概要
OpenClawは、Peter Steinbergerによって開発されたオープンソースの自律型AIエージェントである。
ローカルPC上で実行され、WhatsApp、Telegram、Slack、Discord、Signal、iMessage、Microsoft Teams等の複数のメッセージングプラットフォームを通じてアクセスできる。
OpenClawの最大の特徴は、全ての設定、メモリ、インタラクション履歴をプレーンテキストのMarkdownファイルとして標準フォルダに保存することである。
プロプライエタリなデータベースや暗号化されたブロブを使用しないため、設定内容を人間が直接読み書きできる。
下表に、OpenClawの主な特徴を示す。
| 特徴 | 説明 |
|---|---|
| 自律操作の重視 | ユーザが直接操作することなく、自動的にタスクを実行する。 |
| ローカルファースト | 全てのデータがローカル環境に保存される。 |
| マルチチャネル統合 | WhatsApp、Telegram、Slack、Discord、Signal、iMessage、Microsoft Teams等の 複数プラットフォームを単一エージェントから統合する。 |
| プレーンテキスト管理 | Markdownファイルを使用した設定管理により、可読性と可搬性を確保する。 |
| 拡張性 | Skillsという仕組みで機能を拡張できる。 スキルレジストリ (ClawHub) には、10,700以上のスキルが登録されている。 |
- 公式サイト
- GitHub
- ドキュメント
ワークスペース構造
OpenClawのワークスペースは、デフォルトで ~/.openclaw/workspace/ に配置される。
このディレクトリ以下に、エージェントの動作を制御する各種Markdownファイルと、日次ログおよびスキル定義が格納される。
ワークスペースのディレクトリ構成
ワークスペースのディレクトリ構成を以下に示す。
~/.openclaw/workspace/
├── AGENTS.md # エージェント動作指令
├── SOUL.md # パーソナリティと境界
├── IDENTITY.md # エージェント識別情報
├── USER.md # ユーザ情報
├── TOOLS.md # ツール利用規則
├── HEARTBEAT.md # 定期タスク
├── BOOTSTRAP.md # 初回セットアップ (初回のみ)
├── BOOT.md # 起動手順 (オプション)
├── SHIELD.md # セキュリティポリシー (新規)
├── WORKING.md # マルチエージェント共有タスク
├── MEMORY.md # 永続メモリ
├── memory/ # 日次ログディレクトリ
│ ├── 2026-02-24.md
│ └── 2026-02-23.md
└── skills/ # ワークスペース固有スキル
└── [スキル名]/
└── SKILL.md
設定・認証情報のディレクトリ構成
ワークスペース外の設定・認証情報のディレクトリ構成を以下に示す。
~/.openclaw/ ├── openclaw.json # メイン設定ファイル (JSON5形式) ├── credentials/ # 認証情報 (git未追跡) ├── agents/ # マルチエージェント用 │ └── <agentId>/ │ ├── workspace/ # エージェント固有ワークスペース │ └── sessions/ # セッション履歴 ├── sessions/ # セッションファイル └── skills/ # 共有スキル
設定ファイルの一覧
OpenClawのワークスペースには、エージェントの動作を制御する12種類の設定ファイルが存在する。
各ファイルは独立した役割を持ち、組み合わせることでエージェントの動作全体を定義する。
| ファイル | 役割 | 詳細ページ |
|---|---|---|
| AGENTS.md | エージェントの動作構造、参照すべきファイル、ワークスペースの運用ルールを定義する。 | OpenClawの設定 - AGENTS.md |
| SOUL.md | エージェントの性格・境界線 (パーソナリティやスコープ) を定義する。 | OpenClawの設定 - SOUL.md |
| IDENTITY.md | エージェントの名前・役割・スコープを定義する。 | OpenClawの設定 - IDENTITY.md |
| USER.md | ユーザに関する情報を記録する。 | OpenClawの設定 - USER.md |
| MEMORY.md | セッション間で記憶すべき永続的な事実・決定事項を保持する。 | OpenClawの設定 - メモリとタスク管理 |
| HEARTBEAT.md | 定期タスク、リマインダー、cronジョブの指示を記述する。 | OpenClawの設定 - メモリとタスク管理 |
| WORKING.md | マルチエージェント間の共有タスクリストを管理する。 | OpenClawの設定 - メモリとタスク管理 |
| TOOLS.md | 利用可能なツールの一覧と使用ルールを定義する。 | OpenClawの設定 - ツールとスキル |
| SKILL.md | エージェントの能力を拡張するスキルを定義する。 | OpenClawの設定 - ツールとスキル |
| BOOT.md | 起動時の初期化手順を記述する。(オプション) | OpenClawの設定 - 初期化とセキュリティ |
| BOOTSTRAP.md | 初回セットアップ・オンボーディング手順を記述する。(初回のみ) | OpenClawの設定 - 初期化とセキュリティ |
| SHIELD.md | セキュリティポリシーを定義する。(コミュニティ提案の新規格) | OpenClawの設定 - 初期化とセキュリティ |
設定ファイルの読込順序
OpenClawは起動時に、ワークスペース内の設定ファイルを以下の順序で読み込む。
起動時の読込順序
通常起動時に読み込まれるファイルの順序を以下に示す。
- SOUL.md
- 最初に読み込まれ、エージェントのパーソナリティと境界線を確立する
- IDENTITY.md
- エージェントの名前・役割・スコープを設定する。
- AGENTS.md
- 動作構造とワークスペースの運用ルールを読み込む。
- USER.md
- ユーザ情報を読み込む。
- MEMORY.md
- 永続メモリから過去の事実・決定事項を復元する。
- TOOLS.md
- 利用可能なツールと使用ルールを設定する。
- HEARTBEAT.md
- 定期タスクとリマインダーを設定する。
条件付きで読み込まれるファイル
以下のファイルは、特定の条件下でのみ読み込まれる。
- BOOTSTRAP.md
- 初回起動時のみ読み込まれる。
- オンボーディング手順や初回セットアップの指示を記述する。
- BOOT.md
- オプションファイルであり、存在する場合のみ読み込まれる。
- 起動時の追加初期化手順を記述できる。
容量制限 (bootstrapMaxChars)
起動時に読み込まれるファイルの合計容量には制限が設けられている。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 制限値 | 15[KB] (15,000文字) |
| 対象ファイル | AGENTS.md SOUL.md USER.md MEMORY.md IDENTITY.md HEARTBEAT.md TOOLS.md の合計 |
| 超過時の挙動 | 制限を超えた場合、古いメモリや優先度の低い情報が自動的にトリムされる。 |
この制限により、コンテキストウィンドウの効率的な利用が確保される。
各ファイルに記述する内容は簡潔にまとめ、詳細情報は日次ログ (memory/ ディレクトリ) に分散させることが推奨される。
他のエージェント設定規格との比較
OpenClawの設定ファイル体系を、Claude Codeの CLAUDE.md および Cursorの .cursorrules と比較する。
| 項目 | OpenClaw | Claude Code | Cursor |
|---|---|---|---|
| 設計対象 | 自律生活エージェント | 開発者パートナー | コードエディタAI |
| 主な用途 | メール、カレンダー、自動化 | コード作成・テスト | コード補完・生成 |
| 設定ファイル | AGENTS.md、SOUL.md 等 (12種類) | CLAUDE.md (1ファイル) | .cursorrules (1ファイル) |
| メモリ継続性 | 長期永続 (MEMORY.md) | セッション毎に CLAUDE.md 読込 | セッション毎 |
| 記憶機構 | 永続メモリ (weeks / months単位) | セッションごとリセット | セッションごとリセット |
| マルチチャネル | WhatsApp等複数対応 | ターミナル / IDE限定 | IDE限定 |
| 外部統合 | Gmail、GitHub、Slack等 | ターミナルコマンド | エディタ内 |
| スキルシステム | あり (ClawHub 10,700以上) | あり (SKILL.md) | なし |
設計思想の違い
各規格の設計思想の違いを以下に示す。
- OpenClaw
- 自律的な生活支援を目的として設計されており、長期的なメモリと複数チャネルの統合が最大の特徴である。
- エージェントのパーソナリティ (SOUL.md) やセキュリティポリシー (SHIELD.md) まで専用ファイルで管理する点が他の規格と大きく異なる。
- Claude Code (CLAUDE.md)
- 開発者がコード作業を行う時のパートナーとして設計されている。
- 単一ファイルで設定を完結させるシンプルな設計であり、プロジェクトリポジトリへのチェックインが容易である。
- Cursor (.cursorrules)
- コードエディタ内でのAI補完を目的として設計されており、エディタの操作に特化した設定が可能である。
- 設定は1ファイルに集約され、IDE内での利用に最適化されている。