし、C++11の構文の詳細に興味がある場合は、Bjarne StroustrupによるC++プログラミング言語を読むことを推奨する。