「Tauriの基礎 - 開発環境」の版間の差分
ページの作成:「== 概要 == Tauriは、RustとWeb技術を組み合わせてデスクトップアプリケーションを構築するための軽量なフレームワークである。<br> <br> ElectronやNW.jsのような既存のデスクトップアプリケーション開発フレームワークと比較して、Tauriは大幅に小さいバイナリサイズと優れたパフォーマンスを実現している。<br> これは、ChromiumやNode.jsをバンドルする代わ…」 |
|||
| 69行目: | 69行目: | ||
srcディレクトリにはReactのフロントエンドコード、src-tauriディレクトリにはRustのバックエンドコードが配置される。<br> | srcディレクトリにはReactのフロントエンドコード、src-tauriディレクトリにはRustのバックエンドコードが配置される。<br> | ||
<br> | <br> | ||
==== index.html : アプリケーションの入口 ==== | |||
index.htmlは、Tauriアプリケーション全体の入り口となるHTMLファイルである。<br> | |||
通常のWebサイトと同様、TauriのWebViewが最初に読み込むページとなる。<br> | |||
<br> | |||
<code>head</code> タグの中には基本的なメタ情報、<code>body</code> タグの中には <code>div</code> タグが1つだけあり、そこにid="root"のような属性が付いている。<br> | |||
この <code>div</code> タグが、Reactアプリケーション全体が描画される場所になる。<br> | |||
<br> | |||
ファイルの最後には <code>script</code> タグがあり、JavaScriptファイル (通常は、src/main.tsxやsrc/main.jsx) を読み込んでいる。<br> | |||
<br> | |||
<u>※重要</u><br> | |||
<u>画面の内容は、全てReactが動的に生成して、このrootのdiv要素の中に挿入していく。</u><br> | |||
<u>これが、シングルページアプリケーション (SPA) と呼ばれる仕組みの基本である。</u><br> | |||
<br> | |||
==== tsconfig.json : TypeScriptのメイン設定 ==== | |||
TypeScriptコンパイラに対して、「どのようにTypeScriptコードをJavaScriptコードに変換すればよいか」を指示する設定ファイルである。<br> | |||
<br> | |||
TypeScriptは、JavaScriptに型の概念を追加した言語で、開発時にはTypeScriptで記述するが、動作させる時にはJavaScriptに変換する必要がある。<br> | |||
この変換ルールがtsconfig.jsonに記述されている。<br> | |||
<br> | |||
例えば、以下に示すような設定が含まれている。<br> | |||
* どのバージョンのJavaScriptに変換するか | |||
* どのディレクトリのファイルをコンパイル対象にするか | |||
* strictモード (厳格な型チェック) を有効にするか | |||
<br> | |||
Reactを使用する場合は、JSXという特殊な構文をどう扱うかという設定も重要である。<br> | |||
JSXは、JavaScript内でHTMLのような記述ができる構文である。<br> | |||
<br> | |||
==== tsconfig.node.json : ビルドツール用のTypeScript設定 ==== | |||
ビルドツール (Vite等) の設定ファイルをTypeScriptで記述する時に使用する設定である。<br> | |||
<br> | |||
tsconfig.json および tsconfig.node.json が2つに分割されている理由として、実行環境が違うからである。<br> | |||
<br> | |||
tsconfig.jsonはWebViewで動作するための設定、tsconfig.node.jsonはNode.js環境で動作する (ビルドやバンドルの処理を行うツール) ための設定である。<br> | |||
WebView環境 と Node.js環境 では、使用できる機能や推奨される設定が異なるため、設定を分離して管理した方が効率的である。<br> | |||
<br> | |||
例えば、vite.config.ts ファイルはNode.js環境で実行される設定ファイルである。<br> | |||
このファイルがTypeScriptで記述されているため、それをコンパイルするための設定がtsconfig.node.jsonに記述されている。<br> | |||
<br> | |||
==== vite.config.ts : Viteの設定ファイル ==== | |||
Viteというビルドツールの設定ファイルである。<br> | |||
Viteは、フロントエンド開発で人気のある開発サーバとビルドツールである。<br> | |||
<br> | |||
このファイルには、以下に示す設定が記述されている。<br> | |||
* 開発サーバをどのポートで起動するか | |||
* どのプラグインを使うか | |||
* ビルド時にどのような最適化を行うか | |||
<br> | |||
Tauri + Reactのプロジェクトでは、Reactを使用するためのプラグインやTauriとViteを連携させるための設定が含まれている。<br> | |||
<br> | |||
Viteでは、開発中にソースコードを変更すると瞬時にアプリケーションに反映される <u>ホットモジュールリプレースメント (HMR)</u> という機能でがある。<br> | |||
これにより、ソースコードを変更するたびに変更した部分だけがリロードされるため、開発効率が大幅に向上する。<br> | |||
<br> | |||
==== src/main.tsx : Reactアプリケーションの起動コード ==== | |||
Reactアプリケーションを実際に起動させるソースコードを記述する。<br> | |||
<br> | |||
ReactDOMライブラリを使用して、Appコンポーネントをindex.htmlのroot要素にマウント (描画) している。<br> | |||
このファイルが実行されることにより、Reactアプリケーションが動作する。<br> | |||
<br> | |||
また、このファイルでは、アプリケーション全体に影響する初期設定やグローバルなスタイルシートのインポートも行われることがある。<br> | |||
アプリケーションが起動する直後に実行したい処理がある場合は、このファイルに記述する。<br> | |||
<br> | |||
==== src/App.tsx : メインのReactコンポーネント ==== | |||
アプリケーションのメインとなるReactコンポーネントである。<br> | |||
コンポーネントはReactにおける部品のようなもので、画面の一部分や機能をまとめたものである。<br> | |||
<br> | |||
Appコンポーネントは、最上位のコンポーネントであり、アプリケーション全体の構造を定義する。<br> | |||
<br> | |||
このファイルでは、function App() のような関数定義があり、その中でJSXを使用して画面の構造が記述されている。<br> | |||
初期状態では、Tauriのロゴや簡単なカウンタのボタン等が含まれている。(動作確認のためのサンプルコード)<br> | |||
<br> | |||
実際の開発では、App.tsxファイルに全てを記述するのではなく、機能ごとに複数のコンポーネントを作成して、それらをApp.tsxで組み合わせる。<br> | |||
例えば、ヘッダコンポーネント、サイドバーコンポーネント、メインコンテンツコンポーネント等を別々に作成して、Appコンポーネントでそれらを配置する。<br> | |||
<br> | |||
==== src/App.css : Appコンポーネントのスタイル ==== | |||
App.tsxコンポーネントの見た目を定義するCSSファイルである。<br> | |||
<br> | |||
App.tsxファイルでは、App.cssをインポートしている。<br> | |||
<br> | |||
Reactでは、コンポーネントごとにスタイルシートを分離して管理することが一般的である。<br> | |||
<u>"このスタイルはどのコンポーネントで使われているのか"</u> が明確になり、保守性が上がる。<br> | |||
<br> | |||
また、TailwindCSSのようなCSSフレームワークを使用する場合は、このファイルの役割が変わることもある。<br> | |||
<br> | |||
==== src/vite-env.d.ts : Viteの型定義ファイル ==== | |||
TypeScriptの型定義ファイルである。<br> | |||
ファイル名の末尾にある「.d.ts」というのは、declaration type scriptの略で、<u>型の宣言のみを記述するファイル</u> という意味である。<br> | |||
<br> | |||
Viteが提供する型定義を参照する指示が記述されている。<br> | |||
これにより、Vite特有の機能、環境変数の読み込み、モジュールのインポート等に使用する時に、TypeScriptのエディタ上で補完および型チェックができる。<br> | |||
<br> | |||
このファイルは、基本的に編集する必要はない。プロジェクト作成時に自動生成され、そのまま使用し続けるものである。<br> | |||
ただし、Vite以外の特殊な型定義を追加する場合は、このファイルを編集することもある。<br> | |||
<br><br> | <br><br> | ||
2025年12月4日 (木) 20:20時点における版
概要
Tauriは、RustとWeb技術を組み合わせてデスクトップアプリケーションを構築するための軽量なフレームワークである。
ElectronやNW.jsのような既存のデスクトップアプリケーション開発フレームワークと比較して、Tauriは大幅に小さいバイナリサイズと優れたパフォーマンスを実現している。
これは、ChromiumやNode.jsをバンドルする代わりに、OSが提供するネイティブのWebViewを利用しているからである。
Tauriのアーキテクチャは、バックエンド (コア機能やシステムAPI) にRustを使用し、フロントエンド (ユーザインターフェース) には任意のWebフレームワークを使用できる柔軟な設計になっている。
React、Vue、Svelte、あるいは純粋なHTML / CSS / JavaScript等、開発者が慣れ親しんだ技術を選択することができる。
Tauriで開発されたアプリケーションは、Windows、MacOS、Linuxの各プラットフォーム向けにビルドできる。
また、モバイルプラットフォーム (iOS、Android) のサポートも進行中である。
バックエンドのRustコードは強力な型システムとメモリ安全性を提供し、フロントエンドのReactは豊富なエコシステムと開発者体験を提供する。
この組み合わせにより、安全で高速、かつ保守性の高いデスクトップアプリケーションを開発できる。
依存関係のパッケージのインストール
Tauriがネイティブアプリケーションをビルドするために必要な依存関係をインストールする。
webkit2gtk3はWebViewを表示するためのエンジン、opensslは暗号化通信、他のライブラリはアプリケーションの各種機能やアイコン表示に使用される。
# SUSE sudo zypper install curl wget file webkit2gtk3-devel openssl-devel libappindicator3-devel librsvg-devel
Node.jsのインストール
Reactを動かすためのJavaScript環境が必要である。
最も推奨される方法は、Node Version Manager (nvm) を使用する方法である。
これを使用すると、異なるプロジェクトで異なるNode.jsのバージョンを簡単に切り替えることができる。
Node.jsのインストールは、インストール - Yarn#NordJS のページを参照すること。
Tauri CLIのインストール
Tauriのコマンドラインツールをインストールする。
これには2つの方法が存在するが、推奨される方法は npm を使用する方法である。
# ローカルにインストールする場合 npm install @tauri-apps/cli # グローバルにインストールする場合 npm install -g @tauri-apps/cli # Rustのパッケージマネージャであるcargoを使用する場合 cargo install tauri-cli
インストールが完了した後、動作確認をする。
npm exec tauri --version
プロジェクトの作成
任意のディレクトリに移動して、以下に示すコマンドを実行する。
npm create tauri-app@latest
- プロジェクト名
- 任意の名前 (例: my-tauri-app)
- パッケージマネージャ
- npm
- UIフレームワーク
- React
- TypeScriptを使用するかどうか
- TypeScriptを推奨する。
プロジェクトのセットアップが完了した後、自動生成されたプロジェクトディレクトリに移動する。
cd <プロジェクト名>
プロジェクト構造
srcディレクトリにはReactのフロントエンドコード、src-tauriディレクトリにはRustのバックエンドコードが配置される。
index.html : アプリケーションの入口
index.htmlは、Tauriアプリケーション全体の入り口となるHTMLファイルである。
通常のWebサイトと同様、TauriのWebViewが最初に読み込むページとなる。
head タグの中には基本的なメタ情報、body タグの中には div タグが1つだけあり、そこにid="root"のような属性が付いている。
この div タグが、Reactアプリケーション全体が描画される場所になる。
ファイルの最後には script タグがあり、JavaScriptファイル (通常は、src/main.tsxやsrc/main.jsx) を読み込んでいる。
※重要
画面の内容は、全てReactが動的に生成して、このrootのdiv要素の中に挿入していく。
これが、シングルページアプリケーション (SPA) と呼ばれる仕組みの基本である。
tsconfig.json : TypeScriptのメイン設定
TypeScriptコンパイラに対して、「どのようにTypeScriptコードをJavaScriptコードに変換すればよいか」を指示する設定ファイルである。
TypeScriptは、JavaScriptに型の概念を追加した言語で、開発時にはTypeScriptで記述するが、動作させる時にはJavaScriptに変換する必要がある。
この変換ルールがtsconfig.jsonに記述されている。
例えば、以下に示すような設定が含まれている。
- どのバージョンのJavaScriptに変換するか
- どのディレクトリのファイルをコンパイル対象にするか
- strictモード (厳格な型チェック) を有効にするか
Reactを使用する場合は、JSXという特殊な構文をどう扱うかという設定も重要である。
JSXは、JavaScript内でHTMLのような記述ができる構文である。
tsconfig.node.json : ビルドツール用のTypeScript設定
ビルドツール (Vite等) の設定ファイルをTypeScriptで記述する時に使用する設定である。
tsconfig.json および tsconfig.node.json が2つに分割されている理由として、実行環境が違うからである。
tsconfig.jsonはWebViewで動作するための設定、tsconfig.node.jsonはNode.js環境で動作する (ビルドやバンドルの処理を行うツール) ための設定である。
WebView環境 と Node.js環境 では、使用できる機能や推奨される設定が異なるため、設定を分離して管理した方が効率的である。
例えば、vite.config.ts ファイルはNode.js環境で実行される設定ファイルである。
このファイルがTypeScriptで記述されているため、それをコンパイルするための設定がtsconfig.node.jsonに記述されている。
vite.config.ts : Viteの設定ファイル
Viteというビルドツールの設定ファイルである。
Viteは、フロントエンド開発で人気のある開発サーバとビルドツールである。
このファイルには、以下に示す設定が記述されている。
- 開発サーバをどのポートで起動するか
- どのプラグインを使うか
- ビルド時にどのような最適化を行うか
Tauri + Reactのプロジェクトでは、Reactを使用するためのプラグインやTauriとViteを連携させるための設定が含まれている。
Viteでは、開発中にソースコードを変更すると瞬時にアプリケーションに反映される ホットモジュールリプレースメント (HMR) という機能でがある。
これにより、ソースコードを変更するたびに変更した部分だけがリロードされるため、開発効率が大幅に向上する。
src/main.tsx : Reactアプリケーションの起動コード
Reactアプリケーションを実際に起動させるソースコードを記述する。
ReactDOMライブラリを使用して、Appコンポーネントをindex.htmlのroot要素にマウント (描画) している。
このファイルが実行されることにより、Reactアプリケーションが動作する。
また、このファイルでは、アプリケーション全体に影響する初期設定やグローバルなスタイルシートのインポートも行われることがある。
アプリケーションが起動する直後に実行したい処理がある場合は、このファイルに記述する。
src/App.tsx : メインのReactコンポーネント
アプリケーションのメインとなるReactコンポーネントである。
コンポーネントはReactにおける部品のようなもので、画面の一部分や機能をまとめたものである。
Appコンポーネントは、最上位のコンポーネントであり、アプリケーション全体の構造を定義する。
このファイルでは、function App() のような関数定義があり、その中でJSXを使用して画面の構造が記述されている。
初期状態では、Tauriのロゴや簡単なカウンタのボタン等が含まれている。(動作確認のためのサンプルコード)
実際の開発では、App.tsxファイルに全てを記述するのではなく、機能ごとに複数のコンポーネントを作成して、それらをApp.tsxで組み合わせる。
例えば、ヘッダコンポーネント、サイドバーコンポーネント、メインコンテンツコンポーネント等を別々に作成して、Appコンポーネントでそれらを配置する。
src/App.css : Appコンポーネントのスタイル
App.tsxコンポーネントの見た目を定義するCSSファイルである。
App.tsxファイルでは、App.cssをインポートしている。
Reactでは、コンポーネントごとにスタイルシートを分離して管理することが一般的である。
"このスタイルはどのコンポーネントで使われているのか" が明確になり、保守性が上がる。
また、TailwindCSSのようなCSSフレームワークを使用する場合は、このファイルの役割が変わることもある。
src/vite-env.d.ts : Viteの型定義ファイル
TypeScriptの型定義ファイルである。
ファイル名の末尾にある「.d.ts」というのは、declaration type scriptの略で、型の宣言のみを記述するファイル という意味である。
Viteが提供する型定義を参照する指示が記述されている。
これにより、Vite特有の機能、環境変数の読み込み、モジュールのインポート等に使用する時に、TypeScriptのエディタ上で補完および型チェックができる。
このファイルは、基本的に編集する必要はない。プロジェクト作成時に自動生成され、そのまま使用し続けるものである。
ただし、Vite以外の特殊な型定義を追加する場合は、このファイルを編集することもある。