概要
Linuxでは、WAVファイルやMP3ファイル等のオーディオファイルを再生するためのさまざまなコマンドラインツールやアプリケーションが多く存在する。
それぞれのツールやアプリケーションには特徴があり、用途や環境に応じて選択することができる。
コマンドラインツールは、軽量でシンプルな再生が可能であり、特にコンソール環境やスクリプトによる制御が必要な場合に便利である。
一方、GUIアプリケーションは、視覚的にわかりやすく、様々な追加機能を持つため、日常的な音楽再生や管理に適している。
ニーズや使用環境に応じて、これらのツールやアプリケーションを選択して利用することができる。
代表的なコマンドラインツールを以下に示す。
- mpg123
- 軽量で高性能なコマンドラインMP3プレイヤーである。
- MP3ファイルだけでなく、WAVや他のオーディオ形式も再生可能である。
- コンソール環境での使用に最適である。
- mpg321
- mpg123のオープンソースの代替ツールであり、MP3再生が主な機能である。
- mpg123よりも軽量である。
- ffplay
- FFmpegプロジェクトの一部で、非常に多くのメディア形式を再生可能である。
- ビデオやオーディオの両方を再生可能であるが、コンソール環境では一部機能が制限される。
- mplayer
- 多くのオーディオおよびビデオ形式をサポートするマルチメディアプレイヤーである。
- 高度な設定やスクリプト対応が可能であるが、やや重い。
- cvlc
- VLCメディアプレイヤーのコマンドラインインターフェースであり、VLCの多機能性を利用可能である。
- 非常に多くの形式をサポートしており、ストリーミングや変換などの機能も提供している。
- aplay
- ALSA (Advanced Linux Sound Architecture) 用のコマンドラインユーティリティである。
- 主にWAVファイルなどの再生に使用する。
- シンプルであるが、システム依存の音声出力となる。
- sox (playコマンド)
- SoX (Sound eXchange) の一部であり、音声ファイルの処理と再生が可能である。
- 多機能なオーディオファイル処理ツールである。
- 多くの形式に対応している。
代表的なグラフィカルユーザーインターフェース (GUI) アプリケーションを以下に示す。
- VLCメディアプレイヤー
- 非常に多くのオーディオおよびビデオ形式をサポートするクロスプラットフォームメディアプレイヤーである。
- ストリーミング、変換、字幕対応等、多機能である。
- Rhythmbox
- GNOMEデスクトップ環境用の音楽プレイヤーであり、プレイリスト管理、インターネットラジオ、ポッドキャスト等に対応している。
- Clementine
- Amarokの古いバージョンを基にしたクロスプラットフォーム音楽プレイヤーである。
- プレイリスト管理、インターネットラジオ、ストリーミングサービス等に対応している。
WAVファイルの再生
コンソール向け
ffplayコマンド等は、一般的に、グラフィカルな環境で使用することを前提としており、オーディオおよびビデオの再生に関するビジュアルフィードバックを提供するために、
ウインドウサーバ (例: X11やWayland) を利用する。
しかし、ログインシェル (例: SSH接続やグラフィカルインターフェースのない端末) で使用すると、ディスプレイに関するエラーが発生する。
そのため、コンソール上で音楽ファイルを再生する場合は、ビジュアルフィードバックを必要としないコンソールベースのオーディオプレイヤーを使用する必要がある。
以下に示すツールは、グラフィカルなインターフェースが不要であり、シンプルにオーディオを再生することに適している。
- aplayコマンドを使用する方法
- aplayコマンドは、ALSA (Advanced Linux Sound Architecture) のコマンドラインユーティリティであり、WAVファイル等のオーディオファイルを再生することができる。
- aplayコマンドは、ALSAパッケージの一部として提供されており、多くのLinuxディストリビューションでは標準でインストールされている。
- もし、インストールされていない場合は、ALSAのユーティリティパッケージをインストールする。
- RHEL
sudo dnf install
- SUSE
sudo zypper install alsa alsa-utils
- Raspberry Pi OS / Mobian
sudo apt install alsa-utils
- aplayコマンドを実行して、WAVファイルを再生する。
aplay <WAVファイル名>.wav
- mpg123コマンドを使用する方法
- mpg123は、シンプルで軽量なMP3プレイヤーである。
- mpg123もWAVファイルをサポートしており、WAVファイルを再生することができる。
- まず、mpg123をインストールする。
- RHEL
sudo dnf install mpg123
- SUSE
sudo zypper install mpg123
- Raspberry Pi OS / Mobian
sudo apt install mpg123
- mpg123コマンドを実行して、WAVファイルを再生する。
mpg123 <WAVファイル名>.wav
グラフィカルインターフェース向け
- ffplayコマンドを使用する方法
- ffplayコマンドはFFmpegの一部であり、簡単なメディアプレイヤーとしても機能する。
- 非常に多くのオーディオおよびビデオ形式をサポートしており、WAVファイルもそのサポート対象に含まれている。
- FFmpegがインストールされていれば、ffplayコマンドも同時にインストールされる。
- まず、FFmpegをインストールする。
- RHEL
sudo dnf install ffmpeg
- SUSE
sudo zypper install ffmpeg-4
- Raspberry Pi OS / Mobian
sudo apt install ffmpeg
- ffplayコマンドを実行して、WAVファイルを再生する。
ffplay <WAVファイル名>.wav
MP3ファイルの再生
コンソール向け
- mpg123コマンドを使用する方法
- mpg123は、シンプルで軽量なMP3プレイヤーである。
- まず、mpg123をインストールする。
- RHEL
sudo dnf install mpg123
- SUSE
sudo zypper install mpg123
- Raspberry Pi OS / Mobian
sudo apt install mpg123
- mpg123コマンドを実行して、MP3ファイルを再生する。
mpg123 <MP3ファイル名>.mp3
グラフィカルインターフェース向け
- mplayerを使用する方法
- mplayerは、MP3だけでなく、様々なオーディオおよびビデオ形式をサポートするマルチメディアプレイヤーである。
- まず、mplayerをインストールする。
- RHEL
sudo dnf install mplayer
- SUSE
sudo zypper install mplayer
- Raspberry Pi OS / Mobian
sudo apt install mplayer
- mplayerコマンドを実行して、MP3ファイルを再生する。
mplayer <MP3ファイル名>.mp3
- ffplayを使用する方法
- ffplayコマンドはFFmpegの一部であり、簡単なメディアプレイヤーとしても機能する。
- FFmpegがインストールされていれば、ffplayコマンドも同時にインストールされる。
- まず、mplayerをインストールする。
- RHEL
sudo dnf install ffmpeg
- SUSE
sudo zypper install ffmpeg-4
- Raspberry Pi OS / Mobian
sudo apt install ffmpeg
- ffplayコマンドを実行して、MP3ファイルを再生する。
ffplay <MP3ファイル名>.mp3