概要
パッケージ管理システムでインストールされるGitは、バージョンが古いことが多い。
パッケージ一覧を返すコマンド(yum list installedまたはrpm -qa)を使用して、
文字列検索するgrepコマンドにパイプで渡すことで探したいパッケージ名の一覧を得ることができる。
Gitのバージョンが古くても最低限のことは問題ないが、Git2.8以降では、user.useConfigOnly
という設定が追加され、
これを有効にすることで、ユーザ名やメールアドレスを設定していない時に環境変数を使用して勝手にユーザ情報を参照してしまうことを防ぐことができる。
既存のGitをアンインストール
既にパッケージマネージャーでGitをインストールしている場合は、
以下のコマンドを入力してアンインストールする。
# CentOS 7 sudo yum remove git # SUSE sudo zypper remove git*
依存関係のライブラリのインストール
まず、以下コマンドを実行し、Gitの依存ライブラリをインストールする。
# CentOS 7 sudo yum install gcc make curl-devel expat-devel gettext-devel openssl-devel zlib-devel perl-ExtUtils-MakeMaker # SUSE sudo zypper install gcc make gettext-tools libcurl-devel libexpat-devel libopenssl-devel zlib-devel perl-ExtUtils-MakeMaker
なお、ドキュメントをdoc、html、info形式等で出力する場合は、以下の依存ライブラリも必要になる。
CentOSでは、EPELリポジトリを有効にする。(docbook2Xパッケージをダウンロードするのに必要)
# CentOS sudo yum install asciidoc xmlto docbook2X # SUSE sudo zypper install asciidoc xmlto docbook2X
さらに、CentOSを使用している場合は、以下のコマンドを実行する。(バイナリ名が異なるために生じる問題を解消するため)
sudo ln -s /usr/bin/db2x_docbook2texi /usr/bin/docbook2x-texi
GetTextを手動でインストールする場合、以下に示すようにインストールする。
- まず、GetTextの公式Webサイトから、GetTextをダウンロードする。
- 次に、GetTextを解凍して、GetTextディレクトリ直下にbuildディレクトリを作成する。
mkdir build
- GetTextをビルドおよびインストールするため、以下のコマンドを実行する。
../configure --prefix=/home/<ユーザ名>/InstallSoftware/GetText
make -j $(nproc)
make install
- .profileファイルまたは.bashrcファイル等に、以下の環境変数を追記する。
export PATH="$HOME/InstallSoftware/GetText/bin:$PATH"
export LD_LIBRARY_PATH="$HOME/InstallSoftware/GetText/lib64:$LD_LIBRARY_PATH"
- Texliveのインストール
- Texliveをパッケージ管理システムを使用してインストールする場合は膨大な時間が掛かるため、手動でインストールすることを推奨する。
- Texliveの公式Webサイトにアクセスして、Texliveのインストーラをダウンロードする。
- または、
wget
コマンドを実行して、Texliveのインストーラをダウンロードする。 wget https://mirror.ctan.org/systems/texlive/tlnet/install-tl-unx.tar.gz
- ダウンロードしたファイルを解凍する。
tar xf install-tl-unx.tar.gz
cd "install-tl-*"
- Texliveのインストーラを起動して、インストールするコンポーネント選択する。
./install-tl -gui
- インストール後、.profileファイル等に以下の環境変数を追記する。
export PATH="/<Texliveのインストールディレクトリ>/bin/x86_64-linux:$PATH"
export MANPATH="/<Texliveのインストールディレクトリ>/texmf-dist/doc/man:$MANPATH"
export INFOPATH="/<Texliveのインストールディレクトリ>/texmf-dist/doc/info:$INFOPATH"
- AsciiDocのインストール
- AsciiDocのGihubにアクセスして、ソースコードをダウンロードする。
- ダウンロードしたファイルを解凍する。
tar xf asciidoc-<バージョン>.tar.gz
cd asciidoc-<バージョン>
- AsciiDocをビルドおよびインストールする。
autoreconf -i
./configure --prefix=<AsciiDocのインストールディレクトリ>
sudo make DESTDIR=<AsciiDocのインストールディレクトリ> install
- .profileファイル等に以下の環境変数を追記する。
export PATH="/<AsciiDocのインストールディレクトリ>/bin:$PATH"
export PYTHONPATH="/<AsciiDocのインストールディレクトリ>/lib/python<バージョン>/site-packages:$PYTHONPATH"
- XMLtoのインストール
- XMLtoの公式Webサイトにアクセスして、ソースコードをダウンロードする。
- ダウンロードしたファイルを解凍する。
tar xf xmlto-<バージョン>.tar.gz
cd xmlto-<バージョン>
- XMLtoをビルドおよびインストールする。
mkdir build && cd build
../configure --prefix=<XMLtoのインストールディレクトリ>
make -j $(nproc)
make install
- .profileファイル等に以下の環境変数を追記する。
export PATH="/<XMLtoのインストールディレクトリ>/bin:$PATH"
- DocBook2xのインストール
- DocBook2xの公式Webサイトにアクセスして、ソースコードをダウンロードする。
- ダウンロードしたファイルを解凍する。
tar xf docbook2X-<バージョン>.tar.gz
cd docbook2X-<バージョン>
- DocBook2xをビルドおよびインストールする。
mkdir build && cd build
../configure --prefix=<DocBook2xのインストールディレクトリ>
make -j $(nproc)
make install
- DocBook2xの実行ファイルのシンボリックリンクを生成する。
cd /<DocBook2xのインストールディレクトリ>/bin
ln -s docbook2texi docbook2x-texi
- .profileファイル等に以下の環境変数を追記する。
export PATH="/<DocBook2xのインストールディレクトリ>/bin:$PATH"
Gitのインストール
以下のGitHubのWebサイトにアクセスして、Gitのソースコードをダウンロードする。
または、wget
コマンドでGitのソースコードをダウンロードする。
wget https://github.com/git/git/archive/<バージョン>.tar.gz
ダウンロードしたファイルを解凍して、解凍したディレクトリに移動する。
Gitをビルドおよびインストールする。
tar xf git-<バージョン>.tar.gz cd git-<バージョン> make configure mkdir build && cd build ../configure prefix=<Gitのインストールディレクトリ> --with-python --with-perl --with-libpcre2 make -j $(nproc) all make install
~/.profileファイル等に、環境変数を追記する。
# ~/.profileファイル export PATH="/<Gitのインストールディレクトリ>/bin:$PATH"
確認
以下のコマンドを入力して、インストールしたGitのバージョンを確認する。
git –-version
Gitのアップデート
Gitのリポジトリをクローンすることにより、最新のGitにアップデートすることができる。
cd <Gitのソースコードが存在するディレクトリ> git pull make -j $(nproc) all prefix=<Gitのインストールディレクトリ> make install prefix=<Gitのインストールディレクトリ>
上記の手順よりも、パッケージ管理システムからGitをインストールして、ソースコードからビルドして最新版へアップデートする方が簡単である。
ただし、パッケージ管理システムからGitをインストールしなければならないこと、および、ビルドに必要な依存関係のライブラリのインストールは必要となる。
備考
gitコマンドが使用できない場合
インストール後、バージョン確認で"そのようなファイルやディレクトリはありません"と表示された場合の対応について記載する。
git --version # 結果 -bash: /usr/bin/git: そのようなファイルやディレクトリはありません
以下のコマンドを実行して、パスが通っているか確認する。
which git # 例 (gitのディレクトリが、/usr/local/bin/gitになっている場合) /usr/local/bin/git
/usr/local/binディレクトリにインストールした場合は、以下のようにシンボリックリンクを設定する。
sudo ln -s /usr/local/bin/git /usr/bin/git
パスが通っているか確認する。
git --version
Gitで秘密鍵を指定してリモートリポジトリを操作する
Githubやbitbucketを併用している場合は、~/.ssh/configにドメイン毎にどの鍵を使用するか指定するのが一般的である。
しかし、Githubをマルチアカウントで運用するような場合は、ドメインが同じなのでこの方法はできない。
そこで、リモートリポジトリを操作する時にどの鍵を使用するか任意で指定できる方法を記載する。
Gitのバージョンを確認
この方法は、Git 2.3以降から使用できるので、インストールされているGitのバージョンを確認する。
git --version
リモートリポジトリ操作時に鍵を指定する
リモートリポジトリを操作する時に鍵を任意で指定するコマンドは、GIT_SSH_COMMANDという環境変数を使用する。
GIT_SSH_COMMAND='ssh -i 秘密鍵のパス' gitコマンド
例えば、git cloneの場合は以下となる。
GIT_SSH_COMMAND='ssh -i ~/.ssh/id_rsa_01' git clone リモートリポジトリ
また、git pushの場合は以下となる。
GIT_SSH_COMMAND='ssh -i ~/.ssh/id_rsa_01' git push origin master