概要
Myrlyn (旧称YQPkg) は、Linux向けのグラフィカルパッケージ管理ツールである。
YaST (Yet another Setup Tool) の機能を引き継ぎつつ、現代的なQt 6ベースのUIを採用しており、ソフトウェアパッケージのインストール、更新、削除をユーザフレンドリーな方法で管理できる。
openSUSEおよびSLE (SUSE Linux Enterprise) 環境での使用を想定しており、libzyppパッケージ管理ライブラリをバックエンドとして利用する。
Myrlynは、YaST由来の機能に加えて、Updatesビュー、Zypp履歴ブラウザ、非rootユーザ向けの読み取り専用モード等の独自機能を提供する。
技術仕様
Myrlynの技術的な構成を、以下に示す。
- バックエンド
- libzypp (SUSEのパッケージ管理ライブラリ)
- GUIフレームワーク
- Qt 6
- 実装言語
- C++ (98.2%)
- ライセンス
- GPL-2.0 (オープンソース)
- 開発状況
- 本番環境対応、日常使用に適した段階
主な機能
YaST由来の機能
Myrlynは、YaSTから引き継いだ以下の機能を提供する。
- リポジトリの自動更新
- 起動時に自動的にリポジトリ情報を更新する。
- 複合検索機能
- パッケージ名、説明、ファイルリストを対象とした検索が可能。
- 詳細情報表示
- 依存関係の可視化、複数バージョン対応。
- パターンおよびパッチのインストール管理
- パッケージの集合体 (パターン) やセキュリティパッチの管理が可能。
- パッケージロック機能
- 禁止または保護状態の設定が可能。
独自機能
Myrlynは、YaSTにはない以下の独自機能を提供する。
- Updatesビュー
- 更新可能なパッケージを一覧表示する。
- 非rootユーザ向けの読み取り専用モード
- 管理者権限を持たないユーザでも、パッケージ情報の閲覧が可能。
- 詳細な進捗表示ビュー
- インストールや更新の進行状況を視覚的に確認できる。
- Zypp履歴ブラウザ
- パッケージ操作の履歴を階層的にフィルタリング可能 (年月日ナビゲーション、正規表現ワイルドカード対応)
パッケージロック機能
Myrlynは、パッケージに対して2つの保護状態を設定できる。
- Taboo状態
- パッケージを永遠にインストール対象から除外する。(アンインストール後も再インストール防止)
- Protected状態
- 現在のバージョンを維持し続ける。(更新を防止)
Myrlynのインストール
前提条件
Myrlyn 1.0では、GCC 11以降、Qt 6.5以降が必須となる。
パッケージ管理システムからインストール
SUSE 15.6では、標準リポジトリからMyrlynをインストールできる。
sudo zypper install myrlyn
ソースコードからインストール
Myrlynのビルドに必要な依存関係のライブラリをインストールする。
sudo zypper install -t pattern devel_C_C++ sudo zypper install make cmake libzypp-devel qt6-core-devel qt6-gui-devel qt6-widgets-devel
MyrlynのGithubにアクセスして、ソースコードをダウンロードする。
ダウンロードしたファイルを解凍する。
tar xf myrlyn-<バージョン>.tar.gz cd myrlyn-<バージョン>
Myrlynをビルドおよびインストールする。
mkdir build && cd build
cmake -DCMAKE_INSTALL_PREFIX=<Myrlynのインストールディレクトリ> \
-DCMAKE_BUILD_TYPE=Release \
-DCMAKE_C_COMPILER=<GCC 11以降のGCC> \
-DCMAKE_CXX_COMPILER=<G++ 11以降のG++> \
..
make -j $(nproc)
make install
Myrlynの使用
実行方法
Myrlynは、以下に示す方法で実行できる。
ビルドディレクトリから実行
ビルドディレクトリから直接実行する場合、以下のコマンドを実行する。
./src/myrlyn
インストール後の実行
インストール後は、以下のコマンドで実行できる。
myrlyn
非rootユーザでの実行
非rootユーザーは、読み取り専用モードで実行できる。
この場合、パッケージ情報の閲覧は可能だが、変更操作は実行できない。
myrlyn
rootユーザでの実行
rootユーザまたはsudoコマンドを使用して実行する場合、全ての機能が利用可能となる。
sudo myrlyn
Updatesビューの使用
Updatesビューでは、更新可能なパッケージを一覧表示できる。
起動後、Updatesタブを選択すると、更新可能なパッケージが表示される。
更新したいパッケージを選択して、Applyボタンをクリックすると、更新が実行される。
Zypp履歴ブラウザの使用
Zypp履歴ブラウザでは、パッケージ操作の履歴を確認できる。
履歴は、年月日で階層的にフィルタリング可能であり、正規表現ワイルドカードにも対応している。
履歴ブラウザを開くには、メニューから[History]を選択する。
パッケージロック機能の使用
パッケージロック機能を使用すると、パッケージを保護できる。
Taboo状態の設定
パッケージを右クリックして、[Taboo]を選択すると、パッケージが永遠にインストール対象から除外される。
アンインストール後も再インストールが防止される。
Protected状態の設定
パッケージを右クリックして、[Protected]を選択すると、現在のバージョンが維持され続ける。
更新が防止される。
注意事項
Myrlynを使用する際の注意事項を、以下に示す。
- 非rootユーザは、読み取り専用モードで実行可能。
- 変更操作は実行できない。
- Zypp履歴ブラウザのフィルタリング機能は、正規表現ワイルドカードに対応。
- 高度な検索条件を指定できる。