「Arduinoの基礎」の版間の差分

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(2人の利用者による、間の16版が非表示)
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変数の初期化や、ピンモードの設定、ライブラリの初期化などを行うのに適している。<br>
変数の初期化や、ピンモードの設定、ライブラリの初期化などを行うのに適している。<br>
loop()関数は、setup()関数が呼ばれた後に繰り返し呼び出される。<br>
loop()関数は、setup()関数が呼ばれた後に繰り返し呼び出される。<br>
<br><br>
== 仕様一覧 ==
==== Arduino UNO R3 ====
下表に、Arduino UNO R3の仕様を示す。<br>
<center>
{| class="wikitable" style="background-color:#fefefe;"
|+ Arduino UNO R3の仕様
|-
! style="background-color:#66CCFF;" | 項目
! style="background-color:#66CCFF;" | 仕様
|-
| マイコン || ATmega 328P
|-
| 動作電圧 || 5[V]
|-
| 入力電圧<br>DCジャック または Vin端子 || 推奨値 : 7~12[V]<br>限界値 : 6~20[V]
|-
| アナログ入力ピン || 6本
|-
| デジタルI/Oピン || 14本
|-
| DC出力電流 I/O || 20[mA] / IOピン(1つのI/Oピン当たり)<br>合計 Max : 100[mA]<br>※注意 : 1ピンあたり40[mA]以上で損傷
|-
| DC出力電流 3.3[V]出力ピン || 50[mA]
|-
| ADC || 10bit
|-
| DAC || 無し
|-
| Flashメモリ || 32[KB]
|-
| SRAM || 2[KB]
|-
| EEPROM || 1[KB]
|-
| クロック || 16[MHz]
|}
</center>
<br>
==== Arduino UNO R4 ====
Arduino UNO R3との主な違いはマイコン、メモリ容量、クロック周波数等である。<br>
また、Arduino UNO R4では、ペリフェラルにDAC機能、Wi-Fi機能、Bluetooth機能が追加されている。<br>
<br>
<center>
{| class="wikitable" | style="background-color:#fefefe;"
! style="background-color:#66CCFF;" | 項目
! style="background-color:#66CCFF;" | 仕様
|-
| マイコン || RA4M1 (Renesas)
|-
| 動作電圧 || 5[V]
|-
| 入力電圧<br>DCジャック または Vin端子 || 推奨値:7~12[V]<br>限界値:6~24[V]
|-
| アナログ入力ピン || 6本
|-
| デジタルI/Oピン || 14本
|-
| DC出力電流 I/O || 8[mA] / IOピン(1つのI/Oピン当たり)<br>合計 Max:100[mA]<br><br><u>※注意</u><br><u>仕様を超える電流で損傷の可能性あり</u>
|-
| DC出力電流 3.3[V]出力ピン || 50[mA]
|-
| ADC || 14bit
|-
| DAC || 12bit
|-
| Wi-Fi || Arduino UNO R4 WiFiのみ
|-
| Bluetooth || Arduino UNO R4 WiFiのみ
|-
| Flashメモリ || 256[KB]
|-
| SRAM || 32[KB]
|-
| データメモリ || 8[KB]
|-
| クロック || 48[MHz]
|}
</center>
<br><br>
== Arduinoの電源供給 ==
Arduinoの電源供給は、USB端子と外部電源の2通りの給電方式がある。<br>
USB端子と外部電源は以下に示す供給能力が推奨される。<br>
<br>
<center>
{| class="wikitable" style="background-color:#fefefe;"
|+ Arduino UNO R3の電源仕様
|-
! style="background-color:#66CCFF;" |
! style="background-color:#66CCFF;" | 電圧[V]
! style="background-color:#66CCFF;" | 電流[A]
|-
| USB電源 || 5[V] || 約0.5〜0.9[A]
|-
| 外部電源(DCジャック) || 7〜12[V]<br>※注意 || 約1[A]
|-
| 外部電源(V<sub>IN</sub>) || 7〜12[V]<br>※注意 || 約1[A]
|}
</center>
<br>
Arduino UNO R4の基本的な電源仕様はR3と同様である。<br>
USB電源は5V、最大900[mA]、外部電源 (DCジャック、VIN) は推奨7〜12[V]、約1[A]までとなる。<br>
<br>
外部電源の電圧は、推奨値7~12[V]、絶対最大定格は6~24[V]を守る必要がある。<br>
<br>
<center>
{| class="wikitable" | style="background-color:#fefefe;"
|+ Arduino UNO R4の電源仕様
! style="background-color:#66CCFF;" | 項目
! style="background-color:#66CCFF;" | 電圧[V]
! style="background-color:#66CCFF;" | 電流[A]
|-
| USB電源 || 5[V] || 約0.5~0.9[A]
|-
| 外部電源(DCジャック) || 7~12[V]<br>※注意 || 約1[A]
|-
| 外部電源(VIN) || 7~12[V]<br>※注意 || 約1[A]
|}
</center>
<br>
<u>※注意</u><br>
<u>Arduinoの開発元では、入力電圧の限界値を6〜20[V] (R4では、6〜24[V]) と表示している。</u><br>
<u>ただし、実装部品が耐圧20[V]以下の部品が実装されている場合があるため、7〜12[V]の推奨値の範囲で使用することを推奨する。</u><br>
<br><br>
<br><br>


15行目: 141行目:
== LEDの点滅(ArduinoのHello World)のサンプルコード ==
== LEDの点滅(ArduinoのHello World)のサンプルコード ==
次に示すのは、LEDを点滅させるサンプルコードである。<br>
次に示すのは、LEDを点滅させるサンプルコードである。<br>
  <source lang="c++">
  <syntaxhighlight lang="c++">
  const int LED_PIN = 13;
  const int LED_PIN = 13;
   
   
30行目: 156行目:
     delay( 1000 );
     delay( 1000 );
  }
  }
  </source>
  </syntaxhighlight>
<br><br>
<br><br>


37行目: 163行目:
Arduino Uno等の動作電圧が5[V]のボードでは、0[V] - 5[V]までの電圧は、0 - 1023までの整数に対応付けられる。<br>
Arduino Uno等の動作電圧が5[V]のボードでは、0[V] - 5[V]までの電圧は、0 - 1023までの整数に対応付けられる。<br>
<br>
<br>
Arduino IDEでは、analogRead()関数を用いることで、指定したアナログピンから値を読むことができる。<br>
Arduino IDEでは、<code>analogRead</code>関数を用いることで、指定したアナログピンから値を読むことができる。<br>
analogRead()関数は読み取った値を0 - 1023までの整数値で返す。<br>
<code>analogRead</code>関数は読み取った値を、0 - 1023までの整数値で返す。<br>
従って、5[V]を1023に対応する場合は、'''"analogRead()関数の戻り値 * 5 / 1023"'''とすれば電圧が分かる。<br>
<br>
<math>\mbox{analogRead 関  数  の  戻  り  値  } = \frac{\mbox{  セ  ン  サ  電  圧  [V]}}{\mbox{  参  照  電  圧  [V]}} \times (2^{N} - 1) \qquad \therefore \mbox{  N  は  、 N  ビ  ッ  ト  の  AD  コ  ン  バ  ー  タ  }</math><br>
<br>
したがって、<code>analogRead</code>関数の戻り値をセンサ電圧に対応する場合は、以下の計算式を使用することにより、センサ電圧が分かる。<br>
<br>
<math>\mbox{  セ  ン  サ  電  圧  [V]} = \frac{\mbox{analogRead 関  数  の  戻  り  値  }}{(2^{N} - 1)} \times \mbox{  参  照  電  圧  [V]} \qquad \therefore \mbox{  N  は 、 N  ビ  ッ  ト  の  AD  コ  ン  バ  ー  タ  }</math><br>
<br>
<br>
尚、デフォルトでanalogRead()の戻り値である0 - 1023が、0[V] - 5[V](Arduino Gemmaのような3.3[V]の動作電圧の場合は0[V] - 3.3[V])<br>
なお、標準では、<code>analogRead</code>関数の戻り値である0 - 1023が、0[V] - 5[V] (Arduino Gemmaのような3.3[V]の動作電圧の場合は0[V] - 3.3[V]) に対応付けられているが、<br>
対応付けられているが、analogReference()関数を用いてこの範囲を変更することは可能だが、設定可能な値はボードに依存する。<br>
<code>analogReference</code>関数を使用してこの範囲を変更することは可能である。<br>
ただし、設定可能な値は、各ボードに依存するため注意が必要である。<br>
<br>
<br>
<center>'''図.1 電圧を測定する回路図'''</center><br>
<center>'''図.1 電圧を測定する回路図'''</center><br>
53行目: 185行目:
[[ファイル:Arduino AnalogRead 02.png|フレームなし|中央]]
[[ファイル:Arduino AnalogRead 02.png|フレームなし|中央]]
<br>
<br>
  <source lang="c++">
  <syntaxhighlight lang="c++">
  const int PIN_ANALOG_INPUT = 5;
  const int PIN_ANALOG_INPUT = 5;
   
   
68行目: 200行目:
     delay(1000);  
     delay(1000);  
  }
  }
  </source>
  </syntaxhighlight>
<br><br>
<br><br>


81行目: 213行目:
また、attachInterruptの引数にはピンの番号ではなく、割込み番号を指定することに注意すること。<br>
また、attachInterruptの引数にはピンの番号ではなく、割込み番号を指定することに注意すること。<br>
ピン番号から割込み番号の解決には、digitalPinToInterruptを使用する。<br>
ピン番号から割込み番号の解決には、digitalPinToInterruptを使用する。<br>
attachInterruptで指定した関数には幾つかの制約があるので、次の点に注意する。<br>
* delay関数は機能しない。
* millis関数の戻り値が増加しない。
* シリアル通信により受信したデータは、失われる可能性がある。
* 割り当てた関数のなかで値が変化する変数にはvolatileをつけて宣言する必要がある。
<br>
<br>
次のサンプルコードでは、toggle_ledという名前のISRを、D2ピンでの割込み処理に指定している。<br>
次のサンプルコードでは、toggle_ledという名前のISRを、D2ピンでの割込み処理に指定している。<br>
86行目: 223行目:
ISRでLEDが接続されたピンの状態を表す変数をLOWまたはHIGHに変化させている。<br>
ISRでLEDが接続されたピンの状態を表す変数をLOWまたはHIGHに変化させている。<br>
そして、loop()関数でその変数をdigitalWrite()関数に渡している。<br>
そして、loop()関数でその変数をdigitalWrite()関数に渡している。<br>
  <source lang="c++">
  <syntaxhighlight lang="c++">
  const byte PIN_LED      = 10;
  const byte PIN_LED      = 10;
  const byte PIN_INTERRUPT = 2;
  const byte PIN_INTERRUPT = 2;
108行目: 245行目:
     state != state;
     state != state;
  }
  }
  </source>
  </syntaxhighlight>
<br><br>
<br><br>


152行目: 289行目:
Arduinoの3番ピンにて2[V]を出力している。<br>
Arduinoの3番ピンにて2[V]を出力している。<br>
<br>
<br>
  <source lang="c++">
  <syntaxhighlight lang="c++">
  const int PIN_PWM = 3;
  const int PIN_PWM = 3;
  const float V_OUT = 2;
  const float V_OUT = 2;
166行目: 303行目:
   
   
  }
  }
  </source>
  </syntaxhighlight>
<br><br>
<br><br>
== ファームウェアの復元 ==
==== Arudino UNO R4 WiFi ====
Arduino UNO R4 WiFiにはUSB-シリアル通信を処理するESP32-S3チップが搭載されている。<br>
このチップのファームウェアは、Arduino IDEまたはArduino Cloudを使用してアップグレードできるが、アップグレード後のファームウェアが正常に動作しない場合がある。<br>
<br>
この時、espflashツールを使用してファームウェアを復元することができる。<br>
<br>
これは、以下に示すような症状が起きている場合に有効である。<br>
* Arudino UNO R4 WiFiが、Arduino IDEまたはArduino Cloudの[ボード情報の取得]を選択すると、汎用のESP32ボード (例: ESP32-S3-Box) として検出される。
*: [[ファイル:Arduino UNO R4 ESP32 Error.png|フレームなし]]
* Arudino UNO R4 WiFiが、Arduino IDEまたはArduino Cloudの[ボード情報の取得]を選択すると、データUSBケーブルでコンピュータに接続されているにもかかわらず、どのボードとしても検出されない。
<br>
# まず、下図のように、Arduino UNO R4 WiFiにある6ピンヘッダのGNDピンとDownloadピンを短絡 (ショート) させる必要がある。<br>
#: [[ファイル:Arduino UNO R4 ESP32 Data Pins.png|フレームなし|中央]]
# Arduino UNO R4 WiFiと不要なUSBデバイスをPCから外す。
# Arduino UNO R4 WiFi上で、USB type Cコネクタの隣にある6ピンヘッダのGNDピンとDownloadピンを探す。
#: <br>
# GNDピンとDownloadピンを短絡させる。<br>これは、2つのピンの間にメス-メス ジャンパワイヤを使用して接続することを推奨する。
# メス-メス ジャンパワイヤが持っていない場合は、先の尖った導電性の物体 (オス-オス ジャンパワイヤの一端等) を使用して、両方のピンに接触するように配置することもできる。
# 短絡させた状態で、Arduino UNO R4 WiFiをPCに接続する。
# 新しいデバイスが接続されたというメッセージが表示される場合は、接続を許可する。
<br>
次に、[https://github.com/arduino/uno-r4-wifi-usb-bridge/releases espflashツールのGithub]にアクセスして、espflashツールをダウンロードする。<br>
ダウンロードしたファイルを解凍する。<br>
unzip unor4wifi-update-linux.zip
cd unor4wifi-update-linux
<br>
espflashツールを実行してファームウェアを復元する。<br>
./bin/espflash write-bin -b 115200 0x0 firmware/UNOR4-WIFI-S3-*.bin
<br>
復元前において、以下に示すようなプロンプトが表示される。<br>
この時、キーボードの[N]キーを押下する。<br>
? Remember this serial port for future use? (y/n) >
訳: 今後の使用のために、このシリアルポートを記憶しておきますか? (y/n)
<br>
ファームウェアの復元に成功した後、Arudino UNO R4 WiFiをPCから外す。<br>
次に、GNDピンとDownloadピンのジャンパワイヤ (短絡用) を外す。<br>
<br>
Arudino UNO R4 WiFiをPCに再度接続する。<br>
Arduino IDE等から[ボード情報の取得]を選択して、"Arudino UNO R4 WiFi"と表示されているかどうかを確認する。<br>
<br>
<u>※注意</u><br>
<u>Linux上でespflashツールを実行する時、以下に示すようなエラーが出力される場合がある。</u><br>
<u>これは、システムにインストールされているGLIBCのバージョンが古いためである。</u><br>
./bin/espflash: /lib64/libc.so.6: version `GLIBC_2.33' not found (required by ./bin/espflash)
./bin/espflash: /lib64/libc.so.6: version `GLIBC_2.32' not found (required by ./bin/espflash)
./bin/espflash: /lib64/libc.so.6: version `GLIBC_2.34' not found (required by ./bin/espflash)
<br>
この時、[[インストール - GLIBC]]のページを参照して、エラーで出力されているバージョン以降のGLIBCを別途インストールする。<br>
インストールしたGLIBCをラッピングして、espflashツールを実行する。<br>
# 別途インストールしたGLIBCをラッピングして、espflashツールを実行する場合
export GLIBC_DIR="<GLIBCのインストールディレクトリ>"
$GLIBC_DIR/lib/ld-linux-x86-64.so.2 \
    --library-path $GLIBC_DIR/lib64:$GLIBC_DIR/lib:/usr/lib64:/usr/lib:/lib64:/lib \
    ./bin/espflash write-bin -b 115200 0x0 firmware/UNOR4-WIFI-S3-*.bin
<br><br>


__FORCETOC__
__FORCETOC__
[[カテゴリ:Arduino]]
[[カテゴリ:Arduino]]

2024年12月20日 (金) 04:32時点における最新版

概要

Arduinoのスケッチには、setup()関数とloop()関数が存在する。
setup()関数はスケッチの実行開始時(電源を投入した直後)、またはボードのリセット後に1度だけ呼ばれる。
変数の初期化や、ピンモードの設定、ライブラリの初期化などを行うのに適している。
loop()関数は、setup()関数が呼ばれた後に繰り返し呼び出される。


仕様一覧

Arduino UNO R3

下表に、Arduino UNO R3の仕様を示す。

Arduino UNO R3の仕様
項目 仕様
マイコン ATmega 328P
動作電圧 5[V]
入力電圧
DCジャック または Vin端子
推奨値 : 7~12[V]
限界値 : 6~20[V]
アナログ入力ピン 6本
デジタルI/Oピン 14本
DC出力電流 I/O 20[mA] / IOピン(1つのI/Oピン当たり)
合計 Max : 100[mA]
※注意 : 1ピンあたり40[mA]以上で損傷
DC出力電流 3.3[V]出力ピン 50[mA]
ADC 10bit
DAC 無し
Flashメモリ 32[KB]
SRAM 2[KB]
EEPROM 1[KB]
クロック 16[MHz]


Arduino UNO R4

Arduino UNO R3との主な違いはマイコン、メモリ容量、クロック周波数等である。
また、Arduino UNO R4では、ペリフェラルにDAC機能、Wi-Fi機能、Bluetooth機能が追加されている。

項目 仕様
マイコン RA4M1 (Renesas)
動作電圧 5[V]
入力電圧
DCジャック または Vin端子
推奨値:7~12[V]
限界値:6~24[V]
アナログ入力ピン 6本
デジタルI/Oピン 14本
DC出力電流 I/O 8[mA] / IOピン(1つのI/Oピン当たり)
合計 Max:100[mA]

※注意
仕様を超える電流で損傷の可能性あり
DC出力電流 3.3[V]出力ピン 50[mA]
ADC 14bit
DAC 12bit
Wi-Fi Arduino UNO R4 WiFiのみ
Bluetooth Arduino UNO R4 WiFiのみ
Flashメモリ 256[KB]
SRAM 32[KB]
データメモリ 8[KB]
クロック 48[MHz]



Arduinoの電源供給

Arduinoの電源供給は、USB端子と外部電源の2通りの給電方式がある。
USB端子と外部電源は以下に示す供給能力が推奨される。

Arduino UNO R3の電源仕様
電圧[V] 電流[A]
USB電源 5[V] 約0.5〜0.9[A]
外部電源(DCジャック) 7〜12[V]
※注意
約1[A]
外部電源(VIN) 7〜12[V]
※注意
約1[A]


Arduino UNO R4の基本的な電源仕様はR3と同様である。
USB電源は5V、最大900[mA]、外部電源 (DCジャック、VIN) は推奨7〜12[V]、約1[A]までとなる。

外部電源の電圧は、推奨値7~12[V]、絶対最大定格は6~24[V]を守る必要がある。

Arduino UNO R4の電源仕様
項目 電圧[V] 電流[A]
USB電源 5[V] 約0.5~0.9[A]
外部電源(DCジャック) 7~12[V]
※注意
約1[A]
外部電源(VIN) 7~12[V]
※注意
約1[A]


※注意
Arduinoの開発元では、入力電圧の限界値を6〜20[V] (R4では、6〜24[V]) と表示している。
ただし、実装部品が耐圧20[V]以下の部品が実装されている場合があるため、7〜12[V]の推奨値の範囲で使用することを推奨する。


スケッチのダウンロード

まず、スケッチをコンパイルする。
次に、Arduino IDEの[ツール]メニューバー - [ボード]メニューでArduinoボードを選択する。
更に、Arduino IDEの[ツール]メニューバー - [ポート]メニューでCOMポートを選択する。
最後に、[マイコンボードに書き込む]ボタンを押下して、コンパイルしたスケッチをダウンロードする。


LEDの点滅(ArduinoのHello World)のサンプルコード

次に示すのは、LEDを点滅させるサンプルコードである。

 const int LED_PIN = 13;
 
 void setup()
 {
    pinMode(LED_PIN, OUTPUT);
 }
 
 void loop()
 {
    digitalWrite(LED_PIN, HIGH);
    delay(1000);
    digitalWrite(LED_PIN, LOW);
    delay( 1000 );
 }



Arduinoで電圧を測定する(アナログ入力を読み取る)

Arduinoボードは、A0 - A5までの6チャネルの10ビットのADCを持っている。
Arduino Uno等の動作電圧が5[V]のボードでは、0[V] - 5[V]までの電圧は、0 - 1023までの整数に対応付けられる。

Arduino IDEでは、analogRead関数を用いることで、指定したアナログピンから値を読むことができる。
analogRead関数は読み取った値を、0 - 1023までの整数値で返す。



したがって、analogRead関数の戻り値をセンサ電圧に対応する場合は、以下の計算式を使用することにより、センサ電圧が分かる。



なお、標準では、analogRead関数の戻り値である0 - 1023が、0[V] - 5[V] (Arduino Gemmaのような3.3[V]の動作電圧の場合は0[V] - 3.3[V]) に対応付けられているが、
analogReference関数を使用してこの範囲を変更することは可能である。
ただし、設定可能な値は、各ボードに依存するため注意が必要である。

図.1 電圧を測定する回路図


Arduino AnalogRead 01.png


次に記述するのは、電圧を読み取った結果をシリアルモニタに出力するサンプルコードである。
これによって 1秒毎にシリアルモニタに電圧が表示される。

図.2 電圧を測定してシリアルモニタに表示


Arduino AnalogRead 02.png


 const int PIN_ANALOG_INPUT = 5;
 
 void setup()
 {
    Serial.begin(9600);
 }
 
 void loop()
 {
    int iVoltage = analogRead(PIN_ANALOG_INPUT);
    float fVoltage = iVoltage * 5.0 / 1023.0;
    Serial.println(fVoltage);
    delay(1000); 
 }



割り込みとISR

Arduinoのスケッチでのハードウェア割込み(hardware interrupt)の利用方法について記載する。

Arduino Unoでは、2個のピン(D2, D3)が割込みに利用できる。D2は割込み番号が0、D3は割り込み番号が1である。
Arduino Mega2560では、6個(D2, D3, D18, D19, D20, D21)が使用できる。割込み番号は順に0, 1, 5, 4, 3, 2が設定されている。

割込みサービスルーチン(ISR, interrupt service routine)は、引数および戻り値が無いvoidの関数が割り当てられる。
attachInterrupt(割込み番号, 関数名, モード)でISRをセットする。
また、attachInterruptの引数にはピンの番号ではなく、割込み番号を指定することに注意すること。
ピン番号から割込み番号の解決には、digitalPinToInterruptを使用する。
attachInterruptで指定した関数には幾つかの制約があるので、次の点に注意する。

  • delay関数は機能しない。
  • millis関数の戻り値が増加しない。
  • シリアル通信により受信したデータは、失われる可能性がある。
  • 割り当てた関数のなかで値が変化する変数にはvolatileをつけて宣言する必要がある。


次のサンプルコードでは、toggle_ledという名前のISRを、D2ピンでの割込み処理に指定している。
モードのFALLINGはHIGHからLOWの状態へ遷移したことで割込みを発生させることを意味する。
ISRでLEDが接続されたピンの状態を表す変数をLOWまたはHIGHに変化させている。
そして、loop()関数でその変数をdigitalWrite()関数に渡している。

 const byte PIN_LED       = 10;
 const byte PIN_INTERRUPT = 2;
 volatile byte state      = LOW;
 
 void setup()
 {
    pinMode(PIN_LED, OUTPUT);
    digitalWrite(PIN_LED, state);
 
    attachInterrupt(digitalPinToInterrupt(PIN_INTERRUPT), toggle_led, FALLING);
 }
 
 void loop()
 {
    digitalWrite(PIN_LED, state);
 }
 
 void toggle_led()
 {
    state != state;
 }



ArduinoでPWM制御

Arduinoでは、PWMによるアナログ出力(任意の出力値)をサポートしている。
デジタル信号としてHIGH(3.3[V]または5[V])とLOW(0[V])だけでなく、2[V]等の中間の値も出力できる。
これにより、LEDの調光制御を行うことができる。


PWMとは

PWM(Pulse Width Modulation)とは、電圧を制御する方法の1つである。
出力のオンとオフを行うことで、 パルス幅に比例した電圧を得ることができる。

例えば、下図のように信号の基本周期の間で、25[%]の時間だけ出力をオンにすることにより、
平均で電圧の25[%]の電圧(5[V] * 25[%] = 1.25[V])を得ることができる。
尚、この場合はオン時間をデューティーサイクル (Duty Cycle) といい、最大電圧に対する出力電圧の割合になる。

Arduino PWM 01.png



ArduinoのPWM出力

Arduino Unoでは、デジタル出力ピンの3, 5, 6, 9, 10, 11番の6個のピンがPWM制御に利用できる。
ピン番号の前に ~記号が付記されており、PWM制御が利用可能であることがわかる。

Arduino PWM 02.jpg


基本的に、ArduinoのPWMの周波数は約490[Hz]だが、Arduino Unoでは5番と6番ピンは980[Hz]である。
周波数が2倍ということは、波長が半分ということである。しかしながら、デューティーサイクルが同じであれば出力電圧は同じである。


analogWrite関数の使い方

Arduinoでは、PWM出力にはanalogWrite関数を使用する。
analogWrite関数の引数は、第1引数にピン番号、第2引数にデューティーサイクルを渡す。

デューティーサイクルは、パーセント表示ではなく、0(0%)から255(100%)の値をとる。
したがって、5[V]の動作電圧の時には、255 / 5 = 51より電圧 * 51として、更に整数に丸めた値をanalogWrite関数の第2引数に渡す。

analogWrite関数を1度呼ぶと、同じピンに対してanalogWrite関数、digitalWrite関数、digitalRead関数を呼ぶまで、一定のPWM波を出力する。
analogWrite関数を呼ぶためにpinModeを事前に呼ぶ必要は無い。


PWM出力のサンプルコード

次に、analogWrite関数によるPWM出力のサンプルコードを記述する。
Arduinoの3番ピンにて2[V]を出力している。

 const int PIN_PWM = 3;
 const float V_OUT = 2;
 
 void setup()
 {
    int i = (int)V_OUT * 51;
    analogWrite(PIN_PWM, i); 
 }
 
 void loop()
 {
 
 }



ファームウェアの復元

Arudino UNO R4 WiFi

Arduino UNO R4 WiFiにはUSB-シリアル通信を処理するESP32-S3チップが搭載されている。
このチップのファームウェアは、Arduino IDEまたはArduino Cloudを使用してアップグレードできるが、アップグレード後のファームウェアが正常に動作しない場合がある。

この時、espflashツールを使用してファームウェアを復元することができる。

これは、以下に示すような症状が起きている場合に有効である。

  • Arudino UNO R4 WiFiが、Arduino IDEまたはArduino Cloudの[ボード情報の取得]を選択すると、汎用のESP32ボード (例: ESP32-S3-Box) として検出される。
    Arduino UNO R4 ESP32 Error.png
  • Arudino UNO R4 WiFiが、Arduino IDEまたはArduino Cloudの[ボード情報の取得]を選択すると、データUSBケーブルでコンピュータに接続されているにもかかわらず、どのボードとしても検出されない。


  1. まず、下図のように、Arduino UNO R4 WiFiにある6ピンヘッダのGNDピンとDownloadピンを短絡 (ショート) させる必要がある。
    Arduino UNO R4 ESP32 Data Pins.png
  2. Arduino UNO R4 WiFiと不要なUSBデバイスをPCから外す。
  3. Arduino UNO R4 WiFi上で、USB type Cコネクタの隣にある6ピンヘッダのGNDピンとDownloadピンを探す。

  4. GNDピンとDownloadピンを短絡させる。
    これは、2つのピンの間にメス-メス ジャンパワイヤを使用して接続することを推奨する。
  5. メス-メス ジャンパワイヤが持っていない場合は、先の尖った導電性の物体 (オス-オス ジャンパワイヤの一端等) を使用して、両方のピンに接触するように配置することもできる。
  6. 短絡させた状態で、Arduino UNO R4 WiFiをPCに接続する。
  7. 新しいデバイスが接続されたというメッセージが表示される場合は、接続を許可する。


次に、espflashツールのGithubにアクセスして、espflashツールをダウンロードする。
ダウンロードしたファイルを解凍する。

unzip unor4wifi-update-linux.zip
cd unor4wifi-update-linux


espflashツールを実行してファームウェアを復元する。

./bin/espflash write-bin -b 115200 0x0 firmware/UNOR4-WIFI-S3-*.bin


復元前において、以下に示すようなプロンプトが表示される。
この時、キーボードの[N]キーを押下する。

? Remember this serial port for future use? (y/n) >

訳: 今後の使用のために、このシリアルポートを記憶しておきますか? (y/n)


ファームウェアの復元に成功した後、Arudino UNO R4 WiFiをPCから外す。
次に、GNDピンとDownloadピンのジャンパワイヤ (短絡用) を外す。

Arudino UNO R4 WiFiをPCに再度接続する。
Arduino IDE等から[ボード情報の取得]を選択して、"Arudino UNO R4 WiFi"と表示されているかどうかを確認する。

※注意
Linux上でespflashツールを実行する時、以下に示すようなエラーが出力される場合がある。
これは、システムにインストールされているGLIBCのバージョンが古いためである。

./bin/espflash: /lib64/libc.so.6: version `GLIBC_2.33' not found (required by ./bin/espflash)
./bin/espflash: /lib64/libc.so.6: version `GLIBC_2.32' not found (required by ./bin/espflash)
./bin/espflash: /lib64/libc.so.6: version `GLIBC_2.34' not found (required by ./bin/espflash)


この時、インストール - GLIBCのページを参照して、エラーで出力されているバージョン以降のGLIBCを別途インストールする。
インストールしたGLIBCをラッピングして、espflashツールを実行する。

# 別途インストールしたGLIBCをラッピングして、espflashツールを実行する場合
export GLIBC_DIR="<GLIBCのインストールディレクトリ>"

$GLIBC_DIR/lib/ld-linux-x86-64.so.2 \
   --library-path $GLIBC_DIR/lib64:$GLIBC_DIR/lib:/usr/lib64:/usr/lib:/lib64:/lib \
   ./bin/espflash write-bin -b 115200 0x0 firmware/UNOR4-WIFI-S3-*.bin