Photino.Blazor - ルーティング
概要
Photino.Blazorにおけるルーティングの基本的な仕組みは、通常のBlazorアプリケーションと同様、コンポーネントベースのルーティングを採用している。
ルーティングシステムは、URLパスとコンポーネントを紐付け、ユーザの画面遷移を管理する。
実装方法として、@page
ディレクティブを使用する。
これは、Razorコンポーネントファイルの先頭に記述して、そのコンポーネントがどのURLパスで表示されるかを定義する。
@page "/counter"
<h1>Counter</h1>
// コンポーネントの実装
// ...略
パラメータを含むルートも設定可能である。
例えば、ユーザIDに基づいた動的なルーティングは次のように実装することができる。
@page "/user/{Id}"
@code {
[Parameter]
public string Id { get; set; }
}
ナビゲーションについては、プログラムによる遷移と宣言的な遷移の両方をサポートしている。
プログラムによる遷移にはNavigationManager
を使用して、宣言的な遷移には<NavLink>
コンポーネントを使用する。
// プログラムによる遷移
@inject NavigationManager NavigationManager
@code {
private void NavigateToCounter()
{
NavigationManager.NavigateTo("/counter");
}
}
// 宣言的な遷移
<NavLink class="nav-link" href="counter">
<span>Counter</span>
</NavLink>
ルートパラメータのバリデーションやカスタム制約も実装可能である。
これにより、特定のパターンに一致するパラメータのみを受け付けるようなルーティングを設定することができる。
さらに、入れ子のルーティングも実装可能である。
これは、@pageディレクティブに複数のルートテンプレートを指定することで実現することができる。
@page "/products"
@page "/products/{category}"
@code {
[Parameter]
public string Category { get; set; }
}
エラーハンドリングについて、存在しないルートへのアクセスや無効なパラメータに対して、カスタムの404ページや適切なエラーページを表示するように設定できる。
これは、アプリケーションのルートコンポーネントでRouterコンポーネントを設定することで実現できる。
また、Blazorの認証システムと組み合わせることにより、特定のルートへのアクセスを認証・認可により制限することも可能である。
ルーティングの設定
Photinoアプリケーションのルーティングの基本設定を行い、以下に示す機能を提供する。
これはBlazorの標準的なルーティング設定であり、SPAアプリケーションのナビゲーション機能を実現するために必要な基本的な設定となっている。
- 正しいURLの場合は対応するページを表示する。
- 存在しないページにアクセスした場合は、エラーページを表示する。
- 全てのページに共通のレイアウトを適用する。
以下の例では、Blazor向けのルーティング設定を行っている。
<!-- App.razorファイル -->
<!-- Blazor向けのルーティング設定を行うコンポーネント -->
@using PhotinoSample.Shared <!-- SharedディレクトリにMainLayout.razorファイルがあるものとする -->
<Router AppAssembly="@typeof(App).Assembly">
<Found Context="routeData">
<RouteView RouteData="@routeData" DefaultLayout="@typeof(MainLayout)" />
<FocusOnNavigate RouteData="@routeData" Selector="body" />
</Found>
<NotFound>
<PageTitle>Not found</PageTitle>
<LayoutView Layout="@typeof(MainLayout)">
<p role="alert">Sorry, there's nothing at this address.</p>
</LayoutView>
</NotFound>
</Router>
- <Router>タグ
- Blazorアプリケーションのルーティングを制御する主要なコンポーネントである。
- AppAssembly属性は、ルーティング情報を含むアセンブリを指定する。
- 上記の例は、Appクラスを含むアセンブリ
- <Found>タグ
- ルートが見つかった場合の処理を定義する。
- <RouteView>タグ
- 実際のページコンテンツを表示する。
- 上記の例において、DefaultLayout属性は、MainLayoutをデフォルトレイアウトとして指定している。
- <FocusOnNavigate>タグ
- ナビゲーション後にフォーカスを設定する機能を提供する。
- <NotFound>タグ
- URLが見つからない場合 (404エラー) において、表示内容を定義する。
- <PageTitle>タグは、ページタイトルを設定する。一般的には、エラーメッセージを表示する。
また、上記の例において、@using PhotinoSample.SharedはBlazorのusingディレクティブのシンタックスであり、PhotinoSample.Shared名前空間をインポートする宣言である。
- @
- BlazorのRazor構文であることを示すシンボルである。
- using
- C#のusingステートメントと同じ働きをする。
- PhotinoSample.Shared
- インポートする名前空間
- 上記の例では、この名前空間には、MainLayout.razorファイル等の共有コンポーネントが含まれている。
- Sharedフォルダ / 名前空間には、アプリケーション全体で共有されるコンポーネントやレイアウトが配置されるのが一般的である。
この宣言により、PhotinoSample.Sharedに含まれるコンポーネントを完全修飾名 (PhotinoSample.Shared.MainLayout等) を使用せずに直接参照できる。
<!-- 例: -->
<!-- @using宣言がない場合 -->
@typeof(PhotinoSample.Shared.MainLayout)
<!-- @using宣言がある場合 -->
@typeof(MainLayout) // より簡潔に記述できる