インストール - クリップボード
概要
クリップボードは、システム上のクリップボードに保存された全ての履歴を保持するユーティリティやツールのことである。
ここでは、様々なクリップボードマネージャとインストール手順を記載する。
CopyQ
CopyQとは
CopyQは強力なクリップボードマネージャであり、データの保存、エントリの編集したり、暗号化等をすることができる。
ここでは、CopyQのインストール方法を記載する。
CopyQのインストール
Windows
CopyQのGithubにアクセスして、Windows向けのEXEファイルをダウンロードする。
ダウンロードしたファイルをダブルクリックしてインストールする。
RHEL / SUSE
- パッケージ管理システムからインストール
- パッケージ管理システムを使用して、以下のコマンドを実行する。
- RHEL
sudo dnf install copyq
- ソースコードからインストール
- CopyQの依存関係のライブラリをインストールするため、以下のコマンドを実行する。
- RHEL
- Qt 5を使用する場合
sudo dnf install cmake extra-cmake-modules gcc-c++ git libXfixes-devel libXtst-devel libSM-devel \
qt5-qtbase-devel qt5-qtdeclarative-devel qt5-qtsvg-devel qt5-qttools-devel qt5-qtwayland-devel qt5-qtx11extras-devel \
libqt5-qtbase-private-headers-devel wayland-devel
- Qt 6を使用する場合
sudo dnf install cmake extra-cmake-modules gcc-c++ \
libSM-devel libXfixes-devel libXtst-devel \
kf6-knotifications-devel kf6-kstatusnotifieritem-devel \
qt6-qtbase-devel qt6-qtbase-private-devel qt6-qtdeclarative-devel qt6-qtsvg-devel \
qt6-qttools-devel qt6-qtwayland-devel wayland-devel
- SUSE
- Qt 5を使用する場合
sudo zypper install cmake extra-cmake-modules gcc-c++ git libXfixes-devel libXtst-devel libSM-devel knotifications-devel \
libqt5-qtbase-devel libqt5-qtdeclarative-devel libqt5-qtsvg-devel libqt5-qttools-devel libqt5-qtwayland-devel libqt5-qtx11extras-devel \
libqt5-qtwayland-devel wayland-devel wayland-protocols-devel \
libQt5Core-private-headers-devel libQt5DBus-private-headers-devel libQt5Gui-private-headers-devel
- Qt 6を使用する場合
sudo zypper install cmake extra-cmake-modules gcc-c++ git libXfixes-devel libXtst-devel libSM-devel knotifications-devel \
qt6-base-devel qt6-declarative-devel qt6-svg-devel qt6-tools-devel qt6-wayland-devel \
qt6-core-devel qt6-core-private-devel qt6-gui-devel qt6-gui-private-devel qt6-dbus-devel qt6-dbus-private-devel \
libqt5-qtwayland-devel wayland-devel wayland-protocols-devel
- CopyQのGithubにアクセスして、CopyQのソースコードをダウンロードする。
- または、
git clone
コマンドを実行して、CopyQのソースコードをダウンロードする。 git clone https://github.com/hluk/CopyQ.git
cd CopyQ && mkdir build && cd build
- Qtの公式WebサイトからQtをインストールしている場合、環境変数にQtライブラリのパスを追加する必要がある。
export PATH="/<Qtのインストールディレクトリ>/<Qtのバージョン>/gcc_64/bin:$PATH"
export LD_LIBRARY_PATH="/<Qtのインストールディレクトリ>/<Qtのバージョン>/gcc_64/bin:$LD_LIBRARY_PATH"
export PKG_CONFIG_PATH="$PKG_CONFIG_PATH:$(pkg-config --variable pc_path pkg-config)"
export PKG_CONFIG_PATH="/<Qtのインストールディレクトリ>/<Qtのバージョン>/gcc_64/lib/pkgconfig:$PKG_CONFIG_PATH"
- CopyQをビルドおよびインストールする。
cmake .. -DCMAKE_BUILD_TYPE=Release \
-DCMAKE_INSTALL_PREFIX=<CopyQのインストールディレクトリ> \
-DCMAKE_C_COMPILER=<gcc実行ファイルのパス> \ # GCCコンパイラを指定する場合
-DCMAKE_CXX_COMPILER=<g++実行ファイルのパス> \ # GCCコンパイラを指定する場合
-DWITH_QT6=ON \ # Qt 6を使用する場合
..
make -j $(nproc)
make install
- RPMファイルからインストール (SUSEのみ)
- CopyQのGithubにアクセスして、SUSE向けのrpmファイルをダウンロードする。
- ダウンロードしたファイルにおいて、以下のコマンドを実行してインストールする。
sudo zypper install ./copyq_<バージョン>_openSUSE_.*.rpm
- CopyQのGithubにアクセスして、SUSE向けのrpmファイルをダウンロードする。
次に、/<CopyQのインストールディレクトリ>/binディレクトリに、CopyQの起動用のシェルスクリプト(ラッパー)を作成する。
vi /<CopyQのインストールディレクトリ>/bin/copyq.sh
# /<CopyQのインストールディレクトリ>/bin/copyq.shファイル
#!/usr/bin/env sh
appname="copyq"
# use -f to make the readlink path absolute
dirname="$(dirname -- "$(readlink -f -- "${0}")" )"
if [ "$dirname" = "." ]; then
dirname="$PWD/$dirname"
fi
cd $dirname
# Initialize interpreter path
export LD_LIBRARY_PATH="${dirname}/../lib:$LD_LIBRARY_PATH"
#export LD_LIBRARY_PATH="/<Qtのインストールディレクトリ>/<Qtのバージョン>/gcc_64/lib:$LD_LIBRARY_PATH"
# Run CopyQ binary
"$dirname/$appname" "$@"
CopyQのデスクトップエントリファイルを作成する。
vi ~/.local/share/applications/com.github.hluk.copyq.desktop
# ~/.local/share/applications/com.github.hluk.copyq.desktop [Desktop Entry] Name=CopyQ GenericName=Clipboard Manager Comment=A cut & paste history utility Exec=/<CopyQのインストールディレクトリ>/bin/copyq.sh --start-server show Icon=copyq # Workaround / fix for issue #1526 that prevents a proper autostart of the tray icon in GNOME X-GNOME-Autostart-Delay=3 # The rest is taken from Klipper application. Type=Application GenericName[ja]=クリップボードツール Comment[ja]=カット&ペースト履歴ユーティリティ Categories=Qt;KDE;Utility; Terminal=false X-KDE-autostart-after=panel X-KDE-StartupNotify=false X-KDE-UniqueApplet=true
CopyQの自動起動ファイルを作成する。
vi ~/.config/autostart/copyq.desktop
# ~/.config/autostart/copyq.desktopファイル [Desktop Entry] Type=Application Name=CopyQ (User Build) GenericName=Clipboard Manager Comment=A cut & paste history utility Path= TryExec=/<CopyQのインストールディレクトリ>/bin/copyq.sh Exec=QT_SCREEN_SCALE_FACTORS=1 /<CopyQのインストールディレクトリ>/bin/copyq.sh --start-server Icon=copyq Categories=Qt;KDE;Office;WordProcessor; MimeType= StartupNotify=false Terminal=false TerminalOptions= X-DBUS-ServiceName= X-DBUS-StartupType= X-GNOME-Autostart-Delay=3 X-KDE-StartupNotify=false X-KDE-SubstituteUID=false X-KDE-UniqueApplet=true X-KDE-Username= X-KDE-autostart-after=panel
SELinuxの設定
SELinuxを使用している場合、CopyQ向けにセキュリティの設定を行う必要がある。
まず、ポリシーファイルを作成する。
sudo ausearch -c 'copyq' --raw | audit2allow -M <ポリシー名 例: CopyQ> 例: sudo ausearch -c 'copyq' --raw | audit2allow -M my-copyq
次に、SELinuxにCopyQ向けのポリシーパッケージファイルをインストールする。
sudo semodule -X 300 -i <ポリシーパッケージファイル名 例: CopyQ.pp> 例: sudo semodule -X 300 -i my-copyq.pp
自動起動の設定
CopyQを使用する前に、自動起動エントリを設定しておくことを推奨する。
スタートアップエントリを設定することは、クリップボードのデータを常に監視して保存するためには重要である。
CopyQの起動エントリを設定するには様々な方法があるが、ここではターミナルに焦点を当てて記載する。
まず、デスクトップエントリディレクトリに移動する。
cd /usr/local/share/applications
自動起動エントリのディレクトリを作成して、CopyQのデスクトップエントリファイルをそのディレクトリにコピーする。
cp com.github.hluk.copyq.desktop ~/.config/autostart/
デスクトップエントリファイルのパーミッションを変更する。
chmod u+x ~/.config/autostart/com.github.hluk.copyq.desktop
CopyQの操作方法
- コピー
- CopyQには多くの機能があるが、主となるのはクリップボードマネージャである。
- 使用するには、任意のテキストを選択してコピーすると、自動的にCopyQのエントリーとして保存される。
- クリップボードに移動
- CopyQの古いエントリーをクリップボードに移動する場合は、古いエントリーを選択して[クリップボードに移動]アイコンを押下する。
- エントリの暗号化
- CopyQに保存した機密情報は、暗号化機能を使用すべきである。
- 暗号化するには、エントリーを選択して[ロック]アイコンを押下する。そうすると、GnuPGが起動して自動的にデータが暗号化される。
- ※注意
- 暗号化機能は、GnuPGが必須である。
- エントリの作成
- CopyQの機能には、クリップボードを使用せずにクリップボードの新規項目を作成する機能がある。
- この機能の使い方は、[新規項目]アイコンを押下して、そこからテキストを書き込み、[保存]アイコンを押下する。
- すると、CopyQが保存したデータの一覧に、新しいクリップボードエントリが追加される。
GPaste
GPasteとは
GNOMEベースの優れたクリップボードマネージャであるが、様々なデスクトップ環境でも動作する。
GPasteは、以下のような機能を持っている。
- GNOMEシェルとの統合
- クリップボードの履歴管理
- クイックアクセスのショートカット
- 画像のコピー
- GTK+3 GUI
GPasteのインストール
- パッケージ管理システムからインストール
- 以下のコマンドを実行して、GPasteをインストールする。
sudo zypper install gpaste gpaste-lang libgpaste11 typelib-1_0-GPaste-1_0 gnome-shell-extension-gpaste
- ソースコードからインストール
- GPasteのソースコードをダウンロードする。
git clone https://github.com/Keruspe/GPaste.git GPaste
cd GPaste
- GPasteのソースコードをビルドしてインストールする。
./autogen.sh
mkdir build && cd build
../configure --sysconfdir=/home/<ユーザ名>/.GPaste --prefix=/home/<ユーザ名>/InstallSoftware/GPaste
make -j $(nproc)
make install
sudo glib-compile-schemas /usr/share/glib-2.0/schemas/
- GPasteのアップデート (ソースコードからインストールしている場合のみ)
- GPasteをアップグレードした場合は、新しい機能を有効化するために、以下のコマンドを実行する。
gpaste-client dr aka gpaste-client daemon-reexec
- 次に、以下のコマンドを実行して、デーモンが正常に動作していることを確認する。
gpaste-client daemon-version
- GPasteのソースコードをダウンロードする。
Parcellite
Parcelliteとは
Parcelliteは、Linux向けのGTK+2の基本的な機能を備えたクリップボードマネージャである。
Parcelliteのインストール
Parcelliteの依存関係のライブラリをインストールする。
# RHEL sudo dnf install gtk3 # SUSE sudo zypper install gtk3
SourceForgeからソースコードをダウンロードする。
ダウンロードしたファイルを解凍する。
tar zxvf parcellite-<バージョン名>.tar.gz cd parcellite-<バージョン名>
Parcelliteのソースコードをコンパイルしてインストールする。
./configure --prefix=/home/<ユーザ名>/InstallSoftware/Parcellite make -j 8 make install
Diodon
Diodonのインストール
Diodonのビルドに必要な依存関係のライブラリをインストールする。
sudo zypper install vala libayatana-appindicator3-devel libpeas-devel zeitgeist-devel xvfb-run wayland-protocols-devel
DiodonのGithunからソースコードをダウンロードする。
git clone https://github.com/diodon-dev/diodon.git cd diodon
Diodonをビルドおよびインストールする。
/<Python3のインストールディレクトリ>/bin/meson -Dprefix=<Diodonのインストールディレクトリ> builddir cd builddir
アプリケーションインジケータ用のパッケージを提供していないディストリビューションでは、
builddir作成コマンドを調整することにより、インジケータのビルドを無効化することができる。
/<Python3のインストールディレクトリ>/bin/meson -Dprefix=<Diodonのインストールディレクトリ> builddir -Ddisable-indicator-plugin=true cd builddir
ninja ninja test sudo ninja install
Diodonをアンインストールする場合は、上記のソースコードディレクトリ内において、以下のコマンドを実行する。
sudo ninja uninstall
Diodonのプラグイン
Diodonプラグインを作成する場合は、こちらの記事を参照すること。
下表に、Diodon向けの便利なプラグインを示す。
プラグイン | 説明 |
---|---|
Features | Diodonメニューの追加機能 |
Numbers | クリップボードのメニュー項目数を表示する。 |
Pop Item | アクティブなクリップボード項目を貼り付けてから削除する。 |
Paste All | 最近のアイテムを一度に貼り付ける。 |
Edit | アクティブなアイテムを編集するように促す。 |
Glipper
Glipperとは
Glipperは、GNOME向けのクリップボードマネージャであり、プラグインを使用して機能を拡張することができる。
クリップボードマネージャの基本的な機能のほとんどを持っている。
Glipperのインストール
Glipperの依存関係のライブラリをインストールする。
- Python 2.4以降
- pygtk-2.6以降(モジュール名 : gtk、gtk.gdk、gobject)
- python-keybinder(モジュール名 : keybinder)
- python-distutils-extra(モジュール名 : DistUtilsExtra)
- python-appindicator(モジュール名 : appindicator)
- python-xdg(モジュール名 : xdg.BaseDirectory)
- オプション : python-prctl(モジュール名 : prctl)
- オプション : python-crypto
# RHEL sudo dnf install python2 python3 pygtk python-keybinder python-distutils-extra python-appindicator python-xdg python-prctl python-crypto # SUSE sudo zypper install python2 python3 pygtk python-keybinder python-distutils-extra python-appindicator python-xdg python-prctl python-crypto
Glipperの公式Webサイトからソースコードをダウンロードする。
ダウンロードしたファイルを解凍する。
tar zxvf glipper-<バージョン名>.tar.gz
Glipperのソースコードを実行してインストールする。
sudo python setup.py install
Clipit
Clipitとは
GTK+の軽量で機能が豊富なクリップボードマネージャである。
Clipitは、Parcelliteからフォークされている。
Clipitのインストール
Clipitのビルドに必要な依存関係のライブラリをインストールする。
sudo zypper install gtk2-devel gtk3-devel xdotool-devel intltool automake autoconf autopoint
ClipitのGithubから、ソースコードをダウンロードする。
git clone https://github.com/CristianHenzel/ClipIt.git
Clipitのソースコードをビルドおよびインストールする。
./autogen.sh ./configure --with-gtk3 --prefix=/home/<ユーザ名>/InstallSoftware/Clipit make -j $(nproc) make install