「CMake - インクルード」の版間の差分
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*: インクルードディレクトリと共に、スコープ (PRIVATE, PUBLIC, INTERFACE) を指定する。 | |||
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* プロジェクト全体に対してインクルードディレクトリを設定する場合 : <code>include_directories</code>コマンド | |||
*: 指定されたディレクトリは、全てのターゲットに適用される。 | |||
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* 別のCMakeスクリプトを読み込む場合 : <code>include</code>コマンド | |||
*: 別のCMakeスクリプトファイルを読み込むためのコマンドである。 | |||
*: インクルードディレクトリの設定とは異なり、CMake構成の再利用やモジュールの分割に使用される。 | |||
*: 指定したファイルを読み込み、その中に定義されたCMakeコマンドを実行する。 | |||
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2024年7月4日 (木) 15:31時点における版
概要
CMakeにおいて、インクルードに関するコマンドには主に以下の3つがある。
- 特定のターゲットに対してインクルードディレクトリを設定する場合 :
target_include_directories
コマンド- ターゲットごとに異なるインクルードディレクトリを設定できるため、より細かい制御が可能である。
- インクルードディレクトリと共に、スコープ (PRIVATE, PUBLIC, INTERFACE) を指定する。
target_include_directories(my_target PRIVATE ${CMAKE_SOURCE_DIR}/include)
target_include_directories(my_target PUBLIC ${CMAKE_SOURCE_DIR}/include ${CMAKE_SOURCE_DIR}/src)
- プロジェクト全体に対してインクルードディレクトリを設定する場合 :
include_directories
コマンド- 指定されたディレクトリは、全てのターゲットに適用される。
include_directories(${CMAKE_SOURCE_DIR}/include)
include_directories(${CMAKE_SOURCE_DIR}/src ${CMAKE_SOURCE_DIR}/third_party)
- 別のCMakeスクリプトを読み込む場合 :
include
コマンド- 別のCMakeスクリプトファイルを読み込むためのコマンドである。
- インクルードディレクトリの設定とは異なり、CMake構成の再利用やモジュールの分割に使用される。
- 指定したファイルを読み込み、その中に定義されたCMakeコマンドを実行する。
include(${CMAKE_SOURCE_DIR}/cmake/my_module.cmake)
これらのコマンドを使い分けることにより、CMakeを使用したプロジェクトの構成やビルド設定を効率的に行うことができる。
非ターゲットのインクルード (target_include_directoriesコマンド)
find_package
コマンドは、include
コマンドで手動で行う設定を、REQUIRED
オプション等を使用して自動で行うことができる。
find_package(PkgConfig)
find_package
コマンドは、pkg_search_module
コマンドよりも柔軟でより多くのオプションが存在する。
また、CMakeには豊富なパッケージ定義が付属しており、パッケージ管理システムからインストールしたソフトウェアは/usr/share/cmake/Modules/Find*.cmakeファイルにある。
target_include_directories(<ターゲット名> PUBLIC ...)
コマンドは、
<ターゲット名>を使用する全てのターゲットにおいて、自動的にインクルードディレクトリが使用されるようになる。
ただし、CMakeLists.txtファイル内のターゲットにのみ有効であり、pkg_search_module
コマンドで取得したライブラリに対しては機能しない。
# pkg-configコマンドの使用
find_package(PkgConfig REQUIRED)
# pkg-configコマンドを使用してライブラリとヘッダファイルを自動的に設定
pkg_check_modules(<任意の変数名> <.pcファイル内の[Name]セクション名 例. sdl2> REQUIRED IMPORTED_TARGET)
# ...略
target_link_libraries(<ターゲット名>
${<任意の変数名>_LIBRARIES}
)
target_include_directories(<ターゲット名> PUBLIC
${<任意の変数名>_INCLUDE_DIRS}
)
target_compile_options(<ターゲット名> PUBLIC
${<任意の変数名>_CFLAGS}
# または
${<任意の変数名>_CFLAGS_OTHER}
)
インクルードパスの指定
target_include_directoriesコマンド (推奨)
インクルードパスを指定する場合、target_include_directories
コマンドを使用する。
target_include_directories
コマンドを使用することにより、ターゲット単位でインクルードパスを適切に管理できる。
特定のターゲットに対してのみインクルードディレクトリを設定する場合は、target_include_directories
コマンドを使用することを推奨する。
- PUBLIC
- このターゲット、および、このターゲットに依存する他のターゲットでも使用する。
- PRIVATE
- このターゲットでのみ使用する。
- INTERFACE
- このターゲットには使用せず、このターゲットに依存する他のターゲットでのみ使用する。
- $<BUILD_INTERFACE:...>
- ビルド時のインクルードパス
- $<INSTALL_INTERFACE:...>
- インストール後のインクルードパス
- ${PROJECT_SOURCE_DIR}
- CMakeが自動的に設定する変数であり、プロジェクトのトップレベルのソースディレクトリへの絶対パスを表す。
- CMakeプロジェクトのトップレベル (
project()
コマンドを実行したディレクトリ) の絶対パスが格納されている。 - サブディレクトリからこの変数を参照すると、トップレベルのディレクトリパスが返される。
# ターゲットの定義
add_library(my_library
source1.cpp
source2.cpp
)
# ターゲットのインクルードディレクトリを指定
target_include_directories(my_library
PUBLIC
$<BUILD_INTERFACE:${CMAKE_CURRENT_SOURCE_DIR}/include>
$<INSTALL_INTERFACE:include>
PRIVATE
${PROJECT_SOURCE_DIR}/external/lib1/include
${PROJECT_SOURCE_DIR}/external/lib2/include
)
include_directoriesコマンド (非推奨)
include_directories
コマンドの使用は避けるべきである。
これは、プロジェクト全体で共通のインクルードパスを設定するため、意図しないインクルードが発生する可能性があるからである。
include_directories
コマンドは、プロジェクト内の全てのターゲットに対して指定されたディレクトリを適用する。
include_directories(/path/to/include)
include_directories
コマンドを複数使用する場合、デフォルトでは、指定したパスは最後尾となる。
ただし、include_directories
コマンドにBEFORE
オプションを付加した場合は最前となる。
以下の例では、"-I/path1/to/include -I/path2/to/include"となる。
include_directories(/path1/to/include)
include_directories(/path2/to/include)
以下の例では、"-I/path2/to/include -I/path1/to/include" となる。
include_directories(/path1/to/include)
include_directories(BEFORE /path2/to/include)