「電解コンデンサの故障モードと原因」の版間の差分
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2020年8月11日 (火) 11:57時点における最新版
概要
電解コンデンサは、回路を安定させるために電源部分に多く使用されるため、非常に重要な部品である。
しかし、電解コンデンサの使い方を間違えると簡単に故障して、回路が全く動作しなくなることも考えられる。
設計段階において、電界コンデンサの電流、電圧、温度、実装等の検証はとても重要である。
ここでは、電解コンデンサの故障によってどのようなことが起きるかを理解するため、電解コンデンサの故障モードとその原因について記載する。
電解コンデンサの主な故障モード
ショート故障と圧力弁の作動
電解コンデンサのショート故障とは、電解コンデンサの±端子のインピーダンスがほぼ0[Ω]になっることである。
入力電圧とグランドの間に電解コンデンサを接続している状態でショート故障すると、入力電圧からグランドに大電流が流れてしまう。
ショート故障が起こる原因として、絶対最大定格を超えた範囲での電圧印加、過リプル電流、高温状態での使用がある。
定格を超える範囲で電解コンデンサを使い続けた場合、発熱によって誘電体の耐電圧が低下し、絶縁破壊を起こす。
絶縁破壊が起きたことで、誘電体に大電流が流れると、コンデンサ内部でガスが発生して内圧が上昇し圧力弁が作動する。
また、ショート故障は、圧力弁が作動した時に電極間が短絡したり、過度な機械的ストレスが掛かることでも起きる。
そのため、電解コンデンサに衝撃や振動が加わらない位置に実装することが大切である。
オープン故障
オープン故障とは、回路が完全に切り離された状態のことを表す。(電解コンデンサとして動作しなくなる)
つまり、電解コンデンサを接続していない状態と同じ動作になる。
電解コンデンサがオープン状態になる原因は、主に断線と腐食である。
断線は、電解コンデンサに機械的ストレスが加わった場合に起こりやすく、断線すると接触不良によりオープン状態となる。
特に、ラジアル部品の電解コンデンサでは、端子部分に強いストレスが加わった場合、ハンダ付けの面積が小さいため、断線のリスクが発生する。
そのため、電解コンデンサを実装する時や実装後の基板には衝撃が与えられないように注意が必要である。
腐食は、ハロゲン系物質が侵入した場合に起こりやすい。(接着剤やコーティング剤等)
電解コンデンサの断線を防止するために、コーティングし過ぎても腐食の原因になるので注意が必要である。
しかし、腐食はすぐに起きるものではなく、設計する製品など使用用途に合わせて問題が無いかメーカに問い合わせると良い。
コンデンサの容量減少と損失の増加
電解コンデンサは、他のコンデンサと比べて極性を持っているため、
極性に対して逆電圧を印加した場合や、過激な充放電を繰り返した場合は、静電容量が減少して損失が増加する。
基本的には、電解コンデンサを定格値以下で使用するのであれば、このような事は起きない。
あらかじめ使用条件を整理してから部品選定を行う。