インストール - Code Composer Studio
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概要
Code Composer Studio(以降、CCSという)はTexas Instruments社(以降、TI社という)が提供しているIDE(統合開発環境)である。
オープンソースの統合開発環境であるEclipseをベースに作成しているため、Eclipseを使用したことのあるユーザにはユーザーインタフェースがほぼ一緒なので違和感なく使用できる。
また、CCSにはこれ以外にも大きな特長がある。
- CCSの特長1 : 無償
- CCS 7以降で全機能を無償で使用できるようになった。
- IDEが有償だと製品検討時の実験的な導入ですら手を出しづらいが、CCSは無償なので評価ボードとJTAGエミュレータを用意するだけで試すことができる。
- MSP430等であれば、JTAGエミュレータ機能を搭載した評価ボードが低価格で用意されているので、製品導入の検討目的だけでなく、電子工作でも手を出しやすい環境が整っている。
- CCSの特長2 : TI社のマイコン、プロセッサー製品ほぼ全てに対応
- CCSはTI社のマイコン、プロセッサ製品のほぼ全てに対応している。(※あまりにも古い製品など、対応していない製品も一部ある)
- 製品毎に異なるIDEだと、その都度インストールの手間が掛かり、ディスク容量も消費してしまう。また、UIも変わってしまうので慣れるのに時間が掛かってしまう。
- 一方、CCSは製品が変わっても基本的な使い方は同じである。例えば、MSP430の開発に慣れた人がC2000の開発をしても、IDEの使い方を1から習得し直す手間は掛からない。
- CCSの特長3 : アップデートの頻度が高い
- 無償になっても比較的高い頻度でアップデートされている。
ライブラリのインストール
CCSの実行に必要な依存関係のライブラリをインストールする。
パッケージ管理システムからインストール
- SUSEの場合
- libncurses5とlibusb-0_1-4のインストールを行う。
- libncurses5は、テキストユーザインタフェースを作成するためのAPIを提供するライブラリである。
- libusbは、USBライブラリである。
# SLES / openSUSE sudo zypper install libncurses5 libusb-0_1-4 libpython2_7-1_0 gconf2
ソースコードからインストール
SLEDの場合、libncurses5およびlibusb-0_1-4はパッケージ管理システムから提供されていないため、ビルドしてインストールする必要がある。
- libusb-0_1-4のインストール
- libusb-0_1-4のGithubからソースコードをダウンロードする。
git clone https://github.com/libusb/libusb-compat-0.1.git
cd libusb-compat-0.1
- configureスクリプトを作成する。
autoreconf -i
- ビルドディレクトリを作成する。
mkdir build && cd build
- libusb-0_1-4をビルドおよびインストールする。
- # 64bit版
../configure --prefix=<libusb-0_1-4のインストールディレクトリ>
make -j $(nproc)
make install
- # 32bit版
export LIBUSB_1_0_SONAME="/usr/lib/libusb-1.0.so.0"; \
CC="gcc -m32" CXX="g++ -m32" ../configure --prefix=<libusb-0_1-4のインストールディレクトリ>
make -j $(nproc)
make install
- ~/.profileファイル等に、以下の環境変数を追記する。
export PATH="/<libusb-0_1-4のインストールディレクトリ>/bin:$PATH"
export LD_LIBRARY_PATH="/<libusb-0_1-4のインストールディレクトリ>/lib64:/<libusb-0_1-4のインストールディレクトリ>/lib:$LD_LIBRARY_PATH"
export PKG_CONFIG_PATH="$PKG_CONFIG_PATH:$(pkg-config --variable pc_path pkg-config)"
export PKG_CONFIG_PATH="/<libusb-0_1-4のインストールディレクトリ>/lib64/pkgconfig:/<libusb-0_1-4のインストールディレクトリ>/lib/pkgconfig:$PKG_CONFIG_PATH"
- libusb-0_1-4のGithubからソースコードをダウンロードする。
- libncurses5のインストール
- libncurses5の公式Webサイトにアクセスして、libncurses5のソースコードをダウンロードする。
または、wget
コマンドを実行して、libncurses5のソースコードをダウンロードする。 - ダウンロードしたファイルを解凍する。
tar ncurses-5.x.tar.gz
cd ncurses-5.x
- ビルドディレクトリを作成する。
mkdir build && cd build
- libncurses5をビルドおよびインストールする。
(1)から順に(4)までビルドおよびインストールする。- (1) 32bit版 ワイド文字対応
../configure \
CC="/<GCC6.5以前のインストールディレクトリ>/bin/gcc -m32" \
CXX="/<GCC6.5以前のインストールディレクトリ>/bin/g++ -m32" \
--with-shared --with-normal --with-ticlib --with-debug --enable-widec --enable-pc-files \
--without-progs --without-tests --without-manpages \
--program-suffix="w" \
--prefix=<libncurses5のインストールディレクトリ> \
CPPFLAGS="-P"
make -j $(nproc)
make install.libs
- (2) 32bit版
../configure \
CC="/<GCC6.5以前のインストールディレクトリ>/bin/gcc -m32" \
CXX="/<GCC6.5以前のインストールディレクトリ>/bin/g++ -m32" \
--with-shared --with-normal --with-ticlib --with-debug --with-termlib --enable-pc-files \
--without-progs --without-tests --without-manpages \
--prefix=<libncurses5のインストールディレクトリ> \
CPPFLAGS="-P"
make -j $(nproc)
make install.libs install.includes install.ncurses install.panel install.menu install.form
- 次に、不要なインストールファイルを削除する。
rm -rf /<libncurses5のインストールディレクトリ>/bin \
/<libncurses5のインストールディレクトリ>/include \
/<libncurses5のインストールディレクトリ>/share32
- (3) 64bit版 ワイド文字対応
../configure \
CC="/<GCC6.5以前のインストールディレクトリ>/bin/gcc" \
CXX="/<GCC6.5以前のインストールディレクトリ>/bin/g++" \
--with-shared --with-normal --with-debug --enable-widec \
--prefix=<libncurses5のインストールディレクトリ> \
CPPFLAGS="-P"
make -j $(nproc)
make install
- (4) 64bit版
../configure \
CC="/<GCC6.5以前のインストールディレクトリ>/bin/gcc" \
CXX="/<GCC6.5以前のインストールディレクトリ>/bin/g++" \
--with-shared --with-normal --with-debug \
--prefix=<libncurses5のインストールディレクトリ> \
CPPFLAGS="-P"
make -j $(nproc)
make install
- ~/.profileファイル等に、以下の環境変数を追記する。
export PATH="/<libncurses5のインストールディレクトリ>/bin:$PATH"
export LD_LIBRARY_PATH="/<libncurses5のインストールディレクトリ>/lib64:/<libncurses5のインストールディレクトリ>/lib:$LD_LIBRARY_PATH"
export PKG_CONFIG_PATH="$PKG_CONFIG_PATH:$(pkg-config --variable pc_path pkg-config)"
export PKG_CONFIG_PATH="/<llibncurses5のインストールディレクトリ>/lib64/pkgconfig:$PKG_CONFIG_PATH"
- libncurses5の公式Webサイトにアクセスして、libncurses5のソースコードをダウンロードする。
CCSのインストール
- インストーラのダウンロード
- まず、CCSのインストーラをこちらのWebサイトからダウンロードする。
- Windowsの場合はWindows 64bitをダウンロード、Linuxの場合はLinux 64bitをダウンロードする。
- アンチウイルスソフトの無効化
- インストーラを実行する前に、使用しているPCのアンチウイルスソフトを一時的に無効化する。
- 無効化する理由は、アンチウイルスソフトがCCSのインストール処理に悪影響を与える恐れがあるためである。インストールが完了したら有効に戻す。
- インストーラの実行
- 上記でダウンロードしたファイルを解凍して、以下のファイルを実行する。
- Windowsの場合 : ccs_setup_xxx.exeファイルを実行する。
- Linuxの場合 : ccs_setupファイルを実行する。
- 実行するとインストール開始直前の初期チェックが行われる。
- CCSのインストール
- [License Agreement]画面では、[I accept ...]ボタンにチェックを入力して[Next]ボタンを押下する。
- [Choose Installation Location]画面では、CCSをインストールするフォルダを選択することができる。[Next]ボタンを押下する。
- [Processor Support]画面では、MSP430を始めとするTI製品のコンパイラ等を選択してインストールすることができる。
- 使用する製品にチェックを入力する。もし迷う場合は全てにチェックしても構わない。[Next]ボタンを押下する。
- [Select Debug Probes]画面では、サードパーティ製のJTAGエミュレータをインストールするかどうかを選択することができる。
- もし迷う場合は、全てにチェックを入力する。[Finish]ボタンを押下する。
- [Finish]ボタンを押下するとインストールが始まる。
- Windowsの場合、インストール中にセキュリティに関するウインドウが表示されることがある。
- (インストール時にチェックした項目によっては表示されないこともある)
- (もし、[Windowsセキュリティの重要な警告]画面が表示された時は、[アクセスを許可する]ボタンを押下する)
- ([Windowsセキュリティ]画面が表示された時は、[インストール]ボタンを押下する)
- Code Composer Studioのインストールの完了
- インストール完了後、[Launch ...]ボタンにチェックを入力したまま[Finish]ボタンを押下すると、CCSが起動する。
- Linuxの場合は、/<Code Composer Studioのインストールディレクトリ>/ccs/install_scriptsディレクトリに移動して、専用デバイスドライバをインストールする必要がある。
sudo ./install_drivers.sh
注意事項
CCS 9.2.0および9.3.0にはバグがあり、スーパーユーザ権限でインストールした場合、一般ユーザとして実行すると、
プロジェクトでターゲットを構成したり、特定のデバイスファミリ(C2000、Hercules)を使用して新しいターゲット構成ファイルを作成しようとすると、次のエラーで失敗する。
# ターゲット構成ファイルの作成: インクルードまたはインスタンスxmlファイルの解析に問題があります。 /opt/ti/ccs930/ccs/ccs_base/common/targetdb/../Modules/C2000/C2000_FPU32_Registers.xml(そのようなファイルまたはディレクトリはありません)
# 新しいプロジェクトでの接続の構成: ファイルの解析エラー: (0, 0)での致命的なエラー : 例外が発生しました!type : RuntimeException, メッセージ : プライマリドキュメントエンティティを開けませんでした。 Id=/opt/ti/ccs930/ccs/ccs_base/common/targetdb/../Modules/C2000/C2000_FPU32_Registers.xml
# ファイルの解析中: /opt/ti/ccs930/ccs/ccs_base/common/targetdb/../Modules/C2000/C2000_FPU32_Registers.xml
これは、インストールツリー内のいくつかのサポートファイルの権限が不適切に設定されているために起きる。
これを修正するには、CCSのインストールディレクトリにあるccsディレクトリ下の全てのディレクトリとファイルに対して、全てのユーザの読み込み権限と実行権限を付加する。
cd /opt/ti/ccs930/ccs sudo chmod -R go+rX *