「インストール - カーネルのアッブグレード(SUSE)」の版間の差分
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この時、<code>-i</code>オプションを付加して、bzImageのパスを指定する。<br> | |||
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<u>署名を削除する時、そのカーネルでは起動できなくなることに注意すること。</u><br> | |||
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2022年11月3日 (木) 01:51時点における版
概要
Tumbleweedを除いたSUSEは安定したカーネルのみを提供している。
これは、最新のカーネルよりもはるかに古いことが多い。
ここでは、SUSEにおいて、カーネルをアップグレードする方法を記載する。
依存関係のライブラリのインストール
Linuxカーネルのビルドに必要な依存関係のライブラリをインストールする。
sudo zypper install patterns-base-basesystem patterns-devel-base-devel_basis patterns-devel-C-C++-devel_C_C++ gcc gcc-g++ ncurses-devel
Zypper構成ファイルの変更
まず、/etc/zypp/zypp.confファイル(Zypper構成ファイル)を開く。
sudo vi /etc/zypp/zypp.conf
zypp.confファイルには、多くの設定項目が存在する。
このファイルにあるmultiversion.kernels
項目を探して、この項目がコメントアウトされている場合は、コメントを解除する。
この設定を有効にすると、SUSEに同梱されている従来のカーネルを維持しながら、新しいカーネルも取得できるようになる。
初期設定では、multiversion.kernels
の値は、latest,latest-1,running
となっている。
この値を、latest,latest-1,running,oldest
に変更する。
# /etc/zypp/zypp.confファイル multiversion.kernels = latest,latest-1,running,oldest
リポジトリを追加してインストール
Linuxカーネル用のリポジトリの追加
最も簡単に比較的新しいLinuxカーネルをインストールするには、カーネルリポジトリを追加してパッケージ管理システムからインストールすることである。
SUSEの標準リポジトリ(メインライン)には、比較的新しいLinuxカーネルは存在しないため、カーネルリポジトリを追加する必要がある。
カーネルリポジトリを追加するため、以下のコマンドを実行する。
sudo zypper ar -f http://download.opensuse.org/repositories/Kernel:/stable/standard Kernel:Stable # 推奨 または sudo zypper ar -f http://download.opensuse.org/repositories/Kernel:/HEAD/standard/ Kernel:Master
ただし、通常のzypper update
コマンドでアップグレードせずに、以下のセクションにしたがってdist-upgrade
コマンドを実行することに注意する。
Linuxカーネルのアップグレード
SUSEにおいて、別途Linuxカーネルをインストールする場合、カーネルリポジトリからのみアップグレードすることにより、Linuxカーネルのみが変更される。
Linuxカーネルのアップグレードを行うため、以下のコマンドを実行する。
sudo zypper dist-upgrade -r <Kernel:Stable または Kernel:Master>
※注意
Linuxカーネルをアップグレードする場合、上記の"Zypper構成ファイル"セクションで編集したmultiversion.kernels
の設定により、古いバージョンが保持されることに注意する。
アップグレードが完了した後、Linuxを再起動する。
再起動後、Linuxカーネルが正常にアップグレードされたかどうかを確認する。
uname -a
ソースコードからインストール
Linuxカーネルのソースコードのダウンロード
The Linux Kernel Archivesまたは以下に示すURLからLinuxカーネルのTarballをダウンロードする。
https://kernel.org/pub/linux/kernel/
ダウンロードしたファイルを解凍する。
tar xf linux-<バージョン>.tar.xz cd linux-<バージョン>
または、Gitからダウンロードする。
SUSEが提供しているLinuxカーネルのソースコードを使用する場合、SUSEのGithubからソースコードをダウンロードする。
SUSEのLinuxカーネルは、2種類存在している。
- 開発版 (比較的新しいLinuxカーネル)
- 開発版はkernel-sourceというGitリポジトリで行われており、アップストリームカーネルに対するパッチ、仕様ファイル、様々なスクリプト等が含まれている。
git clone https://github.com/SUSE/kernel-source -b stable
- 安定版 (現在と同一バージョンのLinuxカーネル)
- ソースコードのハック等が目的で、かつ、カーネルをパッケージ化する必要が無い場合は、安定版を使用する。
- 安定版は、アップストリームのカーネルと同様のレイアウトになっている。
git clone https://github.com/SUSE/kernel -b stable
Linuxカーネルのビルド環境の構築
Linuxカーネルのビルドディレクトリを作成する。
out-of-treeビルド(ソースコードと生成物を分離したビルド)の為のディレクトリを作成する。
mkdir build
異なるバージョンのカーネルをビルドする場合、または、特定の機能を有効化 / 無効化する場合、現在利用しているカーネルコンフィグのコピーをそのまま使用することができない。
そのため、既存のカーネルコンフィグ(/bootディレクトリ内にあるカーネルコンフィグ)を元に、新しいカーネルコンフィグを生成する。
make olderconfig
コマンドは、可能な限り既存のカーネルコンフィグの設定を使用して、ビルドディレクトリ内に必要なファイルを生成する。
make -j $(nproc) olddefconfig O=./build
ビルドディレクトリに移動する。
cd build
Linuxカーネルのビルドを行う場合、同時にカーネルモジュールをビルドすることが一般的であるが、使用しないカーネルモジュールのビルドに多くの時間が掛かることがある。
make localmodconfig
コマンドは、現在のカーネルモジュールの設定を使用して、不要なカーネルモジュールのビルドを無効化することができる。
make -j $(nproc) localmodconfig
Linuxカーネルの機能を個別に選択する。
make -j $(nproc) menuconfig
Linuxカーネルおよびカーネルモジュールをビルドおよびインストールする。
LOCALVERSION=<サフィックス 例. -userbuild> make -j $(nproc) sudo make -j $(nproc) modules_install # カーネルモジュールのインストール sudo make -j $(nproc) install # Linuxカーネルのインストール(GRUBのエントリも生成する)
Linuxを再起動する。
sudo shutdown -r now
再起動後、Grubブートローダにおいて、インストールしたLinuxカーネルを選択する。
セキュアブートが有効の場合
署名の登録
pesignとnss-toolsをインストールする。
pesignのインストールと同時に、/etc/pki/pesignディレクトリ、および、/etc/pki/pesign-rh-testディレクトリにデータベースがインストールされる。
sudo zypper install pesign nss-tools
certificateファイルを抽出する。
mkdir ~/MOK && cd ~/MOK sudo certutil -d /etc/pki/pesign-rh-test -L -n "Red Hat Test CA" -r > rhca.cer
抽出したcertファイルを署名する。
sudo mokutil --import ./rhca.cer --roow-pw
正常に署名されているかどうかを確認する。
sudo mokutil --list-new
PCを再起動する。
sudo systemctl reboot
カーネルへの署名を行う。
この時、-i
オプションを付加して、bzImageのパスを指定する。
sudo pesign -c 'Red Hat Test Certificate' --certdir /etc/pki/pesign-rh-test -i <bzImageファイルのパス> -o vmlinuz.signed -s
署名および生成されたLinuxカーネルであるvmlinuz.signedファイル名を変更する。
この時、ファイル名は任意の名前でよい。
mv vmlinuz.signed vmlinuz-<カーネルのバージョン>-user-build
vmlinuzファイルを/bootディレクトリに配置する。
sudo mv vmlinuz-<カーネルのバージョン>-user-build /boot
PCを再起動する。
ブート画面において、生成したLinuxカーネルを選択する。
sudo systemctl reboot
起動しているLinuxカーネルを確認する。
uname -a
署名の削除
署名を削除する時、そのカーネルでは起動できなくなることに注意すること。
cd <署名ファイルがあるディレクトリ> sudo mokutil --delete ./rhca.cer --root-pw