Avalonia UI - ダイアログ
概要
Avalonia UIは、クロスプラットフォームのUI開発フレームワークであり、C#を使用してデスクトップアプリケーションを構築できる。
このフレームワークでは、ダイアログは重要なUIコンポーネントの一つとして位置付けられている。
ダイアログは、ユーザに情報を表示する、または、入力を求めるための一時的なウインドウである。
主に、警告メッセージの表示、確認の要求、データ入力の促進等に使用される。
Avalonia UIでは、標準的なダイアログとカスタムダイアログの両方を実装することができる。
標準的なダイアログには、メッセージボックス、ファイル選択ダイアログ、ディレクトリ選択ダイアログ等が含まれる。
これらは、Avalonia.Dialogsネームスペースに含まれるクラスを使用して簡単に実装することができる。
カスタムダイアログを作成する場合、通常はWindowクラスを継承して、必要なコンテンツやボタンを追加する。
MVVMパターンに従って実装することにより、ビジネスロジックとUIを分離して、保守性の高いコードを記述することができる。
ダイアログの表示方法には同期的なものと非同期的なものがある。
同期的な方法では、ダイアログが閉じられるまでコードの実行がブロックされる。
一方、非同期的な方法では、ダイアログを表示しながら他の処理を続行できる。
Avalonia UIでは、ダイアログのスタイリングも柔軟に行うことができる。
XAMLを使用してダイアログの外観をカスタマイズして、アプリケーション全体のデザインに合わせることが可能である。
ダイアログの結果の処理において、ユーザの選択や入力に基づいて、適切なアクションを実行するようにコードを設計する必要がある。
ファイル選択タイアログ
OpenFileDialogのプロパティ
下表に、ファイル選択ダイアログのプロパティのうち、設定を意識する必要がある主なプロパティを示す。
プロパティ名 | データ型 | 意味 |
---|---|---|
AllowMultiple | bool | 複数ファイルの選択を許可するかどうかを指定する。 許可する場合はtrue、単一のファイルのみの場合はfalseを指定する。(既定値 : false) |
Directory | string | ダイアログが開かれる初期ディレクトリを指定する。 |
Filters | List<FileDialogFilter> | ダイアログに表示されるファイルタイプを制限する。 |
InitialFileName | string | ダイアログに表示される初期ファイル名を指定する。 |
Title | string | ファイル選択ダイアログのウインドウタイトルを指定する。 |
WinFormsにあるような以下に示すプロパティは存在しない。
そのため、Avalonia UIでの代替方法を以下に示す。
- AddExtension (拡張子が入力されない場合、自動的に拡張子を付けるかどうか)
- Avalonia UIでは、この機能は自動的に処理される。
- Filtersプロパティで指定された拡張子が使用される。
- CheckFileExistsプロパティ / CheckPathExistsプロパティ
- Avalonia UIでは、これらの検証はファイル選択後に手動で行う必要がある。
- FileNameプロパティ / FileNamesプロパティ (選択したファイルパスを取得)
- Avalonia UIでは、OpenFileDialogクラスの
ShowAsync
メソッドの戻り値を使用する。
- Avalonia UIでは、OpenFileDialogクラスの
- FilterIndexプロパティ (ファイルの種類のプルダウンの選択肢リストの初期選択インデックスを指定)
- Avalonia UIでは、Filtersプロパティを使用してファイルタイプを制御する。
- 特定のフィルタを選択する場合は、
Filters
リストの順序を調整する。
- Multiselectプロパティ (複数のファイルを選択できるかどうかを指定)
- Avalonia UIでは、
AllowMultiple
プロパティを使用する。 dialog.AllowMultiple = true; // 複数ファイルの選択を許可
- Avalonia UIでは、
- ReadOnlyCheckedプロパティ (読み取り専用として開くチェックボックスのON/OFFを設定または取得)
- ShowReadOnlyプロパティ (読み取り専用として開くチェックボックスを表示するかどうかを設定)
- Avalonia UIでは、これらの機能は直接サポートされていない。
- 必要に応じてカスタムダイアログを実装する、あるいは、ファイル選択後に読み取り専用の状態を確認・設定するロジックを実装する必要がある。
- SafeFileNameプロパティ (選択した拡張子を含むファイル名のみ(パスは含まない)を取得)
- SafeFileNamesプロパティ (選択した複数の拡張子を含むファイル名のみ(パスは含まない)を取得)
- Avalonia UIでは、これらの概念は直接サポートされていない。
- 必要に応じて、選択されたファイルパスから安全なファイル名を抽出するロジックを実装する必要がある。
- ShowHelpプロパティ (ヘルプボタン[?]を表示するかどうかを指定)
- Avalonia UIのファイルダイアログでは、ヘルプ機能は標準では提供されていない。
- 必要に応じて、別途ヘルプ機能を実装する必要がある。
Filtersプロパティ (ファイルの種類) の設定
ダイアログで開くことができるファイルの種類は、Filters
プロパティにフィルタ文字列を設定する。
フィルタ文字列の設定を以下に示す。
- FileDialogFilterクラスの使用
- 各フィルタはFileDialogFilterオブジェクトとして定義される。
- Nameプロパティ
- ユーザに表示されるフィルタの名前。
- Extensionsプロパティ
- 拡張子のリストであり、ワイルドカード (*) を含めずに指定する。
- 複数の拡張子
- 1つのフィルタに複数の拡張子を含めることができる。
- 全てのファイル
- 全てのファイルを表す場合は、拡張子として
"*"
を使用する。
- 全てのファイルを表す場合は、拡張子として
- フィルタの順序
- リストに追加した順序でユーザに表示される。
WinFormsとの主な違いを、以下に示す。
- Avalonia UIでは、拡張子にワイルドカード (*) を含めずに、単に拡張子名のみを指定する。
- 複数の拡張子やファイルタイプを1つのフィルタにまとめる場合、
Extensions
リストに全ての拡張子を追加する。 - フィルタ間の区切り (
|
) は使用せず、代わりに別のFileDialogFilter
オブジェクトを作成する。
using Avalonia.Controls;
using System.Collections.Generic;
public class FileDialogExample
{
public void ShowFileDialog()
{
var dialog = new OpenFileDialog();
// Filtersプロパティの設定方法 1
// List<FileDialogFilter>の使用
dialog.Filters = new List<FileDialogFilter>
{
new FileDialogFilter { Name = "すべてのファイル", Extensions = new List<string> { "*" } },
new FileDialogFilter { Name = "テキストファイル", Extensions = new List<string> { "txt" } },
new FileDialogFilter { Name = "テキストファイルとすべてのファイル", Extensions = new List<string> { "txt", "*" } },
new FileDialogFilter { Name = "XMLファイル", Extensions = new List<string> { "xml" } },
new FileDialogFilter { Name = "HTMLファイル", Extensions = new List<string> { "html", "htm" } },
new FileDialogFilter { Name = "XMLファイルとHTMLファイルとすべてのファイル", Extensions = new List<string> { "xml", "html", "htm", "*" } },
new FileDialogFilter { Name = "イメージファイル", Extensions = new List<string> { "png", "jpg", "gif", "bmp" } }
};
// Filtersプロパティの設定方法 2
// FiltersのAddメソッドの使用
dialog.Filters.Add(new FileDialogFilter { Name = "すべてのファイル", Extensions = { "*" } });
dialog.Filters.Add(new FileDialogFilter { Name = "テキストファイル", Extensions = { "txt" } });
dialog.Filters.Add(new FileDialogFilter { Name = "テキストファイルとすべてのファイル", Extensions = new List<string> { "txt", "*" } });
dialog.Filters.Add(new FileDialogFilter { Name = "XMLファイル", Extensions = { "xml" } });
dialog.Filters.Add(new FileDialogFilter { Name = "HTMLファイル", Extensions = new List<string> { "html", "htm" } });
dialog.Filters.Add(new FileDialogFilter { Name = "XMLファイルとHTMLファイルとすべてのファイル", Extensions = new List<string> { "xml", "html", "htm", "*" } });
dialog.Filters.Add(new FileDialogFilter { Name = "イメージファイル", Extensions = new List<string> { "png", "jpg", "gif", "bmp" } });
// ファイル選択ダイアログを表示
var result = await dialog.ShowAsync(this);
if (result != null)
{
foreach (var path in result)
{
System.Console.WriteLine($"Selected file: {path}");
}
}
}
}
使用例
ダイアログを表示する場合は、OpenFileDialogクラスのShowAsyncメソッドを実行する。
ShowAsyncメソッドは、非同期で動作してTask<string[]>型を返す。
これにより、UIがブロックされることなくファイル選択操作を行うことができる。
ShowAsyncメソッドの戻り値がnull
ではないこと、および、配列の長さが0より大きいことを常に確認することが重要である。
これにより、ユーザがファイルを選択せずにダイアログを閉じた場合や操作をキャンセルした場合にも適切に対応することができる。
using Avalonia.Controls;
using System.Collections.Generic;
var dialog = new OpenFileDialog();
dialog.Filters.Add(new FileDialogFilter() { Name = "テキストファイル", Extensions = { "txt" } });
dialog.AllowMultiple = false;
dialog.Directory = Environment.GetFolderPath(Environment.SpecialFolder.MyDocuments);
dialog.Title = "テキストファイルを選択してください";
var result = await dialog.ShowAsync(this);
if (result != null && result.Length > 0)
{
string selectedFilePath = result[0]; // 単一ファイルの場合
string[] selectedFilePaths = result; // 複数ファイルの場合
// 選択されたファイルを処理
// ...略
}
ファイル保存タイアログ
SaveFileDialogのプロパティ
Filtersプロパティ (ファイルの種類) の設定
ダイアログで開くことができるファイルの種類は、Filters
プロパティにフィルタ文字列を設定する。
フィルタ文字列の設定を以下に示す。
- FileDialogFilterクラスの使用
- 各フィルタはFileDialogFilterオブジェクトとして定義される。
- Nameプロパティ
- ユーザに表示されるフィルタの名前。
- Extensionsプロパティ
- 拡張子のリストであり、ワイルドカード (*) を含めずに指定する。
- 複数の拡張子
- 1つのフィルタに複数の拡張子を含めることができる。
- 全てのファイル
- 全てのファイルを表す場合は、拡張子として
"*"
を使用する。
- 全てのファイルを表す場合は、拡張子として
- フィルタの順序
- リストに追加した順序でユーザに表示される。
WinFormsとの主な違いを、以下に示す。
- Avalonia UIでは、拡張子にワイルドカード (*) を含めずに、単に拡張子名のみを指定する。
- 複数の拡張子やファイルタイプを1つのフィルタにまとめる場合、
Extensions
リストに全ての拡張子を追加する。 - フィルタ間の区切り (
|
) は使用せず、代わりに別のFileDialogFilter
オブジェクトを作成する。
using Avalonia.Controls;
using System.Collections.Generic;
public class FileDialogExample
{
public void ShowFileDialog()
{
var dialog = new SaveFileDialog();
// Filtersプロパティの設定方法 1
// List<FileDialogFilter>の使用
dialog.Filters = new List<FileDialogFilter>
{
new FileDialogFilter { Name = "すべてのファイル", Extensions = new List<string> { "*" } },
new FileDialogFilter { Name = "テキストファイル", Extensions = new List<string> { "txt" } },
new FileDialogFilter { Name = "テキストファイルとすべてのファイル", Extensions = new List<string> { "txt", "*" } },
new FileDialogFilter { Name = "XMLファイル", Extensions = new List<string> { "xml" } },
new FileDialogFilter { Name = "HTMLファイル", Extensions = new List<string> { "html", "htm" } },
new FileDialogFilter { Name = "XMLファイルとHTMLファイルとすべてのファイル", Extensions = new List<string> { "xml", "html", "htm", "*" } },
new FileDialogFilter { Name = "イメージファイル", Extensions = new List<string> { "png", "jpg", "gif", "bmp" } }
};
// Filtersプロパティの設定方法 2
// FiltersのAddメソッドの使用
dialog.Filters.Add(new FileDialogFilter { Name = "すべてのファイル", Extensions = { "*" } });
dialog.Filters.Add(new FileDialogFilter { Name = "テキストファイル", Extensions = { "txt" } });
dialog.Filters.Add(new FileDialogFilter { Name = "テキストファイルとすべてのファイル", Extensions = new List<string> { "txt", "*" } });
dialog.Filters.Add(new FileDialogFilter { Name = "XMLファイル", Extensions = { "xml" } });
dialog.Filters.Add(new FileDialogFilter { Name = "HTMLファイル", Extensions = new List<string> { "html", "htm" } });
dialog.Filters.Add(new FileDialogFilter { Name = "XMLファイルとHTMLファイルとすべてのファイル", Extensions = new List<string> { "xml", "html", "htm", "*" } });
dialog.Filters.Add(new FileDialogFilter { Name = "イメージファイル", Extensions = new List<string> { "png", "jpg", "gif", "bmp" } });
// ファイル選択ダイアログを表示
var result = await dialog.ShowAsync(this);
if (result != null)
{
foreach (var path in result)
{
System.Console.WriteLine($"Selected file: {path}");
}
}
}
}
使用例
以下の例では、Avalonia UIを使用してファイル保存ダイアログを実装している。
using Avalonia;
using Avalonia.Controls;
using Avalonia.Interactivity;
using Avalonia.Markup.Xaml;
using System;
using System.IO;
using System.Threading.Tasks;
namespace AvaloniaFileSaveDialog
{
public partial class MainWindow : Window
{
public MainWindow()
{
InitializeComponent();
}
private void InitializeComponent()
{
AvaloniaXamlLoader.Load(this);
}
// 保存ボタンを押下
public async void OnSaveButtonClicked(object sender, RoutedEventArgs e)
{
try
{
string content = "これはファイルの内容です"; // 保存する内容
string savedFilePath = await ShowSaveFileDialogAsync();
if (!string.IsNullOrEmpty(savedFilePath))
{
await SaveFileAsync(savedFilePath, content);
Console.WriteLine("成功", $"ファイルを正常に保存: {savedFilePath}");
}
}
catch (Exception ex)
{
Console.WriteLine("エラー", $"ファイルの保存中にエラーが発生: {ex.Message}");
}
}
// ファイル保存ダイアログを表示して、選択されたファイルパスを返す
private async Task<string> ShowSaveFileDialogAsync()
{
var saveFileDialog = new SaveFileDialog();
// ダイアログのタイトル
saveFileDialog.Title = "ファイルを保存";
// .txtファイルのフィルタを追加
saveFileDialog.Filters.Add(new FileDialogFilter { Name = "テキストファイル", Extensions = { "txt" } });
string result = await saveFileDialog.ShowAsync(this);
return result;
}
// 指定されたパスにファイルを非同期で保存
private async Task SaveFileAsync(string filePath, string content)
{
await File.WriteAllTextAsync(filePath, content);
}
}
}