インストール - Samba
概要
ここでは、Sambaを使用してファイルサーバを構築する。
ネットワークに接続していないと、Sambaをインストールしても外部からアクセスができないので、既存のネットワークに接続すること。
必ず、Linuxを固定IPアドレスに設定すること。(ここでは192.168.1.5とする)
Sambaのインストール
パッケージ管理システムからインストール
最新パッケージリストを取得する。
# CentOS sudo yum update # SUSE sudo zypper update # Raspberry Pi sudo apt-get update
Sambaをインストールする。
# CentOS sudo yum install samba samba-client # SUSE sudo zypper install samba samba-client # Raspberry Pi sudo apt-get install samba
ソースコードからインストール
Sambaのビルドに必要なライブラリをインストールする。
Kerberos 1.15.1以降が必要となることに注意する。
# CentOS sudo yum install tar gcc gdb rpcgen docbook-style-xsl dbus-devel readline-devel zlib-devel gnutls-devel systemd-devel \ gpgme-devel keyutils-libs-devel krb5-workstation jansson-devel libacl-devel libaio-devel cups-devel \ libarchive-devel libattr-devel libblkid-devel libtasn1 libtasn1-tools libxml2-devel libxslt \ lmdb-devel openldap-devel pam-devel perl perl-ExtUtils-MakeMaker perl-Parse-Yapp popt-devel \ python36-devel python3-cryptography python3-dns python3-gpg python3-markdown # SUSE sudo zypper install tar acl attr autoconf bison flex ccache hostname gawk sed rsync pkgconfig htop lcov rpcgen rpcsvc-proto-devel \ tree patch procps psmisc rng-tools gcc gdb glib2-devel glibc-locale ncurses-devel readline-devel zlib-devel dbus-1-devel \ libicu-devel libcap-devel libpcap-devel libjansson-devel keyutils-devel krb5-server krb5-client krb5-devel \ libacl-devel libaio-devel libarchive-devel libattr-devel libblkid-devel libtasn1-devel systemd-devel \ libxml2-devel libxslt libxslt-devel docbook_4 docbook5-xsl-stylesheets lmdb lmdb-devel openldap2-devel pam-devel \ gnutls-devel gpgme-devel popt-devel cups-devel libbsd-devel libnsl-devel liburing2-devel libbd_dm-devel \ perl perl-ExtUtils-MakeMaker perl-Parse-Yapp perl-Archive-Tar-Wrapper perl-JSON perl-JSON-XS perl-Test-Base \ python3-devel python3-cryptography python3-dnspython python3-gpg python3-Markdown python3-semanage \ python3-talloc-devel python3-iso8601 python3-pyasn1 python3-setproctitle policycoreutils-python \ libtalloc-devel libcmocka-devel libtdb-devel tracker-devel libnscd-devel libuuid-devel libunwind-devel \ xfsprogs-devel glusterfs-devel libtirpc-devel libntirpc-devel libavahi-devel chrpath libcephfs-devel \ lsb-release system-user-nobody dnf-utils \ bind-utils # 内部DNSサーバを使用する場合 # Raspberry Pi # インストールには、BIND DNSサーバを含んでいる # もし、Sambaにおいて、内部DNSサーバを使用する場合、BINDパッケージは省略できる # ただし、ダイナミックDNSのサポートを有効にするため、nsupdateを含むパッケージが必要となる sudo apt-get install acl attr autoconf bison flex pkg-config \ build-essential gdb libncurses5-dev libreadline-dev \ debhelper dnsutils docbook-xml docbook-xsl xsltproc krb5-user \ libacl1-dev libaio-dev libarchive-dev libattr1-dev libblkid-dev libbsd-dev \ libcap-dev libcups2-dev libgnutls28-dev nettle-dev libgpgme-dev libjansson-dev \ libldap2-dev libpam0g-dev libpopt-dev \ perl perl-modules libparse-yapp-perl libjson-perl \ python-all-dev python-dev python3-dev python-crypto python-dbg python-dnspython \ python3-dnspython python-gpgme python3-gpgme python-markdown python3-markdown \ zlib1g-dev liblmdb-dev lmdb-utilsa \ bind9utils # 内部DNSサーバを使用する場合
Sambaの公式Webサイトにアクセスして、ソースコードをダウンロードする。
ダウンロードしたファイルを解凍する。
tar xf samba-<バージョン>.tar.gz cd samba-<バージョン>
Sambaをビルドおよびインストールする。
ビルドディレクトリを作成する場合、Sambaのビルドに失敗することに注意する。
./configure --prefix=<Sambaのインストールディレクトリ> --enable-cups --with-systemd --systemd-install-services make -j $(nproc) make install
Sambaの設定ファイルを作成する。
vi /<Sambaのインストールディレクトリ>/etc/smb.conf
# /<Sambaのインストールディレクトリ>/etc/smb.confファイル [global] unix charset = EUC-JP dos charset = CP932 display charset = CP932 workgroup = WORKGROUP server string = Samba Server security = USER encrypt passwords = Yes smb passwd file = /etc/samba/smbpasswd guest account = nobody unix password sync = no log file = /var/log/samba/log.%m max log size = 50 socket options = TCP_NODELAY SO_RCVBUF=8192 SO_SNDBUF=8192 dns proxy = No
SambaのSystemdサービスファイルを、/etc/systemd/systemディレクトリにコピーする。
sudo cp /<Sambaのインストールディレクトリ>/lib/systemd/system/* /etc/systemd/system
SambaのSystemdサービスファイルを読み込む。
sudo systemctl daemon-reload
Sambaを起動する。
sudo systemctl start smb nmb
もし、Sambaが起動しない場合、/<Sambaのインストールディレクトリ>/var/run/ncalrpcディレクトリを削除する。
sudo rm -r /<Sambaのインストールディレクトリ>/var/run/ncalrpc
Sambaの設定
ホームディレクトリにSambaで使用する共有ディレクトリを作成する。
mkdir ~/Common
Samba の設定ファイルであるsmb.confを編集する。
sudo vi /etc/samba/smb.conf
smb.confの末尾に以下の記述を追加して保存する。
# [global]セクションの直下に、以下の2行を追記する unix charset = UTF-8 dos charset = CP932 # [global]セクションのworkgroupキー # ドメインを設定している場合は変更する workgroup = WORKGROUP # [global]セクションのhosts allowキーおよび各共有設定のセクションに追記 # アクセス制限を行う場合は、アクセスを許可するIPアドレスを指定する hosts allow = 192.168.2. 192.168.1.20/24 # 126行目あたり : 認証なしでアクセスする場合は追記する security = <ユーザ名> passdb backend = tdbsam map to guest = Bad User # 末尾に以下を追記する [Common] comment = Shared Directory on Samba path = /home/<ユーザ名>/Common read only = no browsable = yes public = no guest ok = no available = yes valid users = <Sambaに登録したユーザ名1> <Sambaに登録したユーザ名2> <Sambaに登録したユーザ名3> ... #force user = <サーバのユーザ名>
設定項目の意味を、以下に示す。
- available, valid users
- 以下の2つをセットで設定する時、hogeユーザ以外はログインできない。
- available = yes
- valid users = hoge
- force user
- どのユーザでログインしても、内部的にhogeでログインして接続する。この時、そのユーザ名とパスワードが求められる。
- force user = hoge
- public, guest ok
- パスワードなしでアクセスするためguestを許可する。publicキーとguest okキーは同じ意味のキーである。
- public = yes
- guest ok = yes
- map to guest
- Sambaにアクセスする時、有効なユーザとして認証されなかった場合の動作を指定するパラメータである。
- 設定値を以下に示す。
- Never
- 不正なパスワードによるユーザのログイン要求を拒否して、ゲスト認証は許可しない。
- Bad User
- 存在するユーザに対する不正なパスワードによるログイン要求は拒否する。
- 存在しないユーザを指定された場合は、ゲスト認証であるとみなして、guest accountパラメータに定義されたユーザでログインする。
- Bad Password
- 存在しないユーザを指定された場合に加えて、存在するユーザに対する不正なパスワードによるログイン要求も、ゲスト認証であるとみなして、
- guest accountパラメータに定義されたユーザでログインする。
- Bad Uid
- Sambaがドメインモードのセキュリティで構成されている環境において、認証が成功したにも関わらずUNIX側のユーザアカウントが存在しない場合に、
- guest accountパラメータに定義されたユーザでログインする。
- ただし、Sambaでwinbinddが機能している場合、WindowsのユーザがUnixのユーザとして動作できるようになるため、
- 認証に成功したにも関わらずUNIX側のユーザアカウントが存在しない、ということは発生しない。
- そのため、winbinddが機能するSamba 3以降ではBad Uidはほとんど利用されていない。
- なお、Samab 2.x系では、Bad Uidがデフォルトとして設定されている。
Sambaを再起動する。
sudo systemctl restart smbd sudo systemctl restart nmbd
ファイアーウォールを有効にしている場合は、Sambaサービスの許可が必要である。
sudo firewall-cmd --permanent --add-service=samba または sudp firewall-cmd --permanent --add-port=445/tcp sudo firewall-cmd --reload
SELinuxを有効にしている場合は、SELinuxコンテキストの変更が必要である。
sudo setsebool -P samba_enable_home_dirs on sudo restorecon -R /home/<ユーザ名>/Common
動作の確認
エクスプローラまたは[ファイル名を指定して実行]にて、
下記のように、IPアドレスまたはホスト名を入力して、共有ディレクトリが表示できるか確認する。
\\192.168.1.5 または \\RASPBERRYPI
Sambaへのユーザ登録
Sambaは独自でユーザの管理をするので、Sambaへのユーザ登録をすることができる。
Sambaと通常サーバは、別々にユーザを管理するが、同一のユーザ名とパスワードで問題ない。
クライアントからSambaにアクセスしたときに、認証画面において、ユーザ名とパスワードを入力することになる。
Sambaのユーザ名とパスワードを登録する方法を、以下に示す。
ただし、登録できるユーザは、既にサーバに存在するユーザのみである。
また、Sambaのユーザ登録のコマンドは、Samba2.xではsmbpasswd
コマンド、Samba3.xではpdbedit
コマンドとなる。
# Sambaのユーザ名の一覧を表示 sudo pdbedit -L # 詳細なユーザ名の一覧を表示 sudo pdbedit -L -v # ユーザを登録する (パスワードを2回入力して設定する) sudo pdbedit -a <ユーザ名> # Sambaのユーザを削除する sudo pdbedit -x <ユーザ名>
Sambaユーザのパスワードを変更する場合、smbpasswd
コマンドを使用する。
sudo smbpasswd <ユーザ名>
次に、/etc/samba/smb.confファイルを以下のように編集する。
sudo vi /etc/samba/smb.conf
# /etc/samba/smb.confファイル public = no # force user = pi # コメントする valid users = <登録するユーザ名>
最後に、Sambaを再起動する。
sudo systemctl restart smbd sudo systemctl restart nmbd
Sambaユーザのパスワードがサーバとは別管理になる理由は、
Linuxのパスワード管理の暗号化方式と、Sambaのパスワード管理の暗号化方式が異なるためである。
Sambaは、Windowsのパスワード管理の暗号化に合わせているため、同一のユーザ名とパスワードであっても、Sambaに登録をする。
暗号化方式を統一することもできるが、セキュリティ面から標準の設定の方がよい。